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オランダの学校の選び方|現地校・インター・日本人学校・補習校の違いと学費(2026-27年度)

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オランダの学校の選び方|現地校・インター・日本人学校・補習校の違いと学費(2026-27年度)

オランダで子どもの学校を決めるとき、最初にぶつかるのは「選択肢が多すぎる」ことと、「正解が家庭ごとに違う」ことです。現地校、国の助成を受けるインターナショナルスクール(DIS)、学費が高い私立のインター、全日制の日本人学校、土曜に通う補習授業校。さらに、オランダの就学義務は5歳からですが、学校には4歳から入れます。日本の「6歳で入学・4月始まり」とは、仕組みが少しずつ違います。

この記事は、子連れでオランダに赴任・移住する日本人家庭が、滞在年数と帰国の予定を軸に学校を選べるよう、制度と費用を並べ直したものです。主な根拠は、オランダ政府(Rijksoverheid)、各校の公式サイト、文部科学省の公式ページです。学費は、各校が自校のサイトや入学案内で公表している金額だけを、年度を明記して載せます。公表されていない学校の金額は書きません。

どの学校が「いちばん良い」という話はしません。現地校に通えばオランダ語と友だちが早くできる反面、日本の教科の学びは家庭で補う必要があります。日本人学校は帰国後の学習に直結しやすい反面、オランダ語に触れる時間が短くなります。どれも条件の違いで、優劣ではありません。

この記事が主に根拠にした情報

  • Rijksoverheid「Leerplicht en kwalificatieplicht」「Wanneer moet ik mijn kind aanmelden op de basisschool?」「Onderwijs voor nieuwkomers」(いずれも2026年10月30日確認)
  • デン・ハーグ市「Nieuw in Nederland en naar school」(2026年10月30日確認)
  • ロッテルダム日本人学校「2026年度入学案内」、アムステルダム日本人学校の入学案内ページ(2026年10月30日確認)
  • アムステルダム日本語補習授業校「2026年度概要」(2026年4月11日付)
  • International School Eindhoven、International School of The Hague、ISA の2026-27年度の学費ページ(2026年10月30日確認)
  • 文部科学省「在外教育施設」のページ、海外子女教育振興財団(JOES)
この記事で分かること 答えの要点
何歳から通うのか 入学は4歳から、就学義務は5歳の翌月1日から16歳まで(第1章)
選択肢は何があるのか 現地校・IGBO・DIS・私立インター・日本人学校・補習校(第2章)
現地校の申込み 4歳の10週前までに。自治体ごとのルールを先に確認(第3章)
オランダ語が話せない子 小学生は語学クラス、12歳以上はISK(第4章)
インターの学費 DISは年€6,690〜12,800、私立のISAは€22,815〜32,755(第5章)
日本人学校・補習校の費用 日本人学校2校と補習校の公表額を表で比較(第6章)
帰国後の進学 公立は学齢簿に基づく編入、高校は都道府県ごとの配慮(第8章)
決め方 滞在年数・帰国予定・年齢の3軸で組み合わせを選ぶ(第9章)

1. 4歳から入学、5歳から義務:オランダの就学の基本

最初に押さえたいのは、オランダの就学制度が「入学できる年齢」と「通う義務が生じる年齢」を分けていることです。日本では就学義務の始まりと入学が同じ4月ですが、オランダでは誕生日から1年近く前後があります。

4歳の誕生日から入学でき、3歳から申込める

Rijksoverheid によると、子どもは4歳から基礎学校(basisschool、小学校に当たる8年制)に通えます。申込みは3歳から可能で、4歳の誕生日の少なくとも10週間前までに行うよう案内されています(Rijksoverheid「Wanneer moet ik mijn kind aanmelden op de basisschool?」)。3歳より前には申込めません。

3歳10か月になると、慣らしのために学校へ何回か(半日)通う「wen-dagen(慣らし通学)」ができます。上限は合計5日で、すべての学校が実施しているわけではありません(Rijksoverheid「Wanneer mag mijn kind naar de basisschool?」)。

学校は、4歳の誕生日の翌日から、年度の途中でも受け入れるのが一般的です(Expatica)。日本のように4月にそろって入学式を行う文化ではなく、子どもが誕生日を迎えたその時に、少しずつクラスに加わります。

就学義務(leerplicht)は5歳の翌月1日から16歳まで

就学義務(leerplicht、通学が法律で義務づけられる仕組み)は、5歳になった翌月の1日から始まります。終わりは、16歳になった学年度の終わり(学年度は8月1日〜7月31日)、または12学年分通った時のどちらか早い方です(Rijksoverheid「Leerplicht en kwalificatieplicht」)。国籍に関係なく、オランダに住むすべての子が対象です。

4歳の子は、通っていても就学義務の対象ではありません。ただ、多くの家庭が4歳で入学させるため、実質的には「4歳から通う文化」だと考えておくと、周囲との感覚が合います。

16〜18歳は資格義務(kwalificatieplicht)

16歳を過ぎても、高校卒業相当の資格(startkwalificatie)がない若者は、18歳になるまで通学が必要です。startkwalificatie とは、havo(5年制の高校)、vwo(6年制の大学準備課程)、または mbo(職業教育)のレベル2以上の卒業資格を指します(同ページ)。

ACCESS やデン・ハーグ市の案内が「5〜18歳が義務」と書いているのは、この就学義務と資格義務を合わせた言い方です。条文上は、5〜16歳が就学義務、16〜18歳が資格義務と別の制度です。

3歳から基礎学校に申込め、4歳から入学でき、5歳の翌月1日から就学義務が始まり、12歳前後で中等教育へ進み、16歳で就学義務が終わり、18歳まで資格義務が続く。 3歳 学校に申込める 4歳 入学できる(10週前に申込) 5歳 翌月1日から就学義務 12歳頃 中等教育へ(ISKは12歳〜) 16歳 就学義務が終わる 18歳 資格がなければ通学継続
図1:オランダの就学の年齢の流れ(出典:Rijksoverheid、2026年10月30日確認。18歳の資格義務は startkwalificatie がない場合のみ)

