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隠れ手数料€2〜4で補償へ|オランダの総額表示・値引きの30日ルール・14日撤回の基本(2026年)

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隠れ手数料€2〜4で補償へ|オランダの総額表示・値引きの30日ルール・14日撤回の基本(2026年)

宅配アプリで料理を選び、合計金額を確認して「注文する」に進んだら、最後の画面で数ユーロ増えていた。サービス料、小口注文の追加料金、袋や容器の代金。オランダで暮らしていると、こうした経験をした人は少なくないはずです。

起点にしたのは、在住者向け媒体 IamExpat の2026年10月21日の記事 です。消費者団体 Consumentenbond(コンシューメンテンボンド、消費者協会)との話し合いを経て、Thuisbezorgd(タウスベゾルフト)と Uber Eats が、必須の追加費用を最初から表示することに合意し、何百万人もの利用者に€5〜€30のバウチャーを配ると伝えています。

この記事では、その一件を入口に、オランダの「価格表示と隠れ費用」のルールを整理します。総額表示、値引き前の価格は過去30日の最低価格というルール、オンライン購入の14日間の撤回期間、そして苦情の出し方です。賃貸サイトの有料プランは「オランダの有料賃貸サイト」、スーパーの価格比較は「どのスーパーか」で扱っています。この記事は、どの買い物にも共通する消費者の権利と、その使い方に絞ります。

主な根拠:IamExpat(2026年10月21日)、NL Times・DutchNews.nl の報道、ACM ConsuWijzer の案内、オランダ民法第6編と価格表示令、EU の価格表示指令・消費者権利指令・Omnibus 指令。

この記事で扱うことを、先に表にしておきます。

知りたいこと 答えの要点
宅配アプリで何が問題だったか 必須の費用が注文の途中や最後に出ていた
バウチャーは誰がもらえるか 期間内の利用者。申請不要でメールで届く
値引き表示のルール 元の価格は直前30日間の最低価格
ネットで買ったものは返せるか 多くは14日以内に解除できる。例外あり
困ったときの相談先 事業者 → ACM ConsuWijzer → 紛争委員会
日本との一番の違い 日本の通販にはクーリング・オフがない

どの項目も、根拠にした条文や公式ページを本文と末尾に挙げています。

1. Thuisbezorgd と Uber Eats で何が起きたか

まず、今回の一件を時系列で押さえます。宅配アプリの手数料は、2026年に突然問題になったわけではありません。Consumentenbond は2022年にも、宅配サービスがサービス料を見えにくくしていると指摘していました。

2026年7月:隠れ費用と偽の値引きの指摘

NL Times と DutchNews.nl は2026年7月22日、Consumentenbond が Thuisbezorgd.nl の注文画面を数か月にわたって調べた結果を報じました。「サービス」の名目の料金や、袋・プラスチック容器・ソースの代金といった必須の費用が、注文の途中か最後になって初めて表示されていたといいます。

その額は、1回の注文あたりおおむね€2〜€4と報じられています。Consumentenbond は、隠れ費用の総額は数億ユーロにのぼると見積もりました。DutchNews.nl によると、Thuisbezorgd のオランダの利用者は600万人を超えます。

値引きの表示にも問題がありました。€3.75で売られていたインドの軽食が、のちに「€7.50 → €6」のセール品として表示されていた例です。Thuisbezorgd は当時、この指摘に反論しています。

2026年8月:Uber Eats への催告

Uber Eats は2026年6月に表示を一部直したものの、Consumentenbond は8月11日、必須費用の明示が不十分だとして sommatie(ソマーティ、催告書)を送り、法的手段も検討すると発表しました。偽の値引きは見つからなかったとされています。

2026年10月20日:合意とバウチャー

そして2026年10月20日、Consumentenbond は 両社が隠れ費用をやめたと発表しました。注文に必ずかかるサービス料、小口注文の追加料金、包装代を、はっきり知らせるようにしたという内容です。Thuisbezorgd は、誤った値引き表示もやめました。

