オランダに引っ越して最初にやる行政の手続きが、市役所での住民登録です。ここでの登録が終わるまで、BSN(市民サービス番号)が付きません。銀行、健康保険、給与、DigiD、病院の登録など、そのあとの手続きの多くは BSN を前提に進みます。
一方で、この手続きは「到着から5日以内」という短い期限と、市ごとに違う予約の仕組みと、海外で発行した書類の扱いが重なって、つまずきやすい場面です。公式ページを読み比べると、市によって書いてあることがかなり違います。
この記事は、2026年11月1日に確かめた government.nl、Rijksoverheid、IND、RvIG(身分情報局)、各市の公式ページをもとに、予約の取り方、必要書類、市ごとの違い、BSN が届くまでのつなぎ方を整理したものです。公式ページで確かめられなかったことは書いていません。
この記事が主に根拠にした情報
- government.nl「When should I register with the Personal Records Database as a resident?」(5日以内、4か月、例外、同行する家族)
- IND「Living in the Netherlands」(法的認証を受け翻訳された出生証明書、健康保険は到着から4か月以内)
- Gemeente Utrecht「Registering from abroad」、Gemeente Den Haag「1st BRP registration when coming from abroad with residence permit」、Gemeente Rotterdam「Registration」、IN Amsterdam「Registration」
- RvIG「Registratie Niet-Ingezetenen(RNI)」(4か月未満の非居住者登録)、Netherlands Worldwide「Apostille」
| 知りたいこと | 答えの要点(2026年11月1日確認) |
|---|---|
| 期限は | 4か月を超えて住むなら、到着から5日以内 |
| どこで | 住む場所の市(gemeente)。多くは予約が必要 |
| 費用 | 登録は無料(SDG、デン・ハーグの公式ページ) |
| BSN はいつ付くか | 登録で付く。BRP への登録は通常最大4週間と案内する市が多い |
| 書類 | 身分証、住所の証明、在留許可、海外の出生・婚姻等の書類(法的認証が要る場合あり) |
| 4か月未満の滞在 | 非居住者登録(RNI)で BSN を得られる。居住権や就労権は生じない |
1. BRP と BSN は何か
最初に、用語を整理します。BRP と BSN は別のものですが、一度の手続きで両方が手に入ります。
BRP(住民基本台帳に近い国の登録簿)
BRP は Basisregistratie Personen(バジスレヒストラティー・ペルソーネン)、日本語では「個人基本登録簿」といえるもので、オランダに住む人の氏名、生年月日、住所、家族関係などを自治体が記録する国の登録簿です。government.nl は、4か月を超えて住む人はこの登録簿に居住者として登録する必要があると案内しています。
日本でいえば、転入届を出して住民票に載る手続きに近いものです。オランダでは、この登録で付く BSN が、銀行や保険、DigiD など他の手続きの入口になります。
BSN(市民サービス番号)
BSN は burgerservicenummer(ビュルヘルセルヴィスヌンメル)で、行政、税、医療、給与などで使う個人の番号です。government.nl は、居住者として登録するときに BSN が付き、医療や税などで必要になると案内しています。アムステルダム市の案内(IN Amsterdam のページ)は、働く、銀行口座を開く、健康保険に入る、手当を申請するときに BSN が要ると書いています。
BSN は一度付くと変わりません。日本のマイナンバーのように、後から申請して取る番号ではなく、登録の結果として付くものです。
| 項目 | BRP | BSN |
|---|---|---|
| 何か | 住所などを記録する登録簿 | 個人に付く番号 |
| 手続き | 市で登録する | 登録と同時に付く |
| 必要になる場面 | 住所の証明、DigiD の取得 | 給与、銀行、保険、税、医療 |
| 期限 | 到着から5日以内(4か月超の場合) | 登録で自動的に付く |