図1の年齢を表にすると、次のとおりです。日本の制度と並べると、誕生日の扱いと学年の切れ目が違うことが分かります。

年齢 オランダ 日本(参考)
3歳 基礎学校に申込める 幼稚園・保育園など(任意)
4歳 基礎学校に入学できる 幼稚園・保育園など(任意)
5歳 翌月1日から就学義務 幼稚園・保育園など(任意)
6歳 グループ3(読み書きの本格開始) 小学校1年生(4月に入学)
12歳頃 グループ8修了、中等教育へ 小学校卒業、中学校入学
16歳 就学義務の終了 義務教育は中学卒業まで

オランダの学年度は8月に始まり、日本は4月に始まります。この4か月のずれは、帰国時の学年の決め方に影響します(第8章)。

欠席には届出が要る

就学義務がある子は、病気・宗教上の祝日・結婚式・葬儀などの理由があるときに限り、校長に欠席の許可(vrijstelling)を申請できます(Rijksoverheid「Geoorloofd schoolverzuim」)。無断欠席は、4週間で16時間分、または連続28日になると、学校が自治体の就学担当(leerplichtambtenaar)に報告する決まりです。裁判所が親に罰金を科すこともあります。

学期中の休みには、公式の例外が1つあります。親の仕事の都合で学校の休暇中に休みを取れない場合に限り、年1回・最大10日まで、旅行の8週間前までに学校へ申請できます。夏休み明けの最初の2週間は認められません。決めるのは校長で、親の仕事が理由であることを示す必要があります(会社員は雇用主の証明、自営業者は休暇期間に旅行すると大きく収入が減ることの説明、Rijksoverheid「Leerplicht en schoolvakanties」)。日本への一時帰国が単なる家族の希望の場合は、この例外に当たらない可能性があります。学校の休暇日程と祝日はオランダの祝日ガイドも参考に、早めに学校へ相談してください。

2. 選択肢は6つ:全体の地図

オランダで日本人家庭が選べる学校は、大きく6種類に整理できます。現地校(公立・私立の基礎学校)、現地校の中にある英語の国際部門(IGBO)、国の助成を受けるインター(DIS)、助成を受けない私立インター、日本人学校、そして土曜に通う補習授業校です。補習授業校だけは、他の学校との併用が前提です。

まず全体を一覧にします。表の「学費」は、各校が公表している公式額か、政府の公式説明に基づくものです。

学校の種類 授業の言語 学費の目安(年) 主な対象
現地校(basisschool) オランダ語 無料(任意の保護者負担金) オランダに住む子すべて
IGBO(国際部門) 英語 学校ごと(任意負担金など) 一時滞在の就労家庭など
DIS(助成を受けるインター) 英語(IB等) 約€6,700〜12,800(2026-27年度の2校) 期間限定で就労する親の子など
私立インター 英語(IB等) €22,815〜32,755(ISA、2026-27年度) 条件は学校ごと
日本人学校 日本語 €5,640〜9,360(2校、2026年度) 日本人の児童生徒
補習授業校(週1回) 日本語 約€1,750〜1,800(アムステルダム、2026年度) 現地校・インター等に通う子

表の読み方として、補習授業校だけは別の学校の「上乗せ」の費用であることに注意してください。現地校+補習校なら、費用は補習校の分だけになります。

現地校:オランダ語で学び、無料で通える

基礎学校は、公立(openbaar)と宗教・教育理念に基づく私立(bijzonder)に分かれます。教育理念型には、モンテッソーリ、ダルトン、イエナプランなどがあります(Rijksoverheid「Welke soorten basisscholen zijn er?」)。どれも学費は無料で、国の予算で運営されます。

IGBO:現地校の中の英語クラス

IGBO(internationaal georiënteerd basisonderwijs)は、オランダの学校の中に置かれた、英語を授業言語とする部門です。Rijksoverheid によると、主に仕事で一時的にオランダに住む家庭の子や、海外の学校に2年を超えて通っていた子が対象です(同ページ)。

DIS:国の助成を受けるインターナショナルスクール

DIS(Dutch International Schools)は、オランダ教育省の助成を受ける公認のインターです。助成のおかげで、私立のインターより学費が低く抑えられています。その代わり、入学には国が定める条件があります(第5章)。

私立インター:条件が緩い代わりに学費が高い

助成を受けない私立のインターは、入学の要件が学校ごとで、学費は DIS の数倍になります。ACCESS は、フランス・ドイツ・日本などの学校を含め、私立の国際学校はオランダの教育監督局(Inspectie van het Onderwijs)の品質検査の対象外だと説明しています(ACCESS)。

日本人学校と補習授業校:日本の教育課程につなぐ

日本人学校は、日本の学習指導要領に沿って平日に教える全日制の学校です。補習授業校は、現地校やインターに通う日本人の子が、土曜日などに週1回、国語・算数/数学・社会を学ぶ学校です。詳しくは第6章で扱います。

3. 現地校に入る:申込みから入学まで

現地校を選ぶ家庭が最初に戸惑うのは、「学校を探して申し込む」という日本にない手順です。日本では住所で通学区が決まりますが、オランダでは原則として親が学校を選びます。ただし自治体ごとにルールが違い、そこに落とし穴があります。

住民登録のあとに、学校へ直接申込む

デン・ハーグ市は、まず自治体で自分と子どもの住民登録の予約をし、そのあと子どもを学校に直接申し込むよう案内しています。BSN(市民サービス番号)がまだなくても、子どもは学校に通う必要があります(デン・ハーグ市「Nieuw in Nederland en naar school」)。

申込みのとき、基本的に必要なのは次のものです(Rijksoverheid)。

必要なもの 内容
BSN 申込み時に学校へ伝える(住民登録後に発行)
本人確認書類 出生証明書か、パスポートなど BSN を示すもの
前の学校の退学証明 他校から移る場合のみ