下の図は、ここまでの流れをまとめたものです。

2022年5月に Consumentenbond が宅配サービスの見えにくいサービス料を指摘。2026年6月に Uber Eats が表示を一部修正。2026年7月22日に Thuisbezorgd の隠れ費用と偽の値引きを公表。8月11日に Uber Eats へ催告。10月20日に両社と合意し、バウチャーを配ることに。メールの送付時期は公表されていない。 2022.05 宅配各社の見えにくい料金を指摘 Consumentenbond の調査 2026.06 Uber Eats が表示を一部修正 偽の値引きは見つからず 2026.07 隠れ費用€2〜4と偽値引きを公表 Thuisbezorgd は反論 2026.08 Uber Eats に催告書を送付 法的手段も検討 2026.10 両社と合意、表示を改善 10月20日に発表 未定 バウチャーのメールを送付 送付時期は公表されていない
図1:宅配アプリの隠れ手数料をめぐる経緯(出典:Consumentenbond 2022年5月25日、DutchNews.nl 2026年10月20日ほか。2026年10月25日確認)

図のとおり、指摘から合意まで、2026年だけでも約7か月かかっています。消費者団体が粘り強く交渉し、最後は補償まで取りつけた事例だといえます。

2. バウチャーは誰に、いくら届くのか

NL Times の2026年10月20日の記事が、対象期間と金額を具体的に伝えています。

2社の条件の違い

両社の仕組みは別々です。報道された条件を並べます。

項目 Thuisbezorgd Uber Eats
対象期間 2022年10月31日〜2026年8月17日 2021年10月1日〜2026年9月30日
基準 払ったサービス料の合計 注文した回数
少ない利用 €1超で€5を1枚 5回までで€10分
中くらいの利用 ― 6〜25回で€20分
多い利用 €10超で€5を2枚 26回以上で€30分

Thuisbezorgd は払ったサービス料、Uber Eats は注文回数で金額が決まります。両方を使っていた人には、それぞれからメールが届く見込みです。

申請は不要、ただし条件は読む

IamExpat によると、Consumentenbond の代表 Sandra Molenaar(サンドラ・モレナール)氏は、利用者に1枚以上のバウチャーを載せたメールが自動で届くと説明しています。迷惑メールのフォルダも確認してください。

一方、メールがいつ届くか、有効期限がいつまでかは公表されていません。Consumentenbond の バウチャーの案内ページには「De keuze is aan jou(選ぶのはあなた)」という項目があり、使うかどうかは各自が条件を見て判断する形です。届いたら、まず条件と期限を読んでください。

便乗した偽メールに注意

バウチャーを装った偽のメールが出回ることも考えられます。メールのリンクからカード番号を入れるのは避け、アプリを自分で開いて確認するのが安全です。

3. 「隠れ手数料」と「ドリップ・プライシング」とは何か

今回の問題は「ドリップ・プライシング(drip pricing)」と呼ばれます。最初に安く見せ、手続きが進むにつれて費用を足していく見せ方です。オランダ語では sluipkosten(スライプコステン、忍び込む費用)とも呼ばれます。

何が消費者を不利にするのか

消費者は最初に見た価格で店を比べます。最後の画面で増えても、そこから選び直すのは面倒です。比べるための情報が、比べられない段階で出てくることが問題です。

下の図は架空の例です。料理€20の注文に3つの費用が足されると、支払いは€23になります。

架空の例。最初に見えた価格は料理代の20ユーロ。支払う総額は、サービス料1ユーロ、包装代0.5ユーロ、小口注文の追加料金1.5ユーロを足した23ユーロで、3ユーロ高い。 最初の表示 €20.00 支払う総額 €23.00 サービス料 €1.00 包装 €0.50 小口注文 €1.50 灰色は料理代。数値は説明のための架空の例
図2:最初の表示と支払う総額の差(架空の例。隠れ費用€2〜4という指摘は NL Times 2026年7月22日による)

1回€3の差でも、週に1回頼めば年に€150以上になります。

必須の費用と、選べる費用の線引き

オランダのルールで大事なのは、その費用が避けられるかどうかです。ACM の事業者向けの指針「Prijzen vermelden(価格の表示)」をもとに、主な費用を分けると次のようになります。

