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Marktplaats で中古を安全に売り買いする|Tikkie・1セント詐欺と購入者保護

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Marktplaats で中古を安全に売り買いする|Tikkie・1セント詐欺と購入者保護

引越しや帰国が決まると、家具、自転車、子どもの成長で使わなくなったベビーカーなど、売りたい物が一気に増えます。オランダでは、こうした物を個人間で売り買いする場として Marktplaats(マルクトプラーツ)がよく使われます。

便利な反面、支払いをめぐる詐欺も多く、「Tikkie(ティッキー)で払うので、1セント送って確認してください」といった依頼が典型です。使う機能によって、守られる範囲がまったく変わるのがこのサイトの特徴です。

この記事は、中古品の個人間売買に絞って、出品から受け渡しまでの流れ、手渡しと発送の決め方、よくある詐欺の見分け方、被害に遭ったときの届け出先、個人から買う場合と事業者から買う場合の権利の違い、帰国前の一括処分の段取りを整理します。銀行員なりすましの電話詐欺は 別の記事、総額表示や14日の撤回の基本は こちらの記事 で扱っています。

この記事が主に根拠にした情報(いずれも2026年10月31日に確認)

  • Marktplaats「Kopersbescherming」「Voorkom betaalfraude」「Voorkom WhatsApp-fraude」の各公式ページ
  • Fraudehelpdesk の公式サイト(通報窓口・相談項目)と、警察(politie.nl)の通報案内
  • EU の「Your Europe」消費者の権利、ACM の撤回(bedenktijd)の案内、民法第7編第5条
  • 在住者向け・オランダ語メディアの報道(AVROTROS Radar、NOS、KPN の解説など。裏づけは上の一次情報で取りました)
この記事で分かること 答えの要点
取引はどこで完結させるか Berichten の中。外に誘われたら止める(第2章)
手渡しと発送はどちらがよいか 発送は購入者保護つき、手渡しは現物確認が頼り(第4章)
詐欺の典型は 偽の支払いリンク、1セント確認、偽の配送業者(第6〜7章)
被害に遭ったら 銀行→Marktplaats→警察→Fraudehelpdesk(第8章)
個人間と事業者で何が違うか 14日の撤回・法定保証は事業者から買う場合の話(第9章)
帰国前はいつから動くか 退去の4〜6週間前が目安(第11章)

1. 中古の個人間売買が身近な理由と、この記事の範囲

オランダの暮らしでは、家具付きでない部屋に入居したり、数年で引っ越したりする人が少なくありません。そのため、家具や自転車の売り買いはごく日常的な行為です。新品を買う前に Marktplaats を見る、という習慣のある人も多くいます。

この記事で扱うのは、家具・自転車・子ども用品・家電のような「中古の物」を、個人どうしで売り買いする場面です。自動車、不動産、チケット、動物、サービスの売買は、購入者保護の対象外とされるものもあり、別の注意が要るため扱いません。

日本のフリマとの違いを先に押さえる

日本のフリマアプリでは、出品から決済・配送まで1つのアプリの中で完結する取引が中心です。Marktplaats は、掲示板に近い広告サイトとして始まり、あとから決済と配送の機能が足されてきた経緯があります。

そのため、同じサイトの中に「完全にサイト内で完結する取引」と「連絡先を交換して手渡しで済ませる取引」が混在します。後者は、サイトが取引の中身を確かめられません。Marktplaats は公式ページで、サイトの外では確認できないという趣旨を述べています。

条件の違いとして読む

「オランダの個人間取引は危ない」「日本のほうが安心」と単純には言えません。仕組みの前提が違います。手渡し中心の取引が多い土地では、現物を見てから払う習慣が、そのまま最大の防御になります。発送の取引では、サイトの保護機能を使えるかどうかが分かれ目になります。

2. Marktplaats の取引の流れ:出品から受け渡しまで

流れは、出品、問い合わせ、条件の合意、支払い、受け渡し、の5段階です。どこで詐欺が入り込むかは、段階ごとに違います。まず全体を表にします。

段階 やること 詐欺が入りやすい点
1. 出品 写真、状態、希望価格、受け渡し方法を書く 連絡先を広告に出すと直接連絡が来る
2. 問い合わせ Berichten で質問や交渉を受ける WhatsApp・メールへの誘導
3. 合意 価格と受け渡し方法を決める 「送料込みで先に払う」などの急かし
4. 支払い サイトの支払い依頼、または手渡しで支払う 偽の支払いリンク、1セント確認
5. 受け渡し 手渡し、または発送 偽の配送業者、受け取り前の決済要求