BSN が間に合わないときの扱いは学校で違う場合があるので、住民登録の予約と並行して学校へ相談してください。

申込みの時期:4歳の10週前まで

日本の4月入学とは違い、オランダの申込みは4歳の誕生日の10週前が目安です。早めに動けば複数の学校に申込めます。Rijksoverheid によると、子どもを複数の学校に申込むことは認められています。

学校が満員の場合は、空きがないか待機リストに載ります。自治体によっては、学校どうしが取り決めて、近隣の学校に通う、抽選にする、きょうだいを優先するなどのルールを設けています(同ページ)。「自分で自由に選べる」ことを前提にせず、まず自治体の案内ページで、選べる範囲を確認してください。

自治体で住民登録をし、学校を探して見学し、4歳の10週前までに学校へ申込み、BSNと本人確認書類を出して入学する、4つの手順。 1. 登録 自治体で予約 2. 探す 見学・比較 3. 申込み 4歳の10週前 4. 入学 BSN・身分証 近隣優先・抽選・きょうだい優先は自治体ごとに異なる
図2:現地校の申込みの流れ(出典:デン・ハーグ市、Rijksoverheid、2026年10月30日確認)

学校のタイプを見分ける

学校選びで見るべきは、立地のほかに、教育の考え方です。Rijksoverheid は、学校を探して比べるサイトとして、Scholenopdekaart.nl と Oudersenonderwijs.nl を案内しています(同ページ)。

タイプ 特徴 選ぶときの視点
公立(openbaar) 宗教や信条に基づかず、すべての子に開かれる 通学区・近さを優先したいとき
宗教系(bijzonder) カトリック、プロテスタントなどの考えに基づく 宗教教育の度合いを学校に確認
教育理念型 モンテッソーリ、ダルトン、イエナプランなど 授業の進め方、宿題、自由度の違い
ブレーデスクール(brede school) 放課後の活動や学童、語学クラスなどを併設 共働きで学童が必要なとき

費用は無料だが、任意の保護者負担金がある

基礎学校そのものは常に無料です。学校は任意の保護者負担金(ouderbijdrage、遠足や行事の費用)を求めることがありますが、払わなくても入学を断られず、遠足などへの参加も断られません。保護者代表の会議(MR、medezeggenschapsraad)が金額と使い道に同意する決まりです(Rijksoverheid「Wat zijn de kosten voor de basisschool van mijn kind?」)。

昼休みの見守り(TSO)や、放課後の学童は、任意ではなく別料金です。金額の目安として DutchReview は、国公立校の保護者負担金を年€60〜150程度と紹介しています(DutchReview、2025年2月更新)。これは二次情報なので、実際の金額は学校の案内で確認してください。

日本の学校との違い:学校生活の中身

現地校の1日は、日本の小学校とかなり違います。Expatica によると、学校は8時30〜9時に始まり、14時45分〜15時30分に終わります。水曜日の午後が休みの学校もあります。昼食は、持参した軽食を学校で食べるか、家に帰って食べます(Expatica)。

グループ1・2(4〜5歳)は遊び中心で、読み書きの本格的な勉強はグループ3(6歳頃)から始まります。グループ8(12歳頃)では、1月に学校が暫定の助言(voorlopig schooladvies)を出し、1月下旬〜2月に全員が進路テスト(doorstroomtoets)を受けます。テストの結果が助言より高ければ学校は助言を引き上げ、最終の助言は3月24日までに出ます(2027年の日程、Rijksoverheid「Tijdlijn Schooladvies 2027」)。この終了時のテストは、2023-24年度から旧称 eindtoets に代わって doorstroomtoets と呼ばれています。

学校の先生の判断が中等教育の進路に強く影響する点は、日本の公立中学校への進学とまったく違います。この点は、第9章の決め方でも考慮に入れます。

4. オランダ語を補う新来者クラス(nieuwkomersonderwijs・ISK)

オランダ語が話せない子が現地校に入るときの仕組みが、新来者教育(nieuwkomersonderwijs)です。「いきなり通常クラスに放り込まれる」のではなく、まずオランダ語を集中的に学ぶ制度があります。

小学生は語学クラスか、通常学級で追加のレッスン

Rijksoverheid によると、新来者教育は、就学義務のある年齢(5〜16歳)で、来て間もなくオランダ語が十分でない子のためのものです。最初にオランダ語とオランダの文化を学び、そのあと通常クラスに移ります。学校は、新来者の最初の2年間、追加の予算を受けます(Rijksoverheid「Onderwijs voor nieuwkomers」)。

小学校(po)の段階では、特別な語学クラス(taalklas)を使う形と、通常のクラスに入って追加のオランダ語レッスンを受ける形があります。語学クラスは通常の学校の中にある場合も、別の建物にある場合もあります(同ページ)。

デン・ハーグ市の案内では、この小学校の語学クラスは opvangklas(受入クラス)や neveninstroomgroep(後から入る子のための組)と呼ばれます。子どもはそこで、オランダ語を話す・聞く・読む・書くことを学びます。期間は通常1年〜1.5年で、そのあと同じ学校に残るか、別の学校に移ります。クラスは無料ですが、学校が任意の負担金を求めることがあります。学校は Scholenwijzer Den Haag で探せます。

12歳以上はISK(国際ブリッジクラス)

中等教育(vo)の段階では、ISK(internationale schakelklas、国際ブリッジクラス)が使われます。来て間もなくオランダ語がほとんど話せない12歳以上の若者向けで、数学や市民教育などの教科と並んで、オランダ語を集中して学び、通常の中等教育やmboへの準備をします(Rijksoverheid、同ページ)。

デン・ハーグ市は、ISK の期間を約1〜2年とし、市内で ISK を持つ中等学校を4校(Edith Stein College、Johan de Witt Scholengroep のGlasblazerslaan校舎、Diamant College、Zuid-West College)挙げています。親が直接申込める点も案内されています。