費用の例 区分 表示のしかた
付加価値税(BTW) 避けられない 価格に含める
必須のサービス料・予約手数料 避けられない 最初の価格に含める
必須の包装代・袋代 避けられない 最初の価格に含める
保険・朝食・駐車などの追加 選べる 別に表示し、選んだときだけ足す
決済手数料 方法による 別に表示。実費を超えられない
輸入関税 事前に額が出ない かかることを知らせる

上の3行は、注文の最後で初めて出してはいけない費用です。

4. オランダとEUのルールの全体像

価格表示のルールは、1つの法律にまとまっているわけではありません。EU の指令をもとに、オランダの民法や価格表示令に分かれて入っています。ここで全体の地図を作っておきます。

EU の指令が土台になっている

EU では、価格表示指令(98/6/EC)、誤解を招く表示を禁じる 不公正取引慣行指令(2005/29/EC)、通販の事前情報と14日の撤回権を定める 消費者権利指令(2011/83/EU)の3つが土台です。2019年の Omnibus 指令(2019/2161)で、値引き表示の30日ルールが価格表示指令の第6a条として加わりました。

オランダでは民法と価格表示令に入っている

オランダでは、これらが 民法(Burgerlijk Wetboek)第6編と Besluit prijsaanduiding producten(価格表示令)に取り込まれています。主な条文を表にまとめました。

ルール 主な条文 中身
誤解を招く取引の禁止 民法6:193c〜193e 税込価格や追加の配送費は重要な情報
通販の事前情報 民法6:230m 1項e 税込の総額と追加費用を契約前に示す
追加の支払い 民法6:230j 明示の同意がなければ拘束されない
決済手数料 民法6:230k 事業者の実費を超えられない
14日の撤回 民法6:230o・230r 理由なしで解除。返金は14日以内
値引き前の価格 価格表示令 第5a条 直前30日間の最低価格

表の条文は、いずれも2026年10月25日に wetten.overheid.nl で確認したものです。条文の番号まで覚える必要はありませんが、苦情の手紙に書くと、事業者の対応が変わることがあります。

ACM と ConsuWijzer の役割

ルールを守らせる役目を持つのは、ACM(Autoriteit Consument & Markt、消費者・市場庁)です。消費者向けの窓口が ACM ConsuWijzer(コンシュワイザー)で、消費者向けサイトで権利の説明と通報の受付をしています。

Consumentenbond は会員制の民間団体で、制裁金を科す権限はありません。消費者団体が交渉で圧力をかけ、ACM が制裁金で後押しするという分担です。

5. 総額表示:最初の価格に何が入るべきか

「最初に見える価格が、払う価格」

ACM ConsuWijzer の「Prijzen en bijkomende kosten(価格と追加費用)」は、事業者が最初に示す価格は、消費者が払う価格でなければならないと説明しています。避けられない費用(onvermijdbare kosten)は最初の価格に入れる必要があり、予約や注文の途中で足すことは認められていません。根拠として挙げられているのは、Prijzenwet(価格法)と、不公正取引慣行を定めた法律です。

民法でも、6:193e 条が「購入の勧誘」に必要な重要情報として、税込の価格と、追加の配送費を挙げています。額が事前に計算できないときは、計算のしかたか、追加費用がかかるという事実を示す必要があります。

業界ごとに積み重なってきた事例

ACM はチケット、宿泊予約、自動車などでも、必須費用を最初の価格に含めるよう求めてきました。旅行オークションサイト Reizendeals.nl の例では、NL Times の2024年12月10日の記事によると、ACM は2024年10月8日に改善を命じ、従わなければ週€8,000、上限€80,000の強制金を科すとしました。サイトは期限までに表示を直しています。

例外として認められる表示

配送距離で変わる費用のように、事前に額が決まらないものは、計算方法か現実的な例を示せばよいとされています。輸入関税は、かかることを知らせれば額までは不要です。宅配アプリのサービス料のように、必ずかかり額も分かっている費用は、この例外に入りません。

6. 値引き表示の「過去30日最低価格」ルール

今回は偽の値引きも問題になりました。EU には、値引き前の価格についてはっきりしたルールがあります。

元の価格は「直前30日間の最低価格」

Besluit prijsaanduiding producten の第5a条は、値引きを告知するとき、元の価格として、値引き前の少なくとも30日間につけた最低価格を示すよう定めています。ACM の指針は、取り消し線の価格でも「〇%オフ」でも、どの形の値引き表示にも当てはまると説明しています。