表から分かるように、危険な場面は「Berichten の外へ誘われたとき」と「お金を動かす直前」に集中します。Marktplaats の公式ページも、交渉・支払い・発送を Berichten で行うよう勧めています。

売り手の安全な進め方

Marktplaats の案内では、売り手が合意した価格と配送方法を Berichten で提案し、支払い依頼を送ります。買い手は自分の銀行環境で支払い、双方に確認が届きます。発送の場合は、ラベルが Berichten に届き、荷物の追跡も Berichten に表示されます。

この「提案→支払い依頼→ラベル」の順に沿うと、サイトが記録を持つため、揉めたときの根拠が残ります。

Berichten で合意し、支払い依頼で払い、手渡しか発送で受け渡す流れ。外部アプリへ誘われたら止める。 1. 合意 Berichten 2. 支払い 支払い依頼 3. 受け渡し 手渡し/発送 4. 確認 48時間 外のアプリへ誘われたら、ここで止める
図1:サイト内で完結させる取引の流れ(出典:Marktplaats の公式ページ、Kopersbescherming、2026年10月31日確認。「確認48時間」は発送の購入者保護の場合)

3. 相場の調べ方と値付け

値付けは、売れ行きと詐欺への耐性の両方に関わります。相場より極端に安い物は詐欺の広告のことがあり、極端に高い物は売れ残ります。

同じ物の出品を並べて見る

最も確実なのは、同じ型番・同じ状態の出品を Marktplaats で検索して並べることです。ここで見えるのは「売れた価格」ではなく「売りたい価格」です。出品が長く残っているものは、高すぎる可能性があります。これは筆者の見立てで、サイトが売約価格を公表しているわけではありません。

IKEA の家具のように型番が分かる物は、新品の店頭価格と比べて、中古でどのくらい下がるかを自分で見積もれます。新品価格は各社の公式サイトで確認できます。

値付けの考え方

状況 考え方 注意
急ぎで退去する 少し安く出し、早く確実に引き取ってもらう 極端な安値は転売目的の買い手を呼ぶ
時間に余裕がある 相場の上限近くから始め、反応を見て下げる 1か月以上動かない物は見直す
状態に難がある 難を写真と文章に正直に書く 書いた難は後で責められにくい
大型で運びにくい 手渡し限定で、取りに来られる人に絞る 自宅の住所は合意後に伝える

値引き交渉への向き合い方

交渉は日常的ですが、「まとめて買うから安く」「先に払うから安く」といった言葉には注意が要ります。先払いを言い出すのが、詐欺の入口になることがあります。値引きは、現物を見て、その場で現金や自分の銀行アプリで払う前提なら、気軽に応じて構いません。

4. 手渡しか発送か:決め方と、それぞれの守り方

受け渡しは、手渡しと発送のどちらを選ぶかで、守られ方が変わります。Marktplaats の購入者保護は、発送の取引に付く仕組みです。

発送は購入者保護つき、手渡しは対象外

Marktplaats の公式ページによれば、買い手が PostNL、DHL、Brenger での発送を選ぶと、購入者保護が標準で付き、費用は買い手が負担します。売り手に費用はかかりません。保護の仕組みは Online Payment Platform(OPP)という事業者が運営し、お金を中間口座で預かります。

一方、手渡しで受け取った取引は、購入者保護の対象外と明記されています。

発送は購入者保護が標準で付き、手渡しは付かない。手渡しでは現物確認と自分の銀行アプリでの支払いが守りになる。 発送 購入者保護:あり お金は中間口座で預かり 受取後48時間で確認 手渡し 購入者保護:なし 現物を見てから払う 自分の銀行アプリで払う どちらも交渉と記録は Berichten に残す
図2:受け渡し方法による守られ方の違い(出典:Marktplaats の Kopersbescherming、2026年10月31日確認)

