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オランダ移住前後の日本の手続き:海外転出届・在留届・年金・住民税・マイナンバーの順番と一覧

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オランダ移住前後の日本の手続き:海外転出届・在留届・年金・住民税・マイナンバーの順番と一覧

オランダへの移住は、オランダ側の手続きばかりが話題になります。在留許可、住民登録、BSN(市民サービス番号)、銀行口座、医療保険。ところが日本側にも、出国前に済ませないと後で困る手続きがいくつもあります。

とくに、マイナンバーカードの国外継続利用は転出予定日の前日までという期限があります。年金も、出国前に窓口で手続きしておくほうが安全です。住民税は、1月1日にどこに住所があるかで決まります。

この記事では、日本の市区町村・年金事務所・外務省・国税庁などの公式な案内をもとに、オランダ移住の前後で日本側に必要な手続きを、順番とチェックリストの形にまとめました。2026年11月1日に各ページを確認しました。

この記事が主に根拠にした情報

  • マイナンバーカード総合サイト(J-LIS)「マイナンバーカードを国外で利用する」「国外転出者向けマイナンバーカードの手続き」
  • 日本年金機構「国民年金の任意加入の手続き」(2024年7月1日更新)、「任意加入制度」、「従業員の家族が海外居住の場合の手続き」(2026年10月6日更新)、「脱退一時金の制度」(2026年4月1日更新)
  • 外務省「オンライン在留届(ORRネット)」
  • 国税庁タックスアンサー No.1920・No.1923・No.1478(令和8年4月1日現在法令等)
  • 横浜市・杉並区・江戸川区・文京区の公式ページ(転出届、国民年金、国保、住民税)
この記事で分かること 答えの要点
いつ海外転出届を出すか 1年以上の滞在や移住なら必要。引越し前に届出できる
マイナンバーカード 国外転出届と同時に継続利用の手続き。転出予定日の前日まで
国民年金 転出届で強制加入ではなくなる。日本国籍なら任意加入が選べる
在留届 3か月以上の滞在で提出義務。到着の90日前から出せる
一時帰国 住民票を戻すと年金は強制加入に戻る。先に窓口で確認

1. 日本側の手続きの全体像:「出国前」「到着後」「日本に戻るとき」の3つ

日本側の手続きは、順番を間違えると取り返しがつきにくいものと、後からでも直せるものが混ざっています。まず、時期ごとに何があるのかを一覧にします。

時期別の手続き一覧

次の表は、本記事で扱う手続きを時期で分けたものです。自分の状況に関係ない行は読み飛ばして構いません。

時期 手続き 窓口 本記事の章
出国前 海外転出届(住民票) 市区町村 第3章
出国前 マイナンバーカード国外継続利用 市区町村 第4章
出国前 国民年金の資格喪失・任意加入 市区町村・年金事務所 第5章
出国前 国民健康保険の脱退 市区町村 第7章
出国前 納税管理人の届出 市区町村・税務署 第6章
出国前 銀行・証券・クレジットカード 各社 第9章
到着後 在留届 外務省ORRネット 第8章
日本に戻るとき 転入届・年金・国保の再加入 市区町村 第10章

表のとおり、出国前の行がいちばん多いことが分かります。到着後にやることは在留届が中心で、あとは変更があったときの届出です。

図1:手続きの時間の流れ

時期の関係を図にすると、次のとおりです。文章で追うと長くなる部分を、箱3つにまとめました。

出国前に転出届、マイナンバー、年金、国保、税を済ませ、到着後に在留届を出し、日本に戻るときに転入届や再加入の手続きをする。 1. 出国前 海外転出届 カード継続利用 年金・国保・税 2. 到着後 在留届 住所の変更届 在外選挙(在外公館申請) 3. 戻る時 帰国・転出届 転入届 年金・国保の再開
図1:日本側の手続きの時間の流れ(出典:外務省ORRネット、J-LIS、日本年金機構の案内をもとに作成、2026年11月1日確認)

図で見ると、出国前の箱がいちばん重く、到着後は軽いことが分かります。出国前に窓口へ行く日を一度作り、そこで済ませる項目を事前に洗い出しておくのが、いちばん効率のよい進め方です。