EU 司法裁判所も2024年9月の C-330/23 事件の判決で、割引率は実際にこの「以前の価格」をもとに計算しなければならないと判断しました。

例外は3つ

主な例外を表にしました。

場面 元の価格として示すもの 根拠
通常の値引き 直前30日間の最低価格 第5a条1項
傷みやすい商品 値引き直前の価格でよい 第5a条2項
段階的な値引き 最初の値引き前30日の最低価格(最長3か月) 第5a条3項
発売30日未満の商品 店が示す期間の最低価格 第5a条4項

段階的な値引きの例外は、途中で値上げをはさむと使えなくなります。

Thuisbezorgd の例に当てはめる

報道された例を、このルールに当てはめます。

以前の価格は3.75ユーロ。表示された元の価格は7.50ユーロ、セール価格は6ユーロ。30日最低価格のルールでは、元の価格は3.75ユーロとなり、6ユーロは値引きではなく値上げになる。 以前の価格 €3.75 表示の元値 €7.50 セール価格 €6.00 点線:30日ルールで元値にすべき価格 €6.00は値引きではなく€2.25の値上げ
図3:偽の値引きと30日最低価格(出典:DutchNews.nl 2026年7月22日、ルールは Besluit prijsaanduiding producten 第5a条。2026年10月25日確認)

直前30日間に€3.75で売っていたなら、元の価格として示せるのは€3.75です。€6は€3.75より高いので、そもそも値引きとして告知できません。

ACM の制裁金と最新の調査

ACM は2023年1月からこのルールの監視を強め、2024年6月11日に5つのネットショップに合計€621,000の制裁金を科しました。

事業者 制裁金(€) 対応
Day Trayders(koopjedeal.nl) 163,000 違反を否定
Leen Bakker 130,000 違反を否定
JYSK 112,500 違反を認め改善を約束
G-Star 110,000 違反を認め改善を約束
Tommy Hilfiger 105,500 違反を認め改善を約束

違反を認めて改善を約束した会社は、制裁金が軽くなっています。ある店は「€699 → €629」と表示していましたが、少し前のセールで€539で売っていました。宅配アプリと同じ構図です。

それでも、ACM が 2025年11月20日に公表した調査では、大手24社のうち18社(75%)に誤解を招く価格表示がありました。「adviesprijs(希望小売価格)」のような言葉を、意味を説明せずに使う例が目立ったといいます。

7. オンライン購入の14日撤回(bedenktijd)

オランダには、通販などで買ったものを理由なしに解除できる bedenktijd(ベデンクタイト、考え直す期間)があります。

いつから14日を数えるか

民法6:230o 条は、通販(overeenkomst op afstand)の契約を、理由を示さずに14日以内に解除できると定めています。数え始める日は、ACM ConsuWijzer の「Bedenktijd」によると次のとおりです。

買ったもの 14日を数え始める日
商品 自分(または指定した人)が受け取った日
複数の商品を1回で注文 最後の商品を受け取った日
サービス・電気やガスの契約 契約した日
ダウンロードやストリーミング 契約した日

ConsuWijzer によると、14日目の24時が期限で、その日が週末や祝日なら次の営業日まで延びます。解除の通知は、送った日が基準になります。

撤回できないもの:宅配の料理は対象外

民法6:230p 条が例外を並べています。暮らしに関係するものを抜き出しました。

撤回できないもの 例
傷みやすい商品・日持ちしない商品 生鮮食品、花、宅配の料理
注文に合わせて作ったもの 名入れ品、オーダー家具
開封した衛生用品 化粧品、下着など
日付が決まった外食・余暇・宿泊 コンサート、レストランの予約、ホテル
開封したソフト・映像ソフト 封を切ったゲームやDVD

宅配の料理は傷みやすい商品にあたり、通常は撤回できません。だからこそ、注文の前に総額が正しく見えることが大切です。

返金は14日以内、最初の送料も戻る

解除すると、事業者は解除の通知を受けてから14日以内に、受け取った支払いを全額返す必要があります(民法6:230r 条)。最初の配送料も含まれますが、自分で選んだ速達などの差額は戻りません。