表は、名前の似た二つを分けて見るためのものです。この記事では、市で行う「登録」を BRP、登録の結果として付く番号を BSN と書き分けます。
2. 4か月の線:BRP か RNI か
住民登録は、滞在の長さで手続きが分かれます。ここを間違えると、予約を取り直すことになります。
government.nl は、4か月を超えて住むなら居住者として登録する、4か月未満の滞在や国外に住む場合は非居住者として RNI(Registratie Niet-Ingezetenen)に登録できる、と案内しています。
図は、4か月を境に手続きが変わることを示したものです。境の判断は、これから住む予定の長さで決まります。
RNI でできること、できないこと
RvIG(Rijksdienst voor Identiteitsgegevens、身分情報局)のページによると、RNI は、本来は国外にいてオランダ政府と関わりのある人のための登録簿ですが、4か月未満の滞在者も登録できます。BSN が必要な人は登録が必要で、登録後に BSN を受け取れます。RNI の登録は、居住権や就労権を与えるものではありません。
窓口にも条件があります。RvIG のページは、欧州のパスポートを持つ人は19か所の RNI 窓口を使え、欧州のパスポートを持たない人は、2026年1月から窓口が2か所(ブレダとフェンロ)になったと書いています。日本のパスポートの人が RNI を使う場合は、この2か所が対象になります。
| 項目 | 市での BRP 登録 | RNI(非居住者登録) |
|---|---|---|
| 対象 | 4か月を超えて住む人 | 4か月未満の滞在者など |
| 期限 | 到着から5日以内 | 同じ期限は示されていない |
| 窓口 | 住む場所の市 | 欧州のパスポート:19か所。それ以外:ブレダとフェンロ(2026年1月から) |
| BSN | 登録で付く | 登録後に受け取れる |
| 居住権・就労権 | 別に在留許可が必要 | 生じない |
この表から言えるのは、4か月を超えて住む予定なら、RNI で急ぎしのぐより、市での BRP 登録を最初から目指すのが筋だということです。RNI は短期の用途のための仕組みで、長く住む人の代わりにはなりません。
3. 到着から5日以内とは、何を5日以内にするのか
「5日以内」は、期限として最も知られていますが、「何を」5日以内にするのかは、市の案内で少し違います。
government.nl は、到着から5日以内に登録する、と書いています。ユトレヒト市は、4か月を超える滞在なら、到着から5日以内に「予約を取る」よう案内しています。デン・ハーグ市のページには5日ルールの記載はなく、代わりに、予約日が到着後であれば登録日をその日までさかのぼれると書いています。
例外もある
government.nl は、すぐには登録できないこともあると案内しています。在留許可を待っている人や、本人確認の調査が先に要る人は、5日以内に登録する必要がないとされています。
図は、四つの段階を順に並べたものです。期限がかかるのは2番目の「予約」までで、そのあとの通知までの期間は市の処理に左右されます。
| 段階 | 誰が動くか | 期限・目安 | 公式ページの根拠 |
|---|---|---|---|
| 到着 | 本人 | 起点の日 | government.nl |
| 予約 | 本人(代理は不可と案内する市あり) | 5日以内 | government.nl、ユトレヒト |
| 窓口での登録 | 本人と家族全員 | 予約日に | デン・ハーグ、ユトレヒト |
| BRP への反映と通知 | 市 | 通常最大4週間 | ユトレヒト、デン・ハーグ、ロッテルダム |
表のとおり、本人が期限を守る必要があるのは、予約の部分です。その後の4週間は待つ時間で、書類がそろっていることが前提の目安です。
4. 予約の取り方
予約の仕組みは市ごとに違いますが、共通する点があります。
本人が自分で取る
デン・ハーグ市は、予約は本人が自分で取る必要があり、他の人が代わりに取ることはできないと案内しています。氏名、住所、生年月日が不完全だったり、誤っていたりすると、予約が取り消されることがあるとも書いています。
デン・ハーグでは、オンラインの予約システムか、電話(14070、国外からは+31 70 353 30 00)で予約します。ユトレヒトは、オンラインの予約ツールか電話で受け付けています。
家族は全員で行く
government.nl は、一緒に移る配偶者と子どもは、市に同行する必要があると書いています。デン・ハーグ市はさらに具体的に、赤ちゃん、小さな子ども、年長の家族も含めて、登録したい家族全員が予約に出席するよう求めています。ユトレヒト市は、予約のときに何人で行くかを伝えるよう案内しています。