2. 最初に決めること:「いつから日本に住所がない状態になるのか」

手続きの出発点は、自分が日本で住所を持たない状態になる日をいつにするかです。ここから、住民票、年金、保険、税のすべてが連動します。

3か月・1年・2年という3つの数字

日本側の手続きには、似ているけれど意味の違う期間の数字が出てきます。混同すると、必要な届出を落とします。

数字 何の基準か 出典
3か月以上 在留届の提出義務(外務省) ORRネット(旅券法第16条)
1年以上 海外転出届の目安(自治体) 江戸川区の案内
1年以上の予定 所得税法上の非居住者と推定される目安 国税庁 No.1920
2年以内 外国人の脱退一時金の請求期限 日本年金機構

この表から言えるのは、在留届は3か月から、転出届は1年以上の滞在や移住からと、基準がずれていることです。たとえば3か月だけオランダに滞在する人は、在留届は提出の対象ですが、転出届は通常不要です。

図2:数字の「長さ」を比べる

月数に直して並べると、基準の違いが見えます。これは手続きごとに別々の基準であり、同じ書類の期限ではない点に注意してください。

在留届は3か月以上、転出届は1年以上、脱退一時金の請求期限は2年以内。期間の基準が手続きごとに違う。 在留届 3か月以上 転出届 1年以上 脱退一時金 請求は2年以内 0 12か月 24か月
図2:手続きごとの期間の基準(出典:外務省ORRネット、江戸川区、日本年金機構、2026年11月1日確認。脱退一時金は日本国籍でない方の制度)

住民票を残したまま出国すると何が起きるか

江戸川区の案内には、住民票の異動手続きがないと、海外に滞在している期間も国民健康保険料がかかると書かれています。住民税も、住民票があれば日本に住んでいない間も課税の対象になる可能性があります。

反対に、1年未満の海外出張や留学など、日本に戻る前提の短期滞在で住民票を残す人もいます。オランダに移住する場合は、前者の「転出する」側で考えるのが基本です。滞在予定が決まっていない場合は、窓口で予定を伝えて相談してください。

3. 海外転出届:いつ・どこで・何を持って出すか

海外転出届は、住民票のある市区町村の窓口に出す手続きです。正式には、国外への転出届(国外転出届)と呼ばれます。これが、ほかのすべての手続きの起点になります。

届出の時期と窓口

横浜市の案内では、引越し前に届出を出せるとされています。受付は、住民票のある区の役所の窓口で、本人・世帯主・同じ世帯の人、または委任状を持つ代理人が行います。

マイナンバーカードの継続利用など、転出届と同時に済ませる必要のある手続きがあるため、出国直前ではなく、余裕をもって窓口に行ってください。横浜市のように、窓口の混雑予測カレンダーを公開している自治体もあります。

窓口に持っていくもの

自治体によって細かい違いはありますが、横浜市の案内では次のものが挙げられています。

持ち物 説明
住民異動届 窓口または電子申請サービスで入手
本人確認書類 マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど
マイナンバーカード 交付されている場合は必ず持参
委任状 代理人が行く場合、本人が作成

表のとおり、持ち物の中心はマイナンバーカードです。カードを持っている人は、カードがないと継続利用の手続きができないため、必ず持参してください。

転出届と同時に確認する項目

窓口に行く日に、ほかの手続きも一緒に済ませると、何度も足を運ばずに済みます。次の表を印刷して持っていく、という使い方ができます。

確認項目 聞くこと
マイナンバーカード 国外継続利用の手続きをしたいと伝える
国民年金 資格喪失と、任意加入の窓口はここか
国民健康保険 脱退の手続きは、同じ日にできるか
住民税 納税管理人の届出が必要か
在外選挙 出国時申請をここで案内してもらえるか(選挙管理委員会)
印鑑登録 転出で自動的に失効するか
児童手当・介護保険など 自分の世帯に関係する手続きの有無

この表から言えるのは、転出届の窓口で「ほかに必要な手続きはありますか」と聞くのが、いちばん確実ということです。横浜市の案内によると、印鑑登録は転出(予定)日に自動的に失効し、別の手続きは不要です。