項目 小学校(po)の語学クラス 中等教育のISK
対象年齢 5〜12歳 12〜18歳(Rijksoverheid・市の案内)
内容 オランダ語と生活の習慣 オランダ語・数学・市民教育など
期間の目安 約1〜1.5年(デン・ハーグ市) 約1〜2年(デン・ハーグ市)
費用 クラスは無料、任意の負担金あり 公立の中等教育として通う
終わったあと 同校に残る/他校へ 通常クラスやmboへ

表のとおり、どちらも「オランダ語の準備期間」で、そのあと通常の学校に入る前提です。

長さと注意点

新来者向けの臨時の施設に在籍できるのは、合計2年までです。過去にオランダの学校に在籍したことがある子は、この臨時施設の対象になりません(Rijksoverheid)。日本から来たばかりの子には当てはまりますが、一度オランダの学校に通ったあと、日本に戻り、再びオランダに来る場合は、再び使えるとは限りません。

また、ISK や語学クラスの空きは、地域や時期によって逼迫することがあります。VO-raad(中等教育の団体)などは、人手不足を主な理由に、新来者教育が詰まっていると警告しています(VO-raad)。申込みから通学開始までの待ち期間は、自治体の教育窓口に早めに確認してください。

年齢別の見通し

DutchReview は、4〜5歳の子はオランダ語を比較的早く身につけ、6歳以降はオランダ語の導入クラスに約1年入ることが多く、10歳以上はより時間がかかり、学年をやり直すこともあると紹介しています(DutchReview)。これは経験に基づく一般論で、個人差が大きいことに注意してください。

年齢 オランダ語の習得の見通し(DutchReviewの整理) 家庭での補い方
4〜5歳 比較的早い 日本語の読み聞かせを続ける
6〜9歳 導入クラスで約1年が多い 日本語の読み書きを土曜校などで維持
10歳以上 時間がかかり、学年をやり直す場合もある ISK・日本人学校・インターを含めて検討

年齢が上がるほど、オランダ語の壁と、帰国後の日本の学習への接続の両方が重くなります。

5. DISと私立インター:対象条件と学費

英語で授業を受ける道には、国の助成を受ける DIS と、助成のない私立インターがあります。違いは学費だけでなく、入学できる条件にもあります。

DISの入学条件

DIS は国が助成するため、入学条件が国の法令で決まっています。International School of The Hague(ISH)の入学方針では、次の3つのうち少なくとも1つに当てはまることが条件です(ISH Admissions Policy)。

条件 内容
① オランダ国籍でない 親の少なくとも一方が、期間限定でオランダ(または国境地域)で働いている
② オランダ国籍で、海外で教育を受けた 親の仕事で海外に住み、2年を超えて海外で教育を受けた
③ オランダ国籍で、これから海外へ行く 親の転勤で、2年以上、海外へ行く予定(雇用主の証明書が必要)

The Hague International Centre も同じ3区分を紹介しています(The Hague International Centre)。日本人家庭の多くは①に当たります。親が現地で期間限定で働いていることが前提で、ZZP(個人事業主)、配偶者ビザ、永住などの形では、条件に当たらないことがあります。条件の判断は学校が行うので、在留・就労の状況を正直に伝えて確認してください。

ハーグ周辺で DIS を含む国の助成を受ける国際学校として、The Hague International Centre は、ISH、European School of The Hague、HSV、International Waldorf School The Hague、International School Delft、International School Leiden などを挙げています(同ページ)。

DISの学費:2026-27年度の公表額

学費は学校ごとに異なります。確認できた2校(いずれも2026-27年度)を並べます。

項目 International School Eindhoven International School of The Hague
小学校(年額) €6,690(国際部門) €8,500〜9,200
中等(年額) €8,569〜9,466(MP1〜DP2) €10,300〜12,800(Y7〜Y13、CP/DPで異なる)
申込・登録料 €200(国際部門のみ・返金なし) €300(返金なし)
保証金 €500(中等のみ・返金あり) €1,000(返金は同意書による)

出典は、International School Eindhoven の「School Fees and Costs」ページと、ISH の学費ページです(いずれも2026年10月30日確認)。ISH の中等は Y12 の Career-related Programme(CP)が€12,800で最高額です。小学校は学年で€8,500(Pre-Early Years〜EY1)、€9,000(Y2〜Y4)、€9,100(Y5)、€9,200(Y6)と細かく分けています。Eindhoven の「Dutch Bilingual」コースは、年€2,499の任意の保護者負担金で、国際部門とは別です。

DIS の学費は国が決めた統一額ではありません。学校ごと・学年ごとの公表額を、各校のサイトで見て比べてください。第三者のまとめ記事が示す「年€4,500〜8,000」のような幅は、年度や学校が混ざっていることがあります。

私立インター:ISAの例

助成を受けない私立の例として、International School of Amsterdam(ISA)の2026-27年度の学費を見ます。

学年 学費(年額)
Nursery・Pre-school €22,815
Pre-Kindergarten €24,870
Kindergarten €25,255
Grade 1〜5 €27,710
Grade 6〜8 €30,880
Grade 9〜10 €31,895
Grade 11〜12 €32,755

出典は ISA の学費ページです(2026年10月30日確認)。スクールバスなどは別料金で、詳細は別の料金表に載っています。会社が学費を負担する赴任(教育手当)の場合、この金額が選択肢に入ることがあります。個人負担で通う場合は、第7章の費用比較で見るように、他の選択肢との差が大きくなります。

学費の公表額は、現地校が0、補習校が1,750ユーロ、アムステルダム日本人学校が5,640ユーロ、ISEが6,690ユーロ、ISHが9,000ユーロ、ロッテルダム日本人学校が9,360ユーロ、ISAが27,710ユーロ。 現地校 €0 補習校 1,750 アムス日本人校 5,640 ISE(DIS) 6,690 ISH(DIS) 9,000 ロッテ日本人校 9,360 ISA(私立) 27,710 単位:ユーロ/年。授業料のみ(入学金・バス代は除く)
図3:小学生の年間の学費の比較(出典:各校の公式サイト。補習校はアムステルダム2026年度(学年2以上)、日本人学校は2026年度、DIS・ISAは2026-27年度、ISHはY2〜Y4、ISAはGrade1〜5、2026年10月30日確認)