購入者保護の期限と対象

公式ページの内容を、表にまとめます。

項目 内容
お金の流れ 買い手が払うと OPP が預かり、売り手に「入金済み」と通知。発送後に精算
確認期間 受け取り後48時間。確認すれば売り手へ、何もしなければ48時間後に自動で売り手へ
商品が約束と違う 受け取りから48時間以内に Aankoopoverzicht(購入一覧)から報告
荷物が届かない 支払いから14日以内に同じ場所から報告
対象になる例 未発送、配送中の事故、空の荷物、別の商品、不足、偽物
対象外の例 手渡し、広告に明記された傷や摩耗、気が変わった、チケット類・動物・サービスなど

表のとおり、期限が短いのが要点です。買い手は受け取ったらすぐ開けて確認し、売り手は発送前の状態を写真で残しておくと、揉めたときに役立ちます。

手数料について

購入者保護の費用は買い手負担ですが、Marktplaats の公式ページに具体的な料率は書かれていませんでした。「小さな割合」と説明されているだけです。報道には金額を示すものもありますが、公式で確かめられた数字ではないので、この記事では書きません。支払いの前に、画面に出る金額を確認してください。

手渡しの守り方

手渡しの場合、保護機能の代わりに自分で次のことを行います。待ち合わせは人目のある場所にし、大型家具で自宅に来てもらうなら、家族や友人に同席してもらいます。買い手は現物を確かめてから払い、売り手は受け取る金額を確かめてから渡します。

現金なら、その場で受け取って渡します。振り込みなら、自分の銀行アプリで相手の口座に払う、または自分が受け取る口座の入金通知を銀行アプリで確かめてから渡します。「あとで払う」「入金は後で確認して」には応じません。

5. Gelijk oversteken から Kopersbescherming へ

Marktplaats を調べると、「Gelijk oversteken(ヘレイク・オーフェルステーケン、同時に渡る)」という言葉が出てきます。これは過去の機能名で、今は使われていません。

何だったのか

Gelijk oversteken は、お金を第三者の口座に預け、荷物が届いたと買い手が伝えてから売り手に払う仕組みでした。報道によれば、Marktplaats はこれをやめ、購入者保護に置き換えました。置き換えの理由は、仕組みが十分に堅くなかったためと報じられています。

古い記事やフォーラムには、旧機能の手数料や手順が残っています。古い情報で「Gelijk oversteken でお願いします」と言う人がいたら、それ自体を疑う材料にしてください。偽のメッセージで、この名前を出して信用させる手口も報じられています。

今の言葉で言い換える

昔の言い方 今の相当
Gelijk oversteken 購入者保護(Kopersbescherming)
第三者の口座に預ける OPP が中間口座で預かる
手数料が高い 買い手が負担。具体的な料率は公式ページで確認

置き換えの経緯は、AVROTROS Radar などの報道で確かめられます。ただし、仕様は変わるため、最新は必ず Marktplaats の公式ページで確認してください。

6. Tikkie・支払いリンク・1セント確認の詐欺

Marktplaats で最も警戒されているのは、偽の支払いリンクを使う詐欺です。売り手側が狙われやすく、「買う」と言って近づく形が典型です。

手口の流れ

Marktplaats の公式ページによれば、手口は次のとおりです。買い手を名乗る人が、WhatsApp など別の連絡先に誘い、「Marktplaats」「iDEAL」「Tikkie」を装った支払い依頼のリンクを送ります。あるいは、本人確認のためと称して少額(1セント)の送金を求めます。

リンクの先は、本物そっくりの偽サイトです。公式ページは「このリンクは Marktplaats にも iDEAL にも Tikkie にも行かない」と注意しています。偽サイトに銀行の情報を入れると、犯人がそれを使って口座に入り、お金を自分の口座へ移します。

1セントが危険な理由

「1セントを送ってください」は、一見害が小さく見えます。しかし、目的は1セントではなく、支払い手続きの画面を通じて、銀行の認証情報を引き出すことです。Fraudehelpdesk も相談項目の1つに「1セントの支払い依頼」を挙げています。

本物は Berichten 内の支払い依頼を自分の銀行アプリで開く。偽物は外部のアプリから来たリンクを開かせ、1セントを求める。 安全な形 Berichten 内で合意 サイトの支払い依頼 自分の銀行アプリで払う 危険な形 WhatsAppへ誘導 外部のリンクを開かせる 1セントで確認を求める リンクを開く前に、まず立ち止まる
図3:安全な形と危険な形の違い(出典:Marktplaats「Voorkom betaalfraude」、Fraudehelpdesk、2026年10月31日確認)