4. マイナンバーカード:国外継続利用は「転出予定日の前日まで」

マイナンバーカードは、2024年5月27日から、日本国籍の方なら国外転出後も使い続けられるようになりました。ただし、手続きを出国前に済ませた場合に限られます。

国外継続利用の手続きの流れ

J-LIS(地方公共団体情報システム機構)のマイナンバーカード総合サイトによると、手続きは次のとおりです。

  1. 国外転出届を出すときに、マイナンバーカードと「個人番号カード国外継続利用申請書」を提出する
  2. 市区町村が、カードの券面に転出日を書き加え、ICチップの住所の記録を変更する
  3. 市区町村が、国外転出者向けの電子証明書を発行する
  4. 返却されたカードを、国外転出後も使う

手続きは、国外転出予定日の前日までです。横浜市の案内でも、日本国籍の方は出国日の前日までに窓口で継続利用の手続きが必要で、本人または同じ世帯の人が転出届と併せて行うとされています。

手続きをしないまま転出した場合

J-LISの案内では、前日までに手続きをしないまま転出すると、カードは国外転出予定日に失効します。失効した場合は、転出後にあらためて新規の交付申請が必要です。

2015年10月5日以降に国外転出した日本国籍の方は、すでに海外にいても、国外転出者向けのカードを申請できるとされています。手続きの方法は、J-LISの「国外転出者向けマイナンバーカードの申請・受取方法」のページで確認できます。

継続利用するかどうかの比較

継続利用は、必ずしなければいけない手続きではありません。判断の材料を表にします。

観点 継続利用する しない
出国前の手続き 転出届と同時に申請書を出す 不要(カードは失効)
国外での使い道 日本のオンライン手続きなどに使える可能性 使えない
戻ってきたとき カードの手続きが必要 新規の交付が必要になる場合
注意点 国外からの転入届をしないと失効 失効後の再取得に手間

この表から言えるのは、日本のオンライン手続きを今後も使う可能性があるなら、継続利用を選ぶほうが手間が少ないということです。J-LISの案内には、紛失時に止めるための国外転出者向けの専用ダイヤルがあり、24時間365日、有料で受け付けられていると書かれています。

家族が代わりに手続きする場合

横浜市の案内には、同じ世帯の人が代わりに手続きする場合、転出届によって署名用電子証明書が失効するため、引き続き使いたいときは「委任状兼暗証番号記載書」を封をして提出する、とあります。

このように、同じマイナンバーカードの手続きでも、本人が行くか家族が行くかで必要な書類が変わります。自治体ごとに運用が違う部分なので、窓口に電話で確認してから行ってください。

5. 国民年金:資格喪失・任意加入・第3号・脱退一時金

年金は、立場によって答えが大きく変わる手続きです。最初に「自分は第1号・第2号・第3号のどれか」を確認してください。

第1号被保険者の場合

自営業や学生、無職の人などが、第1号被保険者です。杉並区の案内によると、海外転出届を出すと国民年金の加入義務がなくなり、資格喪失の手続きを窓口で行います。

保険料を前納していた場合、出国日以降の分は原則として還付されます。還付の通知は年金事務所から送られるため、出国後の連絡先を、手続きと同時に申し出る必要があります。

任意加入という選択肢

日本国籍の方で、海外に住む20歳以上65歳未満の人は、国民年金に任意加入できます。日本年金機構の案内では、手続きは次のようになっています。

項目 内容
提出書類 国民年金被保険者関係届書(申出書)
これから転出する人の窓口 お住まいの市区町村窓口
保険料の納付 国内の協力者が納める方法、または国内の預貯金口座からの引き落とし
付加保険料 納めることができる
免除・納付猶予・学生納付特例 申請できない
将来の給付 納付済期間に応じた老齢基礎年金。納めない期間は年金額に反映されない

表のとおり、任意加入は日本の口座や協力者が前提になっています。「国内協力者」とは、日本にいる親族で、手続きや保険料の納付を代わりに行う人のことです。

任意加入に入れない人と、加入が遡れない点

日本年金機構の「任意加入制度」のページでは、加入できない人として、老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている人、20歳以上60歳未満の保険料納付月数が480月以上の人、厚生年金や共済組合に加入している人が挙げられています。

また、任意加入は申し出のあった月からの加入で、さかのぼって加入することはできません。杉並区の案内は、加入の適用を転出日の翌日からと説明しており、転出予定日までに手続きをしておけば、納付済みの保険料を任意加入期間に充てられる場合があるとしています。