図3は、各校が公表している授業料だけを並べたものです。入学金、保証金、バス代、教材費などは含みません。第7章で、初年度の総額を計算し直します。

6. 日本人学校と補習授業校

日本の教育課程につなぐ道が、日本人学校と補習授業校です。この2つは名前が似ていますが、通う頻度も、費用も、役割もまったく違います。

日本人学校:オランダに2校

文部科学省は、在外教育施設を日本人学校・補習授業校・私立在外教育施設の3種類に分け、学校教育法の「一条校」ではなく、文部科学大臣が認定する制度だと説明しています(文部科学省「在外教育施設」)。

オランダの全日制の日本人学校は、アムステルダム日本人学校とロッテルダム日本人学校の2校です。ロッテルダム日本人学校の入学案内は、補習授業校4校とあわせ、オランダの日本人学校2校・補習授業校4校が保険に加入していると記しています(ロッテルダム日本人学校「2026年度入学案内」)。

ロッテルダム日本人学校の2026年度入学案内によると、学校は文部科学省の学習指導要領に準拠して初等・中等の教育をします。小・中学部の全学年に英会話の授業があり、現地理解学習でオランダ語も取り入れます。インターナショナルスクールや現地校との交流活動もあります。時程は週5日制で、月〜木が8時30分〜15時40分、金が8時30分〜15時です。学年は4月1日に始まる3学期制です。

日本人学校の学費:2校の公表額

2校の公表額を、次の表にまとめます。

項目 ロッテルダム日本人学校(2026年度) アムステルダム日本人学校(入学案内ページ)
入学金 €300 €350
授業料(年額) €9,360(€780/月) €5,640(学期ごとに分納)
その他の費用 PTA会費 €30/年 施設設備費 €360/年
スクールバス 別途(路線で変動) 年€2,220(利用する場合)
校舎協力金 記載なし €450または€900(寄付がない場合の依頼)

出典は、ロッテルダム日本人学校の「入学金・授業料・諸費用」のページと2026年度入学案内、アムステルダム日本人学校の入学案内のページです(いずれも2026年10月30日確認)。アムステルダムの授業料は、第1学期€1,880、第2学期€2,350、第3学期€1,410の合計です。2校で年額の差が大きいことは、そのまま公表額の違いです。理由は各校の運営や収入の構成によるもので、この記事では推測しません。

どちらの学校も、一度納入した金額は原則として返金されません。年度途中の転入・転出は、事務室に相談する形です。個人賠償責任保険の加入も、両校が勧めています。ロッテルダム日本人学校の案内は、日本の学校と違い、学校の保険は第二次的な補償で、まず保護者の健康保険で治療費を払う仕組みだと説明しています。

日本人学校の入学条件と編入

アムステルダム日本人学校の入学案内は、対象を「オランダに在住する児童・生徒」とし、2027年度の募集期間は未定としています。具体的な募集要項と願書は、事務室で受け取れます。ロッテルダム日本人学校は、「編入学のご案内」のページに入学・体験入学の申込みと費用を載せています。

日本人学校は、日本からの転勤で来た家庭の子が、日本と同じ4月始まりの学年のまま途切れずに学べる点が特徴です。通学は保護者の送迎か、スクールバスです。ロッテルダム日本人学校のスクールバスは、デン・ハーグ方面とロッテルダム方面の2路線です(2026年4月時点)。

補習授業校:週1回、国語・算数・社会

補習授業校は、日本人学校ではなく、現地校やインターに通う子が土曜日に通う学校です。アムステルダム日本語補習授業校(JSSA)の2026年度概要によると、教科は国語、算数/数学、生活/社会の3つで、文部科学省の指定教科書と学習指導要領を基本にします。本来の目的は、日本の学校教育の外で学ぶ子が、帰国したときに日本の学校へ円滑に適応できるようにすることです(JSSA「2026年度概要」)。

授業日数は小学部が年間最低40日で、小学部は9時30分〜15時15分頃、中学部は9時30分〜15時30分頃の時程です。週1回の授業のため、保護者の理解と協力が欠かせませんと概要は明記しています。特に低学年では、保護者の学習補助と家庭での学習が求められます。

補習授業校の学費と入学条件(アムステルダムの例)

JSSA の2026年度概要に記された費用は、次のとおりです。

項目 金額
入学審査料 €40(外部から入る場合、返金なし)
入学金 €250(プリクラス・小・中学部共通)
授業料(プリクラス) 年額€1,780
授業料(小学部1年) 年額€1,800
授業料(小学部2年以上) 年額€1,750
授業料(中学部) 年額€1,780

授業料は学期ごとの分納で、副教材費は別です(2025年度概要では、小学部で年間約€50〜60、中学部で約€20〜30)。

入学には入学審査があります。小学部1年は、教室で使う日本語を理解でき、補習校の進度に合わせて小学1年の教科書が理解できる日本語力が条件です。中学部1年は、小学6年修了レベルの日本語力が審査されます。進級は、出席すべき日数の70%以上の出席が条件です。日本語がまったくできない子は、この学校の対象になりません。その場合の日本語の維持は、家庭や別の方法で考える必要があります。

ハーグ・ロッテルダム周辺にも補習授業校があります。この記事では、公式サイトで学費の公表を確認できなかったため、金額は載せません。通学を考える場合は、各校の最新の募集要項で確認してください。

7. 費用を並べる:初年度はいくらかかるか

ここまでの公表額を、初年度の総額に組み直します。授業料だけを比べた図3に、入学金などを足した形です。計算は編集部によるものです。

初年度の総額の計算

組み合わせ 計算の中身 初年度の合計(目安)
現地校のみ 学費は無料。任意の負担金は学校ごと €0+任意の負担金
現地校+補習校 入学金€250+授業料€1,750(2年以上) €2,000+副教材費
アムステルダム日本人学校 入学金€350+授業料€5,640+設備費€360 €6,350(バスなし)
ISE(DIS)の小学部 登録料€200+授業料€6,690 €6,890
ロッテルダム日本人学校 入学金€300+授業料€9,360+PTA€30 €9,690(バスなし)
DIS+補習校(ISE) ISE€6,890+補習校€2,000 €8,890
ISA(私立)のGrade1〜5 授業料のみ €27,710