Tikkie そのものは悪くない

Tikkie は、オランダで広く使われる割り勘・集金の仕組みです。個人間で本物の Tikkie を使う人は大勢います。問題は、Marktplaats の取引で、見知らぬ相手から届く Tikkie 風のリンクです。

報道では、本物の Tikkie のリンクは tikkie.me で始まり、似た綴りは偽物だとされています。ただし、リンクの見た目だけで判断するのは難しいため、取引の相手から来たリンクを開かないことを原則にしてください。

手口を一覧にする

手口 言われること 取るべき行動
偽の支払いリンク 「Tikkie/iDEAL で払ったのでここで受け取って」 開かない。Berichten の支払い依頼だけを見る
1セント確認 「本人確認で1セント送って」 送らない。相手をブロック
偽のメール Marktplaats を装い「入金を受け取るボタン」 開かない。差出人が公式のドメインか確認
偽の IBAN 確認 「安全のため口座を確認します」 銀行情報を入力しない
偽の客サービス 「サポートです。銀行情報を教えて」 客サービスは広告に返信も電話もしない

Marktplaats は公式ページで、本物のリンクは www.marktplaats.nl、www.help.marktplaats.nl、www.marktplaatszakelijk.nl で始まり、メールは @marktplaats.nl、@email.marktplaats.nl、@mail.marktplaats.nl で終わると案内しています。また、怪しいリンクは checkjelinkje.nl で確かめられます。

「綴りの違い」で見分ける

偽サイトは、markplaats のように綴りを1文字変えたり、似た文字に置き換えたりします。公式ページも、綴りの違いに注意するよう案内しています。ただ、綴りが正しくても安全とは限らないので、リンクを開く場面そのものを減らすのが確実です。

7. 偽の配送業者と、そのほかの手口

支払いリンクのほかにも、売り手を狙う手口があります。

偽の配送業者(nep-koerier)

Fraudehelpdesk の相談項目に、「Nep-koerier na verkoop op handelsplaats(取引サイトでの売却後に現れる偽の配送業者)」があります。買い手が「配送業者が荷物を取りに行く」「手数料を払えば届く」と言う形が典型とされます。

2023年の警察の事件についての報道では、犯人が Marktplaats で被害者に近づき、実在しない配送サービスのリンクを送っていました。配送業者を名乗るリンクで支払いや情報入力を求められたら、取引を止めます。

先に代金を受け取れない場合の注意

「ここで入金を受け取って、そのあと送ってください」という流れは、入金を受け取る名目のリンクが罠になります。Marktplaats は、入金や発送の確認を求めるリンクを送る手口にも注意しています。本物の支払い確認は、Berichten の中に表示されます。

手口が似ている点を覚える

共通点 具体例
外部に誘う WhatsApp、メール、別のアプリ
急がせる 「今日中に」「他の人も見ている」
少額から始める 1セント、送料、手数料
公式を装う Marktplaats、iDEAL、Tikkie、配送業者の名前

この4点のうち2つが重なったら、取引を一度止めて、第三者(家族、同僚、Fraudehelpdesk)に話してみてください。

買い手側が狙われる場合

買い手も標的になります。極端に安い広告、遠方の売り手、「先に払えば取り置く」といった話がそうです。買い手は、現物を見てから払うか、発送なら購入者保護を使うことで守られます。Marktplaats の案内では、広告の「Bankrekening gecontroleerd(口座確認済み)」「ID gecontroleerd(ID確認済み)」の表示や、出品者の登録期間・評価も判断材料になります。

8. 被害に気づいたら:届け出の順番と窓口

支払いリンクを開いて銀行情報を入れた、お金を送ってしまった、という場合は、時間との勝負です。先に動くべき順に並べます。

順番は「銀行→証拠→通報→届出」

Marktplaats は、詐欺に遭ったらすぐ会話の画面を保存し、警察に届出をするよう案内しています。銀行情報を入れたなら、まず自分の銀行の緊急窓口に電話して口座やカードを止めます。銀行の補償を受ける際には届出が求められることがあります。