出国前に窓口で手続きしておくのが、もっとも手間と不利益が少ない流れです。出国後に思い立った場合の窓口は、国内協力者がいるかどうか、日本に住んだことがあるかどうかで変わります。

図3:国民年金(第1号)の手続きの流れ

第1号被保険者の人が、出国前に踏む手順を図にしました。

海外転出届を出し、国民年金の資格を喪失し、任意加入を申し出て、納付方法を決める。 1. 転出届 市区町村 2. 資格喪失 第1号の人 3. 任意加入 申出書 4. 納付 協力者・口座 加入しない場合は 3・4 を省く
図3:第1号被保険者の出国前の手順(出典:杉並区(2025年12月29日更新)、日本年金機構(2024年7月1日更新)、2026年11月1日確認)

図のとおり、任意加入は選択制です。加入しない場合は、その期間は日本の年金に保険料を納めていない期間になり、将来の年金額や受給資格期間に影響する可能性があります。

第2号・第3号の場合

会社員や公務員は第2号被保険者です。杉並区の案内は、第2号・第3号の人は区役所ではなく、本人または配偶者の勤務先に問い合わせるよう案内しています。

第3号被保険者(会社員・公務員の被扶養配偶者)には、2020年4月1日から国内居住要件が加わりました。日本年金機構の案内(2026年10月6日更新)では、留学生や、海外赴任に同行する家族などは例外として、届出により認定を受けられます。

立場 日本年金機構の案内の要点
海外赴任に同行する配偶者 査証、海外赴任辞令、居住証明などで例外の認定を受けられる
留学する人 査証、学生証や在学証明書などで例外の認定を受けられる
現地で就労する・永住する 例外に当たらず、被扶養者でなくなる場合がある
帰国したとき 例外の非該当の届出が必要

表のとおり、オランダで自分が就労する場合は、例外に当たらない可能性があります。この点は個別判断になるため、配偶者の勤務先と年金事務所に、渡航の目的を伝えて確認してください。

日本国籍でない人の脱退一時金

この章の最後に、日本から出る外国籍の方の制度にも触れます。日本年金機構の「脱退一時金の制度」(2026年4月1日更新)によると、日本国籍がなく、日本を出国して住所がなく、年金の受給資格期間(10年)を満たしていないなどの条件を満たす人が対象です。

請求は日本に住所を有しなくなった日から2年以内で、保険料納付済期間などが合計6か月以上必要です。計算に使う月数の上限は、最後に保険料を納めた月が2021年4月以降なら60月です。国民年金の場合、2026年4月から2027年3月に最後に納付し、60月以上なら537,600円と案内されています。

脱退一時金を受け取ると、その期間は年金の加入期間に数えられなくなります。日本とオランダには社会保障協定(2008年2月21日署名、2009年3月1日発効)がありますが、協定による期間の通算の条件は、日本年金機構の協定のページと年金事務所で確認してから請求を決めてください。

6. 住民税と所得税:「1月1日」と納税管理人

税金は、お金の面でいちばん差が出る手続きです。ここでも、「いつ日本に住所がなくなるか」が基準になります。

住民税は1月1日の住所で決まる

文京区の案内には、住民税はその年の1月1日現在の住所地の区市町村で、前年の所得に対して課税されると書かれています。この仕組みを使うと、次のように考えることができます。

転出の時期 起きること 対応
12月31日までに転出 翌年1月1日に日本に住所がない 翌年度は課税されないのが原則(自治体で確認)
1月2日以降に転出 その年度の住民税の納付が残る 納税管理人の届出が必要

表の1行目は、制度の枠組みから導いた一般的な整理です。個別の取り扱いは自治体で違うため、転出前に税務課に、課税の有無と納付方法を確認してください。

納税管理人とは

文京区の案内では、納税管理人は、納税義務者に代わって納税通知書の受け取りや税の納付など、納税に関する手続きを行う人です。1月2日以降に国外転出する場合は、事前に納税管理人の申告(申請)が必要とされています。

なお、文京区のこのページの更新日は2023年1月4日と古いため、実際の様式や期限は、住民票のある自治体の最新の案内で確認してください。給与から住民税が天引きされている人は、手続きが変わる場合があるため、勤務先にも確認します。