予約を取った日が登録日になることがある
デン・ハーグ市の案内によると、到着後に予約を取っていれば、予約の日が窓口の日より前でも、登録日を予約日にさかのぼれます。その場合は、予約の確認書(予約を取った日が分かるもの)の写しを持っていきます。
これは、予約の空きが遠い日にしかない場合の保険になります。日付が確認書に出る形で、到着後すぐに予約を取っておくのが安全です。
認定スポンサー企業の従業員は別の窓口がある
デン・ハーグでは、高度技能移民(kennismigrant)、認定された研究者など、特別な枠の人は、The Hague International Centre(THIC)を通じて予約するよう案内されています。THIC のページによると、対象は IND の認定スポンサー企業の従業員などで、デン・ハーグ、デルフト、レイスウェイク、ライツェンダム・フールブルフに住む人です。
THIC は、登録は到着から5日以内と案内しています。予約はオンラインで取り、本人が出席します。証明書類の提出や、生体情報、在留カードの受け取りは、別の予約が必要です。
図は、立場ごとに予約の取り先が違うことを示したものです。自分がどこに当たるかは、雇用主か在留許可の案内で確かめます。
| 立場 | 予約の取り先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 認定スポンサー企業の従業員(デン・ハーグ圏) | THIC | 対象の市は4市。証明書類の提出などは別予約 |
| 一般の居住者 | 住む市の予約システムか電話 | 本人が取る。氏名・住所は正確に |
| 4か月未満の滞在 | RNI の窓口 | 欧州のパスポートの有無で窓口が変わる |
5. 必要書類
必要書類は市で少しずつ違います。ここでは、公式ページで確かめられた範囲を表にします。
| 書類 | デン・ハーグ | ユトレヒト | アムステルダム(IN Amsterdam) |
|---|---|---|---|
| 身分証 | 有効なもの。運転免許証は不可 | ページに記載なし | 身分を証明する書類 |
| 在留許可 | 合法的な滞在の証明 | ページに記載なし | ページに記載なし |
| 住所の証明 | 居住の証明 | ページに記載なし | 賃貸契約、購入の証明、住所に居住する許可の証明 |
| 出生・婚姻等 | 海外で生まれた人などは提出 | 本人と子どもの原本 | 出生証明書の原本。既婚なら婚姻証明書の原本 |
デン・ハーグのページは、出生・婚姻・離婚・養子縁組の書類について、登録の必須条件ではないが、市が確認すると書いています。一方、IND は、市での登録には法的認証を受けて翻訳された出生証明書が必要だと案内しています。この違いは、第8章で取り上げます。
原本を持っていく
ユトレヒト市は、本人と子どもの海外の書類の原本を持参するよう案内しています。すでに市の職員が確認していて、変更がない場合は不要です。コピーや写真で足りるかどうかは、予約の確認書か、市のページで確かめてください。
翻訳
ユトレヒト市は、英語、ドイツ語、フランス語の書類は、認定翻訳者による翻訳なしで受け付けると案内しています。つまり、日本語の書類はそのままでは受け付けられない前提で準備するのが安全です。デン・ハーグのページには翻訳の記載がありません。
住所の証明
アムステルダムの案内では、賃貸契約、購入の証明、その住所に住む許可の証明を示します。住所を借りられない人にとって、ここが最も詰まりやすい点で、住む家が決まってから登録に進む順番になります。住まいの選び方は、別の記事で扱います。
6. アポスティーユ付きの書類:日本から来る人の準備
海外で発行された書類は、そのままでは使えないことがあります。ここでは、日本から来る人に関わる点をまとめます。
アポスティーユとは
Netherlands Worldwide(オランダ外務省の案内)は、アポスティーユを、出生証明書や卒業証書などの公文書に付くスタンプやシールで、署名と発行機関が本物であることを確認するものだと説明しています。外国の書類へのアポスティーユは、その書類を発行した国で取ります。オランダでは、地方裁判所が発行するシールです。
日本は、アポスティーユ条約の加盟国として Netherlands Worldwide の一覧に載っています。つまり、日本で発行した書類は、日本でアポスティーユを付ければ、オランダでも使える形になります。