銀行へ連絡、画面の保存、Marktplaats へ通報、警察へ届出、Fraudehelpdesk へ相談の順に動く。 1. 銀行 口座を止める 2. 保存 画面を残す 3. 通報 Marktplaats 4. 届出 警察 5. 相談 Fraudehelp 銀行情報を入れたなら、まず1番目から
図4:被害に気づいたときの順番(出典:Marktplaats、警察(英語ページ)、Fraudehelpdesk、2026年10月31日確認)

窓口ごとの役割

窓口 役割 連絡先・方法
自分の銀行 口座・カードの停止、送金の取り消し依頼 カード裏面や公式サイトの番号
Marktplaats 広告・ユーザーの通報、アカウント停止の判断 「Zo maak je een melding」のページ
警察 届出(aangifte)の受理 DigiD でオンライン、または 0900-8844
Fraudehelpdesk 相談と通報の受付(捜査権限はない) 088-786 73 72、公式サイトの通報フォーム

警察への届け出

警察の英語ページによれば、DigiD(BSN があれば取得でき、SMS 認証が必要)があれば、インターネット詐欺をオンラインで届け出られます。オンラインの様式はオランダ語のみで、読めない場合は警察署へ行くよう案内されています。

警察署で届け出る場合は、0900-8844(国外からは +31 34 357 8844)で予約し、パスポートなどの身分証を持参します。緊急のときは 112 です。警察の資料では、届出のときにメッセージや画面の写しを渡すよう勧めています。

「お金は戻るか」について

正直に書くと、届け出をしても、個人間取引でだまし取られたお金が戻る保証はありません。銀行情報が盗まれて口座から勝手に引き出された場合の補償は、銀行員なりすまし詐欺の記事で整理した考え方が関わります。自分で振り込んだ場合は、銀行に返金の義務がないのが原則です。

それでも届け出る意味はあります。被害の記録が積み重なることで、犯人の特定や、サイト側の対策につながります。警察と Marktplaats の連携で、支払い依頼詐欺が大きく減ったという報道もあります。

9. 個人から買う場合と事業者から買う場合の権利

「14日以内なら返品できる」「法定保証がある」は、オランダや EU の消費者の権利として知られています。ただし、これは事業者から買う場合の話で、個人から買う場合は事情が異なります。

何が違うのか

EU の公式案内「Your Europe」は、「個人から買う中古品は EU の消費者法の対象外」と明記しています。例外として、オークションサイトの売り手が事業者として活動している場合は、EU のルールが適用されます。

また、同じ案内は、14日の撤回の例外に「個人から買った物」を挙げています。さらに、オンラインの売買サイトは、売り手が事業者か個人かを表示する義務があるとされています。

項目 個人から買う 事業者から買う
消費者法の保護 対象外とされる 対象
遠隔販売の14日の撤回 使えない(例外に明記) 原則として使える(例外あり)
法定保証 期待できない 事業者から買えば対象。決まった年数はなく、その物に通常期待できる期間(redelijke levensduur)で決まる(ACM ConsuWijzer の説明)
不具合の証明責任 買い手が重い 買い手に有利な扱いがある(詳細は ACM ConsuWijzer で確認)
相談先 ACM ConsuWijzer で個別に確認 ACM ConsuWijzer、苦情申立て

民法上の位置づけ(確認できた範囲)

オランダ民法第7編第5条は、消費者売買を「売り手が事業として売り、買い手が事業の外で買う」売買と定めています。つまり、個人どうしの売買は、消費者売買の規定の外にあるという構造です。

では、個人間でも何も主張できないのかというと、そこまでは断定できません。民法の売買の一般規定が個人間でも関係し得ます。ただ、事案ごとに結論が変わる部分で、この記事では確かめきれていません。個人から買った物が約束と違うときは、ACM ConsuWijzer の窓口や法律相談で個別に確認してください。

事業者が個人を装う場合

売り手が個人の顔をしながら実際は事業として継続的に売っている、という場面があります。EU の案内は、そうした売り手に EU のルールが及ぶ場合があるとしています。広告に事業者の表示があるか、同じ種類の物を大量に出していないかを見ます。判断が難しいときは、ACM ConsuWijzer に問い合わせられます。

買い手として自衛する

個人から買うときは、撤回も保証も当てにできない前提で選ぶのが安全です。次のことを、買う前に行います。

  • 動作を目の前で確かめる(電源を入れる、鍵を回す、自転車に乗る)
  • 状態の説明は、Berichten に文字で残してもらう
  • 高額なら、レシートや購入証明、シリアル番号を見せてもらう
  • 「現状渡し」と言われたら、その意味を理解して買う