所得税と年末調整

国税庁のタックスアンサー No.1920(令和8年4月1日現在法令等)によると、1年以上の予定で海外に転勤・出向する人は、あらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除き、原則として非居住者と推定されます。給与所得者は、居住者としての最後の給与の支給時に年末調整で精算します。

給与収入が2,000万円超の人や、ほかに一定の収入があって確定申告が必要な人が、納税管理人の届出をせずに出国する場合は、出国の時までに準確定申告が必要です。納税管理人の届出書は、No.1923に書かれている「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を、納税地を所轄する税務署に出します。

1億円以上の有価証券がある人

国税庁 No.1478によると、国外転出の時点で1億円以上の有価証券等を所有している一定の居住者には、国外転出時課税が適用されます。納税管理人の届出の有無で、申告の時期が変わります。

多くの人には関係のない制度ですが、対象になる場合は出国前の手続きが必須です。該当しそうな場合は、税務署か税理士に事前に相談してください。

7. 国民健康保険と、オランダの医療保険への切り替え

日本の公的医療保険の手続きと、オランダ側の医療保険の加入は、つなぎ目を意識して進めます。

国保は転出後に脱退の届出をする

江戸川区の案内(2026年4月1日更新)によると、住民票の異動手続き(海外に転出される届出)の後に、国民健康保険をやめる手続き(脱退の届出)が必要です。住民票が残っていると、海外にいる間も保険料がかかります。

持ち物は、世帯主とやめる人全員のマイナンバーが確認できるもの、届出者の本人確認書類、資格確認書などです。自治体によって違うため、窓口に確認してください。

会社員の場合と、扶養の場合

会社の健康保険に入っている人は、国保ではなく勤務先の手続きになります。また、配偶者の扶養に入っている人は、第3号被保険者と同じように、国内居住要件の例外の届出が関わります(第5章)。

オランダでは、居住者に医療保険への加入が義務づけられていることが、別の記事で整理されています。詳しくはオランダの医療保険の切り替えの記事を参照してください。

一時帰国のときの医療

転出後は日本の国保の資格がないため、一時帰国中に日本の保険証で受診することは通常できません。一時帰国の期間をカバーする旅行保険や、オランダで加入している保険の海外の補償の内容を、事前に確認しておくと安心です。これは制度の枠組みから導いた一般的な整理であり、個別の保険の約款は各社で確認してください。

8. 在留届:オランダに着いたら外務省のオンラインで出す

出国前の手続きが終わったら、到着後の手続きに移ります。日本側の到着後の手続きの中心は、在留届です。

在留届の概要

外務省のオンライン在留届(ORRネット)によると、旅券法第16条の規定により、海外に住所または一時滞在先を定めて3か月以上滞在する日本人は、在留届の提出が義務づけられています。

日本から海外に転出する人は、現地到着の90日前から提出できます。在留地の住所や電話番号が未定でも、提出は可能です。必須項目は、氏名、生年月日、パスポート情報、メールアドレス、在留地の住所・電話番号、職業、滞在期間、緊急連絡先です。

届出 対象
在留届 新たに海外に3か月以上滞在する人
変更届 届出の内容が変わった人
帰国・転出届 帰国の予定が決まった人、すでに帰国した人、管轄区域から転出する人

この表のとおり、住所が変わったときや、日本に戻るときにも届出があります。引越しのたびに変更届を出すことを、習慣にしておくと安全です。

在留届を出すと得られるもの

ORRネットの案内には、在留届を出していると、現地の事件や事故の情報、安全情報などが大使館・総領事館からメールで届くと書かれています。また、事件や事故、災害に巻き込まれたときの安否確認にも、提出された在留届の情報が使われます。

さらに、在外選挙人名簿登録申請などの領事窓口サービスや、パスポートや証明のオンライン申請にも、在留届を使います。行政手続きの入口として、早めに出しておく価値があります。

在外選挙は別の手続き

海外にいても、国政選挙に投票できる在外選挙の制度があります。登録の申請方法は2つあり、出国前に済ませる方法と、到着後に行う方法です。総務省の案内では、次のように整理されています。

方法 いつ・どこで 要件の要点
出国時申請 国外転出届を出してから転出予定日までに、国内の最終住所地の選挙管理委員会 最終住所地で3か月以上住んでいることなど
在外公館申請 到着後に、住んでいる地域を管轄する在外公館 管轄区域に3か月住んだことが確かめられてから登録される