返品の送料は、事業者が事前にはっきり知らせていれば消費者の負担です。一部だけ返品したときは、最初の送料は戻りません。

実際には守られていない例もあります。IamExpat の2021年10月31日の記事によると、Consumentenbond が200のネットショップで買って返品したところ、53%がルールどおりに返金しなかったといいます。返金が遅いときは、ルールを示して催促してかまいません。

なお、事業者が撤回権の情報を知らせていなかった場合、撤回できる期間は最長12か月延びます(民法6:230o 条2項)。

2026年6月からの「撤回ボタン」

2026年6月19日からは、ネットショップやアプリに、撤回のための分かりやすいボタンを置くことが義務になりました。もとになっているのは EU の 指令(EU)2023/2673で、オランダでは民法6:230oa 条に入っています。

ACM の2026年6月11日の発表によると、ボタンは「mijn aankoop ongedaan maken(購入を取り消す)」のように目的がすぐ分かる表示で、14日の間ずっと使えなければなりません。アカウントの作成を求めてはならず、ボタンがなければ撤回期間が1年延びるおそれがあります。

8. 追加料金・決済手数料・事前チェックのルール

総額表示と並んで、隠れ費用を防ぐ短い条文がもう2つあります。

チェック済みのオプションと決済手数料

民法6:230j 条は、本体ではない追加のサービスへの支払いは、明示の同意がなければ成立しないと定めています。座席指定や保険が初めからチェック済みでも、外さなかっただけでは同意になりません。民法6:230k 条は、決済手数料を事業者の実費までに限っています。

追加の請求 ルール 条文
チェック済みのオプション 明示の同意がなければ払う必要なし 民法6:230j
決済手数料 事業者の実費まで 民法6:230k
契約後の問い合わせ電話 基本料金まで 民法6:230k 2項
事前に知らされなかった必須費用 払いを拒むか、後で返金を求められる ACM の指針

表の最後の行は大切です。ACM の指針は、避けられない費用を価格に含めなかった場合、消費者はその支払いを拒んだり、後から返金を求めたりできると説明しています。

9. 苦情の出し方:誰に、どの順で

表示と違う請求を受けたら、段階を踏んで進むのが基本です。

1. まず事業者に書面で苦情を出し記録を残す。2. ACM ConsuWijzer に通報・相談する。3. 事業者が加盟していれば紛争委員会に申し立てる。申立料は通販の委員会で52.50ユーロから。4. 2万5,000ユーロ以下なら簡易裁判所に弁護士なしで訴えられる。 1. 事業者 書面で苦情 2. 当局 ConsuWijzer 3. 紛争委 €52.50から 4. 裁判所 €25,000以下 EU の他国の事業者なら ECC Nederland(無料)
図4:苦情を出す順番(出典:ACM ConsuWijzer、De Geschillencommissie、Rijksoverheid。2026年10月25日確認)

2の通報は、1と並行して行ってもかまいません。

ステップ1:事業者に書面で苦情を出す

最初の相手は事業者です。電話だけで済ませず、メールかフォームで書いて送ります。後の手続きのほとんどで、書面で苦情を出したことが条件になるからです。注文番号、日付、表示された価格と請求額、求めること、回答の期限(たとえば14日)を書き、画面のスクリーンショットを添えます。

ステップ2:ACM ConsuWijzer に通報・相談する

ACM ConsuWijzer の通報フォームか電話(088 070 70 70)で、問題のある事業者を知らせられます。ACM は個別の返金を取り立てる機関ではありませんが、通報が集まると調査や命令につながります。

ステップ3:De Geschillencommissie に申し立てる

De Geschillencommissie(デ・ヘスヒレンコミッシー、紛争委員会)は、業界ごとに消費者と事業者の争いを扱う機関です。事業者が加盟していることと、先に書面で苦情を出したことが条件です。ネットショップの Thuiswinkel 委員会の申立料は次のとおりです。