売り手として自衛する

売り手も、状態を正直に書くことが最大の防御です。傷、動作不良、修理歴を広告に書き、写真を撮っておきます。「現状のまま」と書く場合でも、知っている欠陥を隠すと、争いになったときに不利になり得ます。この点は法的な判断が要るため、大きな金額なら専門家に確認してください。

10. 日本のフリマ・個人売買と比べて

日本の読者が最もよく比べるのは、メルカリやヤフオクのようなアプリでしょう。違いを条件として整理します。

比べる点 日本のフリマアプリ(一般的な傾向) Marktplaats
取引の完結 アプリ内で決済・配送が完結する形が中心 掲示板が出発点。手渡し・外部決済の取引も多い
保護の付き方 取引の中で一律に付く仕組みが多い 発送+購入者保護の取引に付く。手渡しは対象外
手渡し 少数派 家具・自転車では多数派
支払い アプリ内の決済 iDEAL・銀行アプリ・現金・サイトの支払い依頼
詐欺の入口 外部連絡先の交換、偽の決済ページ 外部への誘導、偽の支払いリンク、1セント確認

どちらが優れているという話ではありません。家具や自転車のように大きくて重い物は、手渡しが合理的で、その分、自分で守る範囲が広がる、という違いです。

日本の感覚で失敗しやすい点

日本のフリマに慣れていると、「プラットフォームが守ってくれる」と思いがちです。Marktplaats では、守ってくれる範囲が取引の方法で決まることを、最初に頭に入れておくと混乱しません。

また、日本では「購入後のキャンセル」や「到着後の返品」をアプリ内で相談できる場面が多いのに対し、オランダの個人間の手渡し取引は、その場の合意が最終になりやすいです。

11. 帰国前の一括処分の段取り

帰国や引っ越しの前は、短い期間で多くの物を手放す必要があります。ここからは公的な基準ではなく、これまでの内容をもとに筆者が整理した段取りの目安です。

退去日から逆算する

時期の目安 やること ねらい
退去の4〜6週間前 売る物のリストと写真づくり、大型の出品開始 手渡しの日程調整に余裕を持つ
3〜4週間前 反応の悪い物の値下げ、発送できる物は発送で出す 購入者保護で遠方の買い手も安全に
2週間前 売れ残りの見切り。無料で引き取り手を探す 現金化より処分を優先する
1週間前 受け渡しの最終日程。最後まで使う物は引き渡し日を指定 退去日に間に合わせる
退去前日まで 残りの引き取り先を確定 持ち帰れない物を残さない

使い続ける物の扱い

最後まで使う寝具や家電は、買い手に「退去日の○日に取りに来る」と伝えて予約しておけます。ただし、先に代金を受け取る場合でも、受け取りは自分の銀行アプリで入金を確認してからにします。「先に払うので取り置いて」の相手には、手付けではなく、現物と引き換えに払ってもらうほうが安全です。

まとめて売る相手に注意する

「全部まとめて買う」という申し出は魅力的ですが、まとめ買いを装った詐欺もあります。偽の支払いリンクや、外部連絡先への誘導が典型です。大口の買い手ほど、Berichten の外に誘われないこと、現物と引き換えに払ってもらうことを守ってください。

売れ残りと、発送の判断

売れ残った物は、無料で出す、自治体の粗大ごみの回収に出す、といった選択肢があります。回収の方法や費用は自治体で異なるため、お住まいの gemeente(自治体)の公式サイトで確認してください。

小さくて軽い物は、発送にすると購入者保護がつき、買い手の幅も広がります。大型家具は手渡しになります。

12. やってはいけないこと

ここまでの内容を、禁止事項としてまとめます。

やってはいけないこと 理由
相手から届いたリンクを開く 偽サイトで銀行情報を抜かれる
1セントを送って「確認」する 目的は認証情報の入手
WhatsApp やメールで取引を進める サイトの保護と記録の外に出る
先に荷物を渡して「あとで払う」を信じる 払われなくても取り返せない
入金を確かめずに物を渡す 偽の入金画面で信じ込まされる
銀行の PIN や認証コードを伝える 売買に必要な情報ではない
画面や会話を消してしまう 届出と補償の証拠が消える
被害を恥じて届け出ない 記録がなければ対策も補償も進まない