日本の書類は何を出すか
ここは、確かめきれていない点があります。出生の事実を示す日本の書類としては戸籍謄本が思い浮かびますが、オランダの各市が、どの日本の書類を出生証明書として受け付けるのかは、今回の公式ページでは確かめられませんでした。
そのため、次の順で動くのが安全です。
- 予約を取るときか、窓口に連絡して、どの書類が必要かを市に確認する
- 日本で必要な書類を発行してもらう
- アポスティーユを付ける(日本では外務省の窓口が扱います。申請の方法は外務省の案内で確かめてください)
- 日本語の書類は、翻訳が要るかを市に確認し、必要なら認定翻訳者の訳を付ける
アポスティーユの申請には、日本側にも書類や手続きの条件があります。今回は外務省のページを直接開けなかったため、日数や手数料は書きません。外務省の案内で最新の条件を確かめてください。
| 準備 | 誰が決めるか | 今回確かめたこと |
|---|---|---|
| どの書類を出すか | 市 | 公式ページでは日本の戸籍の扱いは確認できず |
| アポスティーユ | 発行した国(日本) | 日本は加盟国(Netherlands Worldwide) |
| 翻訳 | 市 | ユトレヒトは英独仏以外は認定翻訳が前提 |
| 到着前に準備するか | 本人 | 到着後に日本から取り寄せる手間を考えて、出発前が楽 |
表のとおり、日本から来る人が動けるのは、書類の用意の部分です。市に確認する質問を先に決めておくと、手戻りが減ります。
7. 市ごとの違い
同じ「住民登録」でも、市の案内は一致していません。ここでは、2026年11月1日に公式ページで読めたことを並べます。読めなかったことは、読めなかったと書きます。
| 市 | 予約 | 登録までの目安 | BSN | 家族 |
|---|---|---|---|---|
| アムステルダム | 窓口で登録。事前に予約が必要(IN Amsterdam) | 公式ページでは確認できず | 初回の登録で付く | ページに記載なし |
| ユトレヒト | 必須。オンラインか電話 | BRP への登録に最大4週間 | 登録時に付く | 窓口に同行 |
| デン・ハーグ | オンラインか電話(14070) | 通常4週間以内 | 郵送の確認書に記載 | 全員が出席 |
| ロッテルダム | 予約して窓口へ | 書類提出から通常4週間以内 | 登録で自動的に付く | ページに記載なし |
アムステルダムの注意
IN Amsterdam の登録のページ(2025年11月20日更新)は、市の窓口で直接登録すること、事前に予約が必要なことを書いています。ただ、市の公式サイト(amsterdam.nl)は、今回の確認でページを開けませんでした。窓口によっては予約なしで受け付けているという情報もありますが、公式ページで確かめられなかったため、この記事では書きません。窓口に行く前に、市のサイトか電話(14 020)で現在の受付方法を確かめてください。
ユトレヒトの特徴
ユトレヒト市のページは、BRP への登録に最大4週間かかる可能性があると書いています。この期間が、BSN が付くまでの目安です。
デン・ハーグの特徴
予約日にさかのぼって登録できる点と、全員が出席する点がデン・ハーグの特徴です。登録は無料で、登録後に BSN の入った確認書が郵送で届くと書かれています。
ロッテルダムの特徴
ロッテルダム市のページは、居住する市で、対面で登録するための予約を取るよう案内しています。必要書類は、ページの「登録」のボタンの先に出る形で、国籍で変わります。
8. 食い違う情報の扱い
調べていくと、情報どうしが食い違う場面に当たります。ここでは、どれを信じるかの考え方を整理します。
| 論点 | 一方の情報 | 他方の情報 | この記事の扱い |
|---|---|---|---|
| BSN が届くまで | 3市の公式ページ:登録の反映まで通常最大4週間 | IamExpat(2025年12月24日更新):窓口で書面を受け取るか、通常1週間以内に郵送と報告 | 公式の4週間を基準に書く。早く届く例があるかは市による |
| 出生証明書は必要か | IND:法的認証を受け翻訳された出生証明書が必要 | デン・ハーグ:必須ではないが市が確認 | 準備しておくのを勧める |
| 予約なしの窓口 | IN Amsterdam:事前予約が必要 | 予約なしの受付があるという情報 | 公式で確認できないため書かない |
| 5日の意味 | government.nl:登録は5日以内 | ユトレヒト:予約を5日以内に取る | 予約は5日以内に取る、と読む |