請求書の額 申立料(€)
€500まで 52.50
€500〜€1,500 77.50
€1,500以上 102.50

認められれば申立料は戻ります。加盟の有無は、事業者の利用規約(algemene voorwaarden)で確かめられます。

ステップ4:簡易裁判所(kantonrechter)

Rijksoverheid の説明によると、€25,000以下の請求は kantonrechter(カントンレヒター、簡易裁判所)が扱い、弁護士は不要です。裁判所の手数料(griffierecht)はかかります。

外国の事業者なら ECC Nederland

相手が EU の他の国、ノルウェー、アイスランド、英国の事業者なら、ECC Nederland(欧州消費者センター)が無料で間に入ってくれます。国内の事業者や、米国・中国などの事業者は対象外です。相談先をまとめます。

窓口 できること 費用
事業者のカスタマーサービス 返金・取消し 無料
ACM ConsuWijzer 権利の案内、通報の受付 無料(通常の通話料)
Consumentenbond 調査・交渉、会員への助言 会員向けサービスは有料
De Geschillencommissie 拘束力のある判断 申立料€52.50〜
Juridisch Loket 法律相談(0800 8020) 無料
ECC Nederland EU 他国の事業者との仲介 無料

デン・ハーグに住んでいるなら、The Hague International Centre の法律相談の案内も役に立ちます。

10. 日本と比べてどうか

日本のルールを基準にすると、思わぬところで損をします。違いを分けておきます。

総額表示:日本は「消費税込み」の義務

日本の総額表示の義務は、消費税法第63条にもとづく、消費税込みの価格を表示する義務です。財務省の案内のとおり、2021年4月1日からは「9,800円(税抜)」のような表示はできなくなりました。ただ、送料や手数料を1つの価格にまとめることまでは求めていません。オランダの考え方は、それより範囲が広いといえます。

二重価格:日本は「8週間の過半」、EU は「30日の最低価格」

消費者庁の二重価格表示の考え方では、セール開始前の8週間のうち過半の期間その価格で売っていれば、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」と見てよいとされています。ただし、その価格で売った期間が通算2週間未満なら認められません。

EU は「30日間の最低価格」で、日本は「8週間のうち過半」という期間の長さで判断します。日本の感覚は、オランダでは通らないことがあります。

通販のクーリング・オフ:日本にはない

、日本の特定商取引法では、通信販売にクーリング・オフの規定はありません。広告に返品の特約がなければ、商品を受け取ってから8日以内なら返品できますが、返送の費用は消費者の負担です。「返品不可」と明記されていれば、それに従います。オランダでは、通販にも原則14日の撤回権があり、勝手に「返品不可」とはできません。

比較の一覧

違いを表にまとめます。

項目 日本 オランダ(EU)
総額表示 消費税込みの表示が義務 避けられない費用をすべて含める
値引き前の価格 8週間の過半で売った価格 直前30日間の最低価格
通販の撤回 クーリング・オフなし。特約がなければ8日 原則14日。返品不可の特約は無効
撤回時の送料 返送料は消費者負担 最初の送料は返る。返送料は事前告知次第
公的な相談窓口 消費者ホットライン188 ACM ConsuWijzer
裁判外の解決 国民生活センターの ADR など De Geschillencommissie

どちらが進んでいるかではなく、守ろうとしている場面が違うと考えると分かりやすいでしょう。

消費生活センターと ConsuWijzer の違い

日本では 消費者ホットライン188 に電話すると近くの消費生活センターにつながり、相談員があっせんに入ることもあります。ACM ConsuWijzer は権利の説明と通報の受付が中心で、個別の交渉は代わりにしてくれません。オランダでは自分で事業者に書面を出すことが、日本以上に大切です。英語で書いてもかまいません。

11. 日本から来る家族・友人にどう伝えるか

日本から来た家族や友人が、オランダのサイトで買い物をしたり、宅配アプリで夕食を頼んだりする場面があります。伝えておくとよいことをまとめます。

「最後の画面で増えたら、おかしい」と伝える

日本の感覚では、送料や手数料が最後に足されるのはよくあることです。オランダでは、必須の費用が最後に足されるのは原則として認められていない、と伝えておくと、気づいたときに声を上げやすくなります。