この表の数字は、バス代、昼食、教材、行事費などを含みません。きょうだいが複数いるときは人数分かかります。表の見方として、現地校と補習校を組み合わせる道は、公表額の範囲では、日本人学校やDISの4分の1ほどの費用で収まります。ただし、その分、家庭が日本語の学習を支える負担が増えます。

会社の補助と税

赴任の場合は、会社が学費を補助する教育手当が出ることがあります。ACCESS は、学費の税の扱いについて、税理士に相談するよう案内しています(ACCESS)。補助の上限、対象の学校、支払い方法(会社が学校へ直接払うか、家庭が立て替えるか)は会社ごとに違います。申込む前に、人事に確認してください。

学費以外にかかるもの

学費以外にかかる費用も、先に見積もっておくと安心です。

費目 現地校 日本人学校 DIS・インター
通学 自転車・徒歩が中心 スクールバスまたは送迎 バスは別料金の学校が多い
昼食 持参(見守りは別料金) 学校の案内による 学校の案内による
行事・教材 任意の負担金 宿泊行事費などは別途 学校の案内による
保険 家庭の賠償保険を推奨 個人賠償責任保険を推奨 学校の案内による

保険の考え方は、日本の学校と大きく違います。日本の学校では、学校管理下の事故は学校の保険が基本的にカバーしますが、オランダでは、子どもが他の子にけがをさせたり施設を壊したりしたときは、保護者の賠償責任保険を使うのが原則です(ロッテルダム日本人学校の案内)。

8. 帰国後の進学:日本の学校にどうつなぐか

帰国後の進学は、滞在年数と並んで、学校選びの重要な軸です。日本の学校は、オランダの学年度と4か月ずれ、日本の教科内容と比べると学習の進み方も異なります。

公立小中学校への編入

日本の公立の小中学校に戻る場合、文部科学省の説明では、転入手続のあと、住民基本台帳に基づいて学齢簿が編製され、就学すべき学校の指定と編入の日付が通知されます(文部科学省「在外教育施設」)。帰国後の手続きは、住所地の市区町村の教育委員会で行います。

オランダの学年は8月に始まり、日本は4月に始まります。帰国時期によっては、学年の途中での編入になり、日本の教科(漢字、算数の単元、社会)が、現地で学んだ内容とずれていることがあります。補習授業校や日本人学校に通っていれば、そのずれは小さくなる傾向があります。

高校入試:帰国生の配慮

高校については、文部科学省が1988年(昭和63年)に通知を出して、帰国生の入学・編入の機会を広げるよう促しており、各都道府県の教育委員会や学校が、入試の特別枠などの配慮をしているとされています(同ページ)。配慮の対象となる条件(海外にいた年数、帰国からの期間など)は、都道府県・学校ごとに異なります。

志望校がある場合は、帰国前の早い時期に、学校の募集要項で帰国生入試の条件を確認してください。中学受験や高校受験を日本で考える家庭は、海外での在籍期間や学年が条件になることがあるため、滞在期間の計画を立てるときの材料になります。

補習校の役割と限界

補習授業校は、週1回の授業で、国語・算数・社会の基礎を保ちます。JSSAの概要自身が、保護者の協力が必要不可欠だとしており、家庭学習が前提です。補習校に通えば帰国後に困らない、という保証はありません。日本語の学力は、家庭での読書、日記、漢字練習などの積み重ねで維持する部分も大きくなります。

帰国先の進路 確認する窓口 見るべきポイント
公立小中学校 住所地の教育委員会 学齢簿・編入日、学年の決まり方
私立の小中学校 各校の募集要項 帰国生の条件、海外在籍年数
高校 都道府県教育委員会・各校 帰国生の特別枠、対象期間
教育相談全般 海外子女教育振興財団(JOES) 帰国後の編入学・進学の相談

JOES は、帰国後の教育相談や、国内の学校の説明会の情報を案内しています(JOES)。

日本人学校に通っていた場合

日本人学校は、日本の学習指導要領に準拠しているため、帰国後の公立校の学習とつながりやすいと言えます。ただし、「つながりやすい」ことと「同じ学力になる」ことは別です。授業の進み具合や、現地理解学習などの内容の違いは、学校ごとにあります。

また、日本人学校は、少人数の環境で、他校の児童と交流する機会が限られる面もあります。ロッテルダム日本人学校は、インターや現地校との交流活動を取り入れていると案内しています。日本人学校に通うと、オランダ語に触れる時間が少なくなる点は、滞在が長くなるほど気になる点です。

9. 滞在年数と帰国予定で決める

ここまでの制度と費用を、決め方にまとめます。滞在年数と帰国予定が軸で、子どもの年齢と言語がそれを補います。これは公式の基準ではなく、編集部が公表情報から組み立てた整理です。

軸1:滞在年数

DutchReview は、滞在が3年未満なら、特に英語に慣れた子には国際学校が楽で、3年を超えるなら、統合の面から現地校が良い選択だと紹介しています(DutchReview)。この「3年」は目安であって、決まりではありません。ACCESS も、長期滞在なら現地校、他国の教育制度に戻る可能性があるなら DIS を含むインターが向くと整理しています(ACCESS)。

軸2:帰国後の進路

帰国が決まっているなら、日本の教育課程との接続が重視されます。日本人学校、または現地校・インター+補習校です。帰国が決まっていない、または再び海外に出る可能性があるなら、IB などの国際的な課程が続けやすい DIS・インターという選択もあります。

軸3:子どもの年齢と言語

年齢が低いほどオランダ語を身につけやすく、年齢が高いほど言語の壁と進学への影響が大きくなります。Xpat.nl は、ティーンエイジャーは新しい地域社会や言語に統合するのが難しく、短期滞在なら外国人学校やインターが楽な場合があると述べています(Xpat.nl)。