13. チェックリスト

売る前

  • 状態、傷、動作を正直に書き、写真を撮った
  • 同じ物の出品を調べて、価格の見当をつけた
  • 住所や電話番号を広告に載せていない

取引中

  • やりとりは Berichten の中で行っている
  • 支払いは自分の銀行アプリ、または現物と引き換えの現金
  • リンクを開かず、1セントも送っていない
  • 発送なら購入者保護を使い、期限(48時間・14日)を把握している

被害に気づいたら

  • 銀行に連絡した
  • 画面を保存した
  • Marktplaats に通報した
  • 警察に届出をした

14. まとめ

  • Marktplaats の取引は、交渉・支払い・発送を Berichten の中で完結させるのが基本です。
  • 購入者保護は発送に標準で付き、手渡しには付きません。手渡しは現物確認と自分の銀行アプリが守りになります。
  • 偽の支払いリンク、1セント確認、偽の配送業者は、外へ誘う・急がせる・少額から始める点が共通します。
  • 被害に気づいたら、銀行、画面の保存、Marktplaats への通報、警察への届出、Fraudehelpdesk への相談の順に動きます。
  • 個人から買う中古品は EU の消費者法の対象外とされ、14日の撤回や法定保証は期待できません。事業者から買えば使えます(保証の期間は物による)。
  • 帰国前は、退去の4〜6週間前から動き、現金化より引き取り先の確保を優先します。
  • 制度と仕様は変わります。2026年10月31日に確認した内容を、実際に取引する前に公式ページで確かめてください。

参考にした情報源

Marktplaats

警察・Fraudehelpdesk

消費者の権利

報道(背景の確認のみに使用)

いずれも2026年10月31日に確認したものです。手数料、期限、仕様は変わります。個人の状況で答えが変わる話(損害の補償、法的な責任)は、ACM ConsuWijzer、警察、銀行、法律相談などの公的な窓口で確認してください。

関連する記事:銀行員なりすまし詐欺の見分け方と手順/総額表示と14日の撤回の基本

よくある質問

Marktplaats(マルクトプラーツ)とは何ですか?日本のフリマアプリと同じですか?
オランダ最大級の個人間・事業者向け売買サイトです。メルカリのような独自の配送・決済の仕組みもありますが、手渡しで現金やiDEALを使う取引も多く、取引の安全は使う機能で変わります。購入者保護は発送を選んだときに標準で付きます。
Marktplaats で「Tikkie で払います」「1セント送って確認させて」と言われたら?
応じないでください。リンクを開かず、1セントも送らず、相手をブロックします。Fraudehelpdesk も1セントの支払い依頼を相談項目に挙げており、偽サイトで銀行の認証情報を抜く手口が報じられています。支払いは Marktplaats の Berichten(チャット)内の機能で完結させます。
Marktplaats の購入者保護(Kopersbescherming)は手渡しにも使えますか?
使えません。Marktplaats の案内では、手渡しで受け取った取引は対象外です。発送(PostNL・DHL・Brenger)を選んだときに標準で付き、費用は買い手が負担します。手渡しは、現物を確かめてから払う自己防衛が中心になります。
個人から買った中古品が壊れていたら、14日以内に返品できますか?
できないのが原則です。EU の消費者向け案内は、個人から買った中古品を EU 消費者法の対象外としており、撤回の例外にも挙げています。事業者から買った場合は、法定保証(期間は物による)や遠隔販売の14日の撤回が使えます。個別の事案は ACM ConsuWijzer に相談してください。
詐欺に遭ったら、どこに知らせますか?
Marktplaats に通報し、画面を保存したうえで警察に届出(aangifte)をします。インターネット詐欺は DigiD があればオンラインで届け出られ、なければ 0900-8844 に電話して警察署の予約を取ります。電話相談は Fraudehelpdesk(088-786 73 72)です。銀行情報を入力したなら、まず銀行へ。
帰国前に家具や自転車をまとめて売るなら、いつから動けばよいですか?
目安は退去の4〜6週間前です(筆者の整理した段取りで、公的な基準ではありません)。大型家具は手渡しの日程調整に時間がかかり、売れ残りの処分にも余裕がいります。使い続ける物から順に出品を締め、最後の1週間は現金化より引き取り先の確保を優先します。

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