公式ページが優先、媒体は補助
在住者向けの媒体は、窓口での実際の様子が分かって役に立ちます。ただ、制度の期限や必要書類は、政府と市の公式ページを基準にします。食い違いがあるときは、食い違っていること自体を書きます。
古い情報に注意
窓口の運用は変わります。RNI の窓口が2026年1月から変わった例のように、少し前の記事が古くなることがあります。ページの更新日がある場合は、日付を確認してください。
9. BSN が届くまでのつなぎ方
登録の通知が届くまでの最大4週間は、BSN がない状態で動くことになります。この間に何が止まり、何が進められるかを整理します。
| 場面 | BSN がないとき | 打つ手 |
|---|---|---|
| 給与 | 雇用主が支払いに BSN を必要とする | 登録の予約日と通知の見込みを雇用主に伝える |
| 銀行口座 | BSN なしで一定期間は開けると案内する銀行がある | 口座開設の記事を参照 |
| DigiD | BSN と BRP の登録が前提 | 通知が届いてから申請する |
| 健康保険 | 到着から4か月以内に加入(IND) | 期限内に加入する。BSN の扱いは保険会社に確認 |
| huisarts(かかりつけ医)の登録 | 診療所の案内で確認 | 登録の記事を参照 |
先に進められること
BSN がなくても進められるのは、住む家の契約、住所の決定、書類の準備、医療の情報収集です。登録が終わるまで何も動かせないわけではありません。
待つしかないこと
DigiD は、BSN が付いたあとの手続きです。取り方は 別の記事で扱います。銀行口座については、オランダの銀行口座の開設ガイドに、BSN なしで開ける期間をまとめています。
通知が届いたら確認すること
デン・ハーグ市のページによると、登録後に郵送で届く確認書には、登録された情報の一覧と BSN が載ります。届いたら、まず内容を一つずつ見てください。氏名のつづり、生年月日、住所、一緒に登録した家族の記載が、パスポートや書類と合っているかを確かめます。
つづりの違いは、銀行や雇用主の手続きで照合が合わず、止まる原因になりえます。誤りに気づいたら、そのまま放置せず、登録した市に連絡して訂正の方法を尋ねます。BSN は一度付くと変わらない番号なので、確認書は紛失しないよう保管し、番号を他の人にむやみに教えないようにします。銀行や雇用主に番号を伝えるときは、必要な相手と目的を確かめてから、確認書の写しを渡すか番号を書き写すかを決めると安心です。
雇用主・大家に伝える
雇用主や、住所を借りている大家には、登録の予約日を伝えておきます。登録に住所の証明が要るため、大家の協力が必要になる場合もあります。
10. 日本の転入手続きと比べる
日本の転入手続きと比べると、同じ「住所の届け出」でも、前提が違います。優劣ではなく、条件の違いとして整理します。
| 項目 | オランダ(BRP) | 日本の転入届(一般論) |
|---|---|---|
| 登録先 | 住む場所の市(gemeente) | 住む場所の市区町村 |
| 番号 | 登録で BSN が付く | マイナンバーは別に付番済み |
| 外国の書類 | アポスティーユなどが要ることがある | 国内の手続きなので通常は不要 |
| 登録後 | BSN を前提に銀行・保険・DigiD へ | 住民票を前提に各種手続き |
表は、日本の運用を一般論として並べたものです。日本の細かい期限や窓口は市区町村で違うため、この記事では数字を挙げません。
違いが大きいのは、住所の証明と海外の書類です。日本の転入届は国内の手続きなので、オランダの登録では、海外で発行された書類に法的認証や翻訳が求められる場合があります。そのため、出発前の準備が必要になります。
11. 状況別の早見表
立場によって、登録の種類と予約の取り先が変わります。代表的な状況を並べました。
| 状況 | 登録の種類 | 予約の取り先 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 認定スポンサー企業に就職し、デン・ハーグ圏に住む単身者 | BRP | THIC | 5日以内に予約。証明書類の提出は別予約。予約の段取りは雇用主に確認 |
| パートナーの在留許可で一緒に来た配偶者と子ども | BRP | 市のサイト | 家族全員が窓口へ(小さな子どもも)。予約時に人数を正確に入力。海外の婚姻・出生書類を用意 |