出国時申請は転出届と同じ時期に、市区町村の選挙管理委員会で行います。在外公館申請は、申請の時点で3か月たっていなくても出せますが、登録されるのは3か月住んだことが確かめられてからです。

投票には在外選挙人証が必要です。出国前に申請するかどうかは、転出届の窓口で一緒に聞いておくと二度手間になりません。詳細は、総務省の在外選挙制度のページと外務省の在外選挙の案内で最新の内容を確認してください。

9. 日本の銀行口座・証券口座・クレジットカード

お金に関する手続きは、金融機関ごとに扱いが大きく違います。この記事では、一例として確認できた銀行の案内を紹介し、一般的な注意点を整理します。

銀行の案内の一例

ソニー銀行の案内では、海外転居の際にログインして「国外への住所変更届」から手続きし、日本国内の連絡先を登録します。郵便物や連絡は国内連絡先に届きます。

また、NISA口座は原則として廃止が必要で、出国前に「出国届出書」を出すこと、特定口座は出国日までに継続適用届出書を出さないと廃止扱いになることが書かれています。海外から外貨の送金・振込を依頼することもできません。

口座を持ち続けるための準備

項目 確認すること
住所変更 国外への住所変更が必要か。期限はいつか
国内連絡先 郵便物の受け取り先として、親族などを登録できるか
認証 ワンタイムパスワードのトークンやアプリが、海外で使えるか
証券・NISA 出国前に必要な届出と、廃止・継続の扱い
居住地国の納税者番号 取得後に届け出る必要があるか

この表から言えるのは、出国前に、海外から使えるサービスの範囲を確認することです。ソニー銀行の案内にも、再設定用のコードが国内連絡先に郵送されるため、海外では再取得が難しくなると書かれています。

クレジットカードと携帯電話

クレジットカードの住所変更や、携帯電話の契約を維持するかは、各社の規約や窓口で確認することになります。この記事では、一次情報で扱いを確かめられていないため、具体的な可否は書きません。

一般的な注意点として、日本の携帯番号に届くSMS認証が、銀行やカードのログインに使われている場合があります。海外にいる間も受け取れるかどうかを、出国前に確かめてください。

10. 一時帰国のとき:住民票を戻すかどうか

オランダに移ってからも、一時帰国をする機会はあります。そのとき最も迷うのが、住民票を戻すかどうかです。

住民票に登録すると何が変わるか

日本年金機構の「任意加入の手続き」のページには、一時帰国などで短期間だけ国内に住所を有した(住民票への登録)場合でも、その期間は強制加入被保険者となり、手続きが必要と書かれています。

また、付加保険料や口座振替を申し出ていた人が、帰国後も続けたい場合は、強制加入の手続きの際に、あらためて申し出る必要があります。

一時帰国の判断の整理

状況 考えること
数日から数週間の滞在 住民票は戻さない、が基本の考え方
数か月の滞在 年金・保険・税の面から窓口で確認してから決める
日本に戻って暮らす 帰国・転入として、転入届と年金・国保の手続き

この表の1行目と2行目は、制度の枠組みから導いた一般的な整理です。住民票を戻すかどうかは、年金だけでなく、国保や住民税にも波及します。決める前に、市区町村の窓口に相談してください。

帰国・転出届も忘れずに

日本に戻ることが決まったら、ORRネットで「帰国・転出届」を提出します。在留届を出した在外公館の管轄区域から転出する場合も同じです。

マイナンバーカードを国外継続利用している人は、帰国して転入届を出すときに、カードの手続きも必要になります。J-LISの案内には、国外からの転入届後、カードの手続きをしないと、国外転出者向けのカードが失効する、と書かれています。

11. 立場ごとの答えの違い

立場 年金 国保 税・その他
単身の会社員 勤務先に確認。厚生年金の扱いが変わる可能性 勤務先の健康保険の手続き 年末調整、納税管理人の要否
自営業(第1号)で、日本の仕事は続ける 資格喪失。任意加入を検討 脱退 納税管理人と確定申告
配偶者の転勤に同行する人(第3号) 海外特例の届出を、配偶者の勤務先経由で 扶養の扱いは勤務先に確認 住民票・マイナンバーの手続き