滞在が2年以内なら日本人学校かDISと補習校、3〜5年なら現地校と補習校かDIS、5年以上や定住なら現地校と日本語の維持が軸になる。12歳以上は言語の壁が大きいため、ISK、日本人学校、インターを含めて検討する。 〜2年で帰国 3〜5年 5年以上・定住 日本人学校 DIS+補習校 現地校+補習校 または DIS 現地校が軸 日本語は家庭で 12歳以上:ISK・日本人学校・インターも比較
図4:滞在年数による学校の組み合わせの目安(編集部の整理。出典:DutchReview、ACCESS、各校の公式サイト、2026年10月30日確認)

図4の目安を、表にして理由を添えます。

滞在・帰国の状況 軸になる組み合わせ 理由 気をつけること
〜2年で帰国 日本人学校、またはDIS+補習校 帰国後の学習に直結。言語の負担が少ない 日本人学校は費用が高め。DISは入学条件の確認が必要
3〜5年で帰国 現地校+補習校、またはDIS オランダ語と友だちが育つ。日本語は補習校で維持 補習校の入学審査の日本語力が条件
5年以上・定住 現地校が軸 統合しやすく、学費も無料 日本語の読み書きの維持は家庭が主役
帰国未定・再び海外へ DIS・インター IBなど、国をまたいで続けやすい課程 DISは条件、私立は費用
12歳以上で来た ISK、日本人学校、インター 言語の壁が大きい。ISKは1〜2年 進学コースの決定が早い(第3章)

10. ケースで考える:架空の3家族

ここでは、架空の3つの家族を例に、考え方を示します。実在の人物や企業とは関係がなく、金額は第5〜7章の公表額に基づく例です。

ケース1:2年の予定でハーグに赴任する家族

7歳と10歳の子がいて、2年後に日本へ帰る予定です。会社から教育手当が出ます。日本の学習への接続を最優先にするなら、ロッテルダム日本人学校(スクールバスでハーグ方面から通学)が候補です。初年度は子ども1人あたり€9,690前後(バスなし)で、2人なら2倍の計算です。

別の考え方として、DIS(ISH など)に通い、補習校を併用する道もあります。子どもが英語に慣れていれば、授業の負担は軽くなります。ただしDISは入学条件があり、補習校は入学審査があります。帰国後に日本の学校で戸惑う可能性は、日本人学校より高くなり得ます。

ケース2:4年の予定でアムステルダムに赴任する家族

5歳と9歳の子がいて、約4年の予定です。子どもはオランダ語が初めてです。現地校に入り、小学校の語学クラス(約1〜1.5年)を経て通常クラスに移り、土曜に補習校へ通う組み合わせが考えられます。補習校の授業料は2人分で年€3,500ほど(別に入学金が各€250)です。学校の申込み、語学クラスの有無は、自治体の案内で確認します。

9歳の子は、オランダ語の習得に時間がかかる年齢です。帰国後を見据えて、日本語の読み書きを家庭で意識して維持することが重要になります。

ケース3:ZZPとして独立し、定住を考える家族

親がZZP(個人事業主)で、5年以上の滞在を見込み、13歳の子がいます。DIS は「親が期間限定で働いている」ことが条件のため、当てはまらない可能性があります。13歳でオランダ語が初めてなら、ISK に入って1〜2年オランダ語を学び、通常の中等教育に移る道があります。進学コース(vmbo・havo・vwo)の選択は、先生の判断が大きく影響します。

私立インターという選択肢もありますが、学費が年€30,000前後になる学校もあります(ISA の Grade 6〜8は€30,880)。日本語の維持は、補習校(中学部)や家庭学習で行います。

ケース 滞在 子どもの年齢 軸になる選択 補う点
1 2年・帰国 7歳・10歳 日本人学校、またはDIS+補習校 費用と入学条件の確認
2 4年・帰国 5歳・9歳 現地校+補習校 日本語の維持、語学クラス
3 5年以上・定住 13歳 ISK→現地校 進学コース、日本語の維持

どの家族にも共通するのは、入学条件と費用を先に確認し、子どもの年齢と言語を見て、帰国後の進路を考える順番です。

11. つまずきやすいところ

学校選びでは、制度の違いから、次のようなつまずきが起こりがちです。

つまずき 起きること 避け方
申込みが遅い 希望校が満員で待機になる 4歳の10週前までに、複数校へ申込む
自治体のルールを見ない 近隣校優先・抽選で希望校に入れない 自治体の案内で、選べる範囲を先に確認
DISの条件を確認しない 入学を断られる 在留・就労の状況を伝えて事前に確認
補習校の日本語力 入学審査で条件に届かない 就学前から、家庭で日本語の読み書きを維持
学費の合算を忘れる 入学金・バス代・設備費で予算超過 初年度の総額で見積もる(第7章)
日本人学校の費用を比べる 2校で授業料が大きく違う 各校の最新の公表額を確認
学期中の休みを取る 無断欠席として報告される 事前に校長・就学担当へ相談(第1章)
帰国時期を決めない 帰国生入試の条件に合わない 志望校の募集要項を早めに確認

「補習校に通えば大丈夫」は言い切れない

補習校は週1回で、授業日数は小学部で年間最低40日です。日本の小学校の授業時間と比べると、はるかに少ない学習量です。補習校はあくまで基礎を保つ場で、家庭学習の支えがあって成り立ちます。

子どもの気持ちを置き去りにしない

制度や費用を整理したうえで、最後は子ども本人の気持ちも大事です。環境が変わる時期に、友だちとの関係や、言葉への不安は大きくなります。DutchReview や Xpat.nl も、年齢と子どもの性格を決め手の1つに挙げています。

12. 日本と比べてどうか

日本とオランダの学校制度は、優劣ではなく、前提が違います。

観点 オランダ 日本
学年度 8月〜7月 4月〜3月
入学年齢 4歳から入学、5歳の翌月から義務 6歳の4月に入学
学校の選び方 原則、親が選ぶ(自治体のルールあり) 住所で通学区が決まるのが一般的
学費 基礎学校は無料、任意の負担金 公立は授業料無料
進路 グループ8の先生の助言でコースが決まる 中学・高校は入試で選ぶ