| 3か月の研修で来る人 | RNI | RNI の窓口 | 日本のパスポートはブレダかフェンロ(2026年1月から)。居住権は生じない。4か月を超えそうなら切り替えを確認 |
| 在留許可を待っている人 | 許可が出てから | 市 | 5日以内の登録が求められない例外に当たる可能性。IND と市の案内で確認 |
表に当てはまらない場合も、見る順番は同じです。まず滞在が4か月を超えるかを確かめ、次に予約の取り先を雇用主か市の案内で確認し、最後に書類を用意します。在留許可の種類や家族の構成で扱いが変わるときは、推測で進めず、予約の前に市の窓口か IND に問い合わせてください。問い合わせの際は、予約日と必要書類の確認を一度にまとめて尋ねると、やり取りの回数を減らせます。たとえば、日本で発行した書類にアポスティーユが要るか、日本語の書類に翻訳が要るか、家族の同行は何人までか、といった点です。回答は予約の確認書と一緒に保存しておくと、窓口で話が食い違ったときの手がかりになります。
12. 手順:到着してから通知まで
具体的な順番をまとめます。市によって細部は違うため、各市の案内を優先してください。
- 到着したらすぐに、住む場所の市の予約ページを開く。デン・ハーグ圏の認定スポンサー企業の従業員は THIC を確かめる
- 氏名、住所、生年月日を正確に入れて予約する(本人が取る)。家族の人数も入れる
- 予約の確認書を保存する。日付が分かる形で、写しも持つ
- 必要書類を集める。身分証、在留許可、住所の証明、海外の出生・婚姻書類
- 海外の書類にアポスティーユがあるか、翻訳が要るかを市に確認する
- 予約の日に、家族全員で窓口へ行く。原本を持参する
- 通知を待つ。通常最大4週間。BSN は通知に載る
- 通知が届いたら、銀行、雇用主、DigiD の手続きに進む
- 到着から4か月以内に健康保険に加入する(IND)
13. やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 予約を先延ばしにする | 5日以内の案内がある。デン・ハーグは到着後に取った予約日へのさかのぼりを案内している |
| 他の人に予約を頼む | デン・ハーグ市は本人が取る必要があると案内している |
| 氏名・住所の入力を適当にする | 不備があると予約が取り消されることがある |
| 家族を連れずに行く | 家族全員の出席が求められる市がある |
| 書類をコピーだけで済ます | 原本が求められる市がある |
| 住所がない状態で登録に進む | 住所の証明を求める市がある |
| RNI を長期居住の代わりにする | 居住権や就労権は生じない |
| 古い記事の窓口情報を信じる | 窓口の運用は2026年1月にも変わった |
14. チェックリスト
- 4か月を超えて住む予定か、未満かを確かめた
- 住む場所の市の公式ページで予約方法を確かめた
- 氏名、住所、生年月日を正確に入力して予約した
- 予約の確認書を保存した
- 身分証と在留許可が有効期限内
- 住所の証明(賃貸契約など)を用意した
- 海外の出生・婚姻書類にアポスティーユが要るかを市に確認した
- 翻訳が要るかを市に確認した
- 家族全員で窓口へ行く段取りをした
- 雇用主に予約日と通知の見込みを伝えた
15. まとめ
- 4か月を超えて住むなら、到着から5日以内に、住む場所の市で住民登録(BRP)をします。登録は無料です
- BSN は登録と同時に付きます。別の申請はありません
- 多くの市は予約が前提です。到着後すぐに予約を取り、確認書を保存します
- 海外の書類は、アポスティーユや翻訳が求められることがあります。日本は条約の加盟国です
- 通知までは通常最大4週間と案内する市が多く、この間は雇用主と銀行に事情を伝えます
- 4か月未満の滞在は RNI があります。居住権や就労権は生じません
- 市ごとに案内が違います。アムステルダムの受付方法などは、市の公式ページで最新を確かめてください
在留許可の種類や家族構成によって、答えが変わる場面があります。個別の判断は、市の窓口か IND に相談してください。在留許可の種類はオランダの在留許可ガイドにまとめています。登録のあとに医療機関を決めるときはかかりつけ医の登録の記事が参考になります。
参考にした情報源
政府・公的機関
- When should I register with the Personal Records Database as a resident? — government.nl:5日以内、4か月、例外、同行する家族