表から言えるのは、同じ「オランダ移住」でも、窓口が違うということです。会社員や第3号の人は、まず勤務先に聞くのが近道になります。

会社員の場合

会社が駐在員としてオランダに派遣する場合と、本人が現地採用で就職する場合では、年金や保険の扱いが違います。派遣の場合、日蘭の社会保障協定が関わることがあります。日本年金機構のページには、日本からオランダへ一時派遣される人の適用証明書交付申請書の案内があります。

派遣か現地採用かは、勤務先に確認してください。この記事では、個別の協定の適用条件には踏み込みません。

自営業・フリーランスの場合

日本国内に売上や不動産収入が残る場合は、非居住者としての日本の所得税の扱いが変わります。国税庁 No.1926(海外勤務中に不動産所得などがある場合)などに説明があります。

日本の収入を維持したまま移住する場合は、早めに税務署か税理士に相談することをお勧めします。納税管理人を誰にするかは、出国前に決めておきます。

12. つまずきやすいところと、やってはいけないこと

窓口での手続きは、一度失敗すると、取り戻しにくいものがあります。次の表は、本記事で扱った内容から、特に注意したい点をまとめたものです。

やってはいけないこと 理由
マイナンバーカードの継続利用手続きをせずに転出する 転出予定日に失効し、新規の交付が必要になる
住民票を残したまま出国する 国保料などが海外にいる間もかかる可能性がある
年金の任意加入を出国後に思い立つ 加入は申出月からで、遡れない
一時帰国で何も考えずに住民票を戻す 国民年金が強制加入に戻り、保険料の納付が発生する
1月2日以降に転出して納税管理人を決めない 納税通知書を受け取れず、納付が滞るおそれ
在留届を出さない 事故や災害の際の安否確認や、領事サービスで不利になる

この表から言えるのは、どの失敗も「出国前に確認すれば防げる」ということです。反対に、出国後に取り返しがつきにくいのは、マイナンバーカードの継続利用と、年金の任意加入の2つです。

13. オランダ側の手続きとの橋渡し

日本側の手続きとオランダ側の手続きは、別の窓口で進みますが、お互いに必要な書類があります。ここでは、つなぎ目になる部分を整理します。

オランダ到着後にすぐ必要なこと

オランダに着いたら、居住する自治体(gemeente、ヘメーンテ)で住民登録をします。住民登録とBSN(市民サービス番号)の取り方は、別の記事で扱います。

住民登録が済むと、銀行口座の開設、医療保険の加入、DigiD(オランダの行政サービス用のログイン)の申請へと進めます。銀行口座についてはオランダの銀行口座の開設ガイドが役に立ちます。

日本から持っていく書類

オランダでの手続きには、日本の書類が必要になることがあります。ただし、どの書類を求められるかは、在留許可の種類や自治体で変わります。この記事では、必要な書類の一覧には踏み込みません。

書類の取得には、日本国内にいるうちのほうが楽なものがあることは確かです。戸籍や住民票の写しなど、出国前に取れるものは、オランダ側の求めを調べたうえで準備してください。

オランダの年金と日本の年金

オランダで働くと、AOW(老齢年金)の仕組みに関わります。詳しくはオランダの年金AOWの解説にまとめています。

日本の任意加入を続けるかどうかは、オランダでの滞在予定や、将来の年金の見込みを踏まえて考えます。どちらの国で年金を受けることになるか、一つの正解はありません。

14. 時期別チェックリスト

最後に、本記事の内容を時期別のチェックリストにまとめます。印刷して使えます。

出国の2か月から1か月前まで

  • 住民票のある自治体の、国外転出届の窓口と受付日を調べた
  • 同時に確認する項目(マイナンバー・年金・国保・住民税)を書き出した
  • 年金の種別(第1号・第2号・第3号)を確認した
  • 任意加入するかどうか、国内協力者を誰にするかを決めた
  • 勤務先(または配偶者の勤務先)に、保険・年金・税の手続きを聞いた
  • 銀行・証券・カードの、海外転居時の扱いを各社に確認した
  • 納税管理人を誰にするかを決めた