日本の制度を前提にすると、オランダの「親が学校を選び、申し込む」手順や、「先生の助言が進路を決める」仕組みに戸惑います。逆に、オランダの制度から見ると、日本の「住所で決まる」「入試で選ぶ」仕組みが違って見えます。

13. 手順:明日からやること

学校選びは、次の順番で進めると、抜けが少なくなります。

  1. 家族の滞在年数と帰国予定を、会社や家族で整理する(教育手当の有無も確認)
  2. 子どもの年齢と、英語・日本語・オランダ語の力を整理する
  3. 自治体で住民登録の予約を取る(BSN の発行につながる)
  4. 自治体の学校案内で、学校を選べる範囲と申込み方法を確認する
  5. 現地校・DIS・日本人学校の候補を、見学や問い合わせで3校ほどに絞る
  6. DISは入学条件を、日本人学校・補習校は募集要項と時期を確認する
  7. 4歳の10週前を目安に申込む(複数校へ。待機の可能性も見る)
  8. 初年度の総額(入学金、保証金、バス代)を見積もる
  9. 帰国後の進路は、志望校の募集要項や JOES で、早めに確認する

14. チェックリスト

申込む前に、次の項目を確認してください。

  • 滞在の見込み年数と、帰国の予定を家族で共有した
  • 子どもの年齢が、就学義務の対象か(5歳の翌月1日〜16歳)確認した
  • 自治体の学校案内で、学校を選べる範囲を確認した
  • 申込みの時期(4歳の10週前)を確認した
  • DIS の入学条件に当たるか、学校に確認した
  • 日本人学校・補習校の募集要項と審査を確認した
  • 初年度の総額(入学金・バス代・設備費)を計算した
  • 会社の教育手当の対象と上限を確認した
  • 帰国後の進路の窓口(教育委員会・JOES)を控えた
  • 子ども本人の気持ちと、日本語の維持の方法を話し合った

15. まとめ

  • 就学義務は5歳の翌月1日から16歳まで、学校には4歳から入れます。申込みは4歳の10週前までです。
  • 現地校は無料です。払わなくても入学を断られない任意の負担金があります。
  • オランダ語が話せない子には、小学生なら語学クラス、12歳以上ならISKがあります。期間はおおむね1〜2年です。
  • DISは入学条件があり、学費は学校ごとの公表額です。2026-27年度は、ISE の小学部が€6,690、ISH が€8,500〜9,200、私立の ISA は€22,815〜32,755です。
  • 日本人学校は2校、補習授業校は土曜の週1回です。公表額は日本人学校が年€5,640〜9,360、補習校(アムステルダム)が約€1,750〜1,800です。
  • 滞在年数と帰国予定を軸に、子どもの年齢と言語で補うのが現実的な決め方です。
  • 学費・条件・募集時期は変わります。申込む前に、各校の公式サイトと自治体で最新を確認してください。

参考にした情報源

オランダ政府・自治体

インターナショナルスクール

日本人学校・補習授業校・文部科学省

在住者向け媒体

いずれも2026年10月30日に確認したものです。学費・入学条件・募集時期は変わります。申込む前に、各校の公式サイトと自治体で最新の情報を確認してください。個人の在留資格や就労状況によって入学できる学校が変わる場合は、希望校と自治体の窓口に相談してください。

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よくある質問

オランダでは何歳から学校に行かなければいけませんか?
就学義務(leerplicht)は5歳の誕生日の翌月1日から始まり、16歳まで続きます(Rijksoverheid)。ただし基礎学校(basisschool)には4歳から入れ、多くの子が4歳で入学します。16〜18歳で高校卒業相当の資格がない場合は、資格義務(kwalificatieplicht)で18歳まで通学が必要です。国籍は関係なく、オランダに住む子どもが対象です。
オランダの現地校に通うのに学費はかかりますか?
基礎学校そのものは無料で、学校が求められるのは任意の保護者負担金(ouderbijdrage)だけです。払わないことを理由に入学を断ることも、遠足への参加を断ることもできません(Rijksoverheid)。昼休みの見守り(TSO)や学童は別料金です。金額は学校ごとに違うため、申込み前に各校の案内で確認してください。
オランダ語がまったく話せない子どもは、どうやって現地校に入りますか?
小学校年齢では、新来者向けの特別な語学クラス(opvangklas、neveninstroomgroep)か、通常学級で追加のオランダ語を受ける形になります。12歳以上は中等教育の国際ブリッジクラス(ISK)に入るのが一般的です。デン・ハーグ市の案内では、小学校の語学クラスは1〜1.5年、ISKは1〜2年が目安で、どちらも通常学級への移行が前提です。
DIS(Dutch International Schools)には日本人の子どもも入れますか?
条件を満たせば入れます。学校の入学方針によると、オランダ国籍でない子どもでは、親の少なくとも一方が期間限定でオランダ(または国境地域)で働いていることが条件です。長期の定住や配偶者ビザなど、親が働く形でない滞在では対象外になることがあります。必ず希望校に在留・就労の状況を伝えて確認してください。
日本人学校と補習授業校の違いは何ですか?
日本人学校は平日に通う全日制で、日本の学習指導要領に沿って授業をします。補習授業校は現地校やインターに通う子が土曜日などに通う週1回の学校で、国語・算数/数学・社会が中心です。どちらも日本の学校教育法の「一条校」ではなく、文部科学大臣が認定する在外教育施設に分類されます(文部科学省)。
帰国後の高校受験や編入は、補習校に通っていないと不利ですか?
一律には言えません。文部科学省は、各都道府県教育委員会や学校が帰国生の入試で特別枠などの配慮をしているとしていますが、条件は地域・学校ごとに違います。補習校に通っていたかどうかを要件にする学校があるかは個別に確認が必要です。海外子女教育振興財団(JOES)が帰国後の教育相談を受け付けています。

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