撤回できるもの・できないものを分ける

通販で服や雑貨を買うなら、14日以内に解除できることが多いと伝えます。一方、料理の宅配、日付の決まったコンサートのチケット、ホテルの予約は対象外です。旅行者が一番使うのはこちらなので、「予約もの・食べもの」は取り消せないと思っておく方が安全です。

支払いと連絡先は誰のものにするか

日本のクレジットカードで払った場合、返金は同じカードに戻ります。帰国後に返金を待つこともあるので、注文番号とメールの控えを残すよう伝えます。在住者のアカウントで代わりに注文した場合は、苦情も在住者が出すことになります。

日本の家族が帰国後に、オランダの事業者とのトラブルを日本で相談したい場合は、国民生活センターの 越境消費者センター(CCJ) が海外の事業者との取引の相談を受け付けています。

12. つまずきやすいところ

ルールを知っていても、実際の場面では迷うことがあります。よくある誤解を表にまとめました。

よくある誤解 実際
店で買ったものも14日以内なら返せる 店頭での購入に法律上の撤回権はない。返品は店のサービス
セール品は撤回できない 値引き品・中古品にも撤回権はある
撤回すれば料理代も戻る 料理など傷みやすいものは対象外
バウチャーには申請が必要 報道では自動でメールが届く
Consumentenbond に言えば罰してくれる 制裁金を科せるのは ACM
外国の通販でも同じ窓口 EU 他国の事業者は ECC Nederland

一番多いのは1行目の誤解です。IamExpat の解説も、店頭での返品は店のサービスだと説明しています。壊れていたものは別で、保証(conformiteit、適合性)のルールで修理や交換を求められます。

スーパーのレシートも確かめる

DutchReview の2025年5月2日の記事によると、Consumentenbond の調査で、レジで誤った価格がついた商品は平均13%でした。店を出る前にレシートを確かめ、違えば正しい価格を申し出られます。

13. ケースで考える

ここからは、架空の3人の場面で、ルールの使い方を確かめます。実在の人物や事例ではありません。

ケース1:宅配アプリで最後に€3増えた(来たばかりの単身者)

来て2か月の会社員が宅配アプリで夕食を頼み、料理€20のつもりが最後の画面で€23になりました。画面を保存し、アプリの問い合わせから書面で知らせ、改善されなければ ConsuWijzer に通報します。料理は撤回の対象外なので、「表示の問題」として伝えるのがポイントです。

ケース2:セールで買った家電の「元値」が怪しい(共働きの家族)

子ども2人の家族が、掃除機を「€399 → €299」で買いました。後で調べると、2週間前に€289で売られていました。元値の表示はルールに合いません。受け取りから14日以内なら、理由なしで解除して返金を受けられます。

ケース3:外国のサイトで買った靴を返したい(長く住む自営業者)

オランダに10年住む自営業者が、ドイツのサイトで買った靴の返品を申し出ましたが、返事がありません。EU の事業者にも14日の撤回権は同じように使えます。書面で解除を通知し、返金がなければ ECC Nederland に無料で相談できます。

3人の場面を、表にまとめておきます。

ケース 使うルール 最初の一歩 次の窓口
宅配で€3増えた 総額表示 画面を保存し書面で連絡 ConsuWijzer
元値が怪しい 30日最低価格・14日撤回 14日以内に解除を通知 ConsuWijzer
外国のサイト 14日撤回 書面で解除を通知 ECC Nederland

同じ「おかしい」でも、使うルールと窓口は場面で変わります。迷ったら、まず事業者に書面を出すところから始めてください。

14. やってはいけないこと

最後に、損をしやすい行動をまとめます。

やってはいけないこと 理由
電話だけで苦情を済ませる 記録が残らず、後の手続きで証明できない
14日を過ぎてから解除を伝える 期限は通知を送った日で判断される
バウチャーのメールのリンクでカード番号を入れる 便乗した偽メールの可能性がある
「返品不可」の表示を信じてあきらめる 通販では原則14日の撤回権がある
撤回の対象外のものを前提に注文する 料理や日付指定のチケットは取り消せない
チェック済みのオプションを見ずに払う 外し忘れると、返金を求める手間が増える