- Registering with the municipality in the Netherlands — Single Digital Gateway:登録は無料、BSN、RNI
- Wat moet ik regelen als ik in Nederland kom wonen? — Rijksoverheid:到着後に手配すること
- Living in the Netherlands — IND:出生証明書、健康保険は4か月以内
- Registratie Niet-Ingezetenen — RvIG:RNI の対象、窓口、2026年1月の変更
- Do I need an apostille? — Netherlands Worldwide:書類の認証の考え方
- What is an apostille? — Netherlands Worldwide:アポスティーユの説明
- In which countries are apostilles valid? — Netherlands Worldwide:日本がアポスティーユ条約の加盟国であること
各市・国際センター
- Registering from abroad — Gemeente Utrecht:予約必須、最大4週間、原本、翻訳
- 1st BRP registration when coming from abroad with residence permit — Gemeente Den Haag:予約、書類、予約日へのさかのぼり
- Registration — Gemeente Rotterdam:予約、通常4週間以内
- Registration — IN Amsterdam:アムステルダムの登録(2025年11月20日更新)
- Municipal registration — The Hague International Centre:認定スポンサー企業の従業員の登録
- Make an appointment for registration — The Hague International Centre:予約、持参書類、別予約
在住者向け媒体(補助)
- Registration in the Netherlands — IamExpat:窓口での体験、BSN の届き方の報告(2025年12月24日更新)
- Registering for a BSN — ACCESS Netherlands:BSN の取得の流れ
いずれも2026年11月1日に確認したものです。制度と窓口の運用は変わるため、予約の前に各市の公式ページで最新の案内を確かめてください。
よくある質問
- オランダの住民登録(BRP)は、いつまでにすればよいですか?
- 4か月を超えて住む場合は、到着から5日以内に、住む場所の市(gemeente)で登録します。Rijksoverheid と government.nl が示す期限です。実務では多くの市が予約制のため、到着したらまず予約を取ります。在留許可の待ちや本人確認の調査がある人は、すぐに登録できない例外があります。
- BSN(市民サービス番号)はどうやって取りますか?
- 住民登録(BRP)をすると、その登録で BSN が付きます。別に申請する手続きはありません。ユトレヒト、デン・ハーグ、ロッテルダムの公式ページは、BRP への登録まで通常最大4週間と案内しています。登録の通知は郵送で届きます。4か月未満の滞在なら、非居住者登録(RNI)でも BSN を得られます。
- 日本の戸籍謄本にはアポスティーユが必要ですか?
- IND は、市での登録に「法的認証を受け、翻訳された出生証明書」が必要だと案内しています。日本はアポスティーユ条約の加盟国で、アポスティーユは書類を発行した国が付けます。ただ、どの書類を出生証明書として受け付けるかは市で扱いが分かれるため、予約するときに市へ確認してください。
- 家族は一緒に窓口へ行く必要がありますか?
- あります。government.nl は、一緒に移る配偶者と子どもも市に同行するよう案内しています。デン・ハーグの公式ページは、赤ちゃんや小さな子どもも含めて、登録する家族全員が予約に出席するよう求めています。ユトレヒトも、一緒に登録する家族は窓口に来るよう案内しています。
- BSN が届く前に、銀行や仕事はどうなりますか?
- 銀行口座は、BSN がなくても一定期間は開けると案内する銀行があります。詳細は口座開設の記事にまとめました。雇用主は給与のために BSN を必要とするため、登録の予約日と通知の見込みを早めに伝えておくと進みます。DigiD は BSN が付いたあとの手続きです。