出国の2週間前から出国日まで

  • 在外選挙の出国時申請をするか決めた
  • 国外転出届を出し、マイナンバーカードの国外継続利用を申請した
  • 国民年金の資格喪失(または任意加入)の手続きをした
  • 国民健康保険の脱退届を出した
  • 納税管理人の届出をした(必要な場合)
  • 住民票の除票や戸籍など、オランダで求められる可能性のある書類を取った
  • 日本の携帯・SMS認証・ワンタイムパスワードが海外で使えるかを確かめた

オランダ到着後

  • 在留届(ORRネット)を出した
  • 住所が決まったら、在留届の変更届を出した
  • 銀行・カードの住所を、各社の手順で変更した
  • 在外選挙の登録を検討した

日本に一時帰国・帰国するとき

  • 住民票を戻すかを、年金・国保・税の面から窓口に確認した
  • 帰国が決まったら、ORRネットで帰国・転出届を出す
  • マイナンバーカードの国外転出者向けの手続きを確認した
  • 納税管理人の解任が必要か、税務署に確認した

15. まとめ

オランダ移住前後の日本側の手続きの要点は、次の6点です。

  • 海外転出届は、1年以上の滞在や移住なら必要。住民票を残すと国保料などがかかる可能性がある
  • マイナンバーカードの国外継続利用は、転出予定日の前日までに、転出届と同時に手続きする
  • 国民年金は、第1号は資格喪失になり、日本国籍なら任意加入を選べる。出国前の手続きが安全
  • 住民税は1月1日の住所で決まり、1月2日以降の転出では納税管理人の届出が必要になる
  • 在留届は3か月以上の滞在で提出義務。日本から転出する人は到着の90日前から出せる
  • 一時帰国で住民票を戻すと、国民年金は強制加入に戻る。決める前に窓口で確認する

どの手続きも、個人の状況で答えが変わります。迷ったときは、住民票のある自治体の窓口、年金事務所、税務署、在オランダ日本国大使館といった公的な相談先に確認してください。

参考にした情報源

日本年金機構

マイナンバーカード・在留届

税金

自治体・金融機関・オランダ政府

いずれも2026年11月1日に確認したものです(外務省の在外選挙の2ページと在オランダ日本国大使館のサイトは、アクセス制限で本文を開けませんでした)。制度と様式は自治体や年度で変わるため、手続きの前に、最新の公式ページと窓口で確認してください。

よくある質問

オランダへ移住するとき、海外転出届は必ず出さなければいけませんか?
江戸川区の案内では、海外に移住する場合や1年以上海外に滞在する場合は転出届が必要です。住民票を残したままだと、海外にいる間も国民健康保険料がかかることがあります。滞在が1年未満の見込みなら不要な場合もあるため、窓口で滞在予定を伝えて確認してください。
マイナンバーカードは、オランダに移ったあとも使えますか?
日本国籍の方は、2024年5月27日から国外転出後もカードを使い続けられます。ただし国外転出届を出すときに、転出予定日の前日までに継続利用の手続きをする必要があります。しないまま転出すると、カードは転出予定日に失効します。
海外に住むあいだの国民年金は、どうすればよいですか?
海外転出届を出すと国民年金の強制加入ではなくなります。日本国籍で20歳以上65歳未満の方は、希望すれば任意加入で保険料を納め続けられます。任意加入中は免除・納付猶予や学生納付特例は申請できません。加入は出国前に市区町村窓口で手続きするのが安全です。
在留届は、いつまでに出せばよいですか?
外務省のオンライン在留届(ORRネット)では、海外に3か月以上滞在する日本人に提出が義務づけられています。日本から転出する方は、現地到着の90日前から提出できます。住所が未定でも提出でき、住所が決まったら変更届を出します。
住民税は、オランダに移ったあとも払う必要がありますか?
住民税はその年の1月1日に住所がある市区町村で、前年の所得に課税されます。1月2日以降に転出する場合は、納税通知書を受け取って納める人として納税管理人を事前に届け出る必要があると、文京区は案内しています。扱いは自治体で違うため、転出前に税務課へ確認してください。
一時帰国のときに住民票を戻してもよいですか?
短期間でも住民票に登録すると、その期間は国民年金の強制加入になり、手続きが必要だと日本年金機構は案内しています。国保にも関わるため、住民票を戻すかどうかは年金・保険・税の面から窓口で確認してから決めてください。

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