どれも、少しの手間で防げることばかりです。特に、書面と期限の2つを押さえておくと、たいていの場面で権利を守れます。

15. チェックリスト

買う前と、困ったときに見直す項目です。

買う前

  • 最初に見えた価格と、最後の画面の合計が同じか
  • あらかじめチェックが入った追加オプションがないか
  • 値引きの「元値」が、最近の価格と比べて不自然に高くないか
  • 撤回できる買い物か(料理・チケット・予約ものではないか)
  • 事業者の名前、所在国、問い合わせ先が分かるか

困ったとき

  • 注文番号、日付、画面のスクリーンショットを保存した
  • 事業者に書面で苦情を出し、回答期限を書いた
  • 撤回するなら、受け取りから14日以内に通知した
  • ACM ConsuWijzer に通報した
  • 加盟していれば De Geschillencommissie、EU 他国なら ECC Nederland を検討した

16. まとめ

  • Thuisbezorgd と Uber Eats は必須の費用を最初から表示し、利用者に€5〜€30のバウチャーを配ります。報道では申請は不要です。
  • オランダでは、避けられない費用を最初の価格に含めるのが原則です。
  • 値引きの元値は直前30日間の最低価格。ACM は2024年に5社へ合計€621,000の制裁金を科しました。
  • オンライン購入は多くの場合14日以内に解除でき、返金は送料込みで14日以内。料理やチケットは対象外です。
  • 2026年6月19日から、撤回ボタンの設置が義務になりました。
  • 困ったら、事業者への書面 → ACM ConsuWijzer → 紛争委員会や簡易裁判所の順で進みます。
  • 日本の通販にはクーリング・オフがなく、総額表示も消費税込みの義務に限られます。

参考にした情報源

今回の件の報道と発表

ACM・ConsuWijzer

法令(オランダ・EU)

苦情・相談の窓口

在住者向け媒体

日本の制度

いずれも2026年10月25日に確認したものです。バウチャーの条件、申立料、制度の細部は変わることがあるため、手続きの前に各公式サイトで最新の内容を確認してください。


元記事はこちら

Thuisbezorgd & Uber Eats agree to end hidden delivery costs — IamExpat

よくある質問

Thuisbezorgd や Uber Eats のバウチャーは申請が必要ですか?
報道では申請は不要で、対象者に1枚以上のバウチャーがメールで自動的に届くとされています。Thuisbezorgd は2022年10月31日〜2026年8月17日にサービス料を€1超払った人に€5、€10超なら€5を2枚。Uber Eats は2021年10月1日〜2026年9月30日の利用者に注文回数に応じて€10〜€30です。
オランダでは送料やサービス料を後から足してもよいのですか?
避けられない費用は、最初に見せる価格に含める必要があります。ACM ConsuWijzer は、予約や注文の途中で必須費用を足すことは認められないと案内しています。選べるオプションは別に表示してよいものの、あらかじめチェックが入った追加料金に消費者は拘束されません。
オランダの「値引き前の価格」は、どの価格でなければいけませんか?
値引きを告知するときの元の価格は、その店が値引き前の少なくとも30日間につけた最低価格でなければいけません。EU の価格表示指令の第6a条と、オランダの Besluit prijsaanduiding producten 第5a条が根拠です。生鮮品や発売30日未満の商品などには例外があります。
オンラインで買ったものは14日以内なら必ず返品できますか?
多くの場合、理由なしで14日以内に契約を解除できますが、例外があります。傷みやすい食品、注文に合わせて作ったもの、日付の決まったチケットや外食などは対象外です。宅配アプリで頼んだ料理は、通常この例外に当たると考えられます。返金は解除の通知から14日以内で、最初の送料も含まれます。
表示と違う請求を受けたら、どこに相談すればよいですか?
まず事業者に書面で苦情を出し、記録を残します。解決しなければ ACM ConsuWijzer(088 070 70 70)に通報・相談し、事業者が加盟していれば De Geschillencommissie に申し立てます(通販の委員会は申立料€52.50から)。€25,000以下の請求なら簡易裁判所に弁護士なしで訴えることもできます。
日本の家族がオランダの通販で買い物するとき、何を伝えればよいですか?
日本の総額表示は消費税込みの表示の義務で、送料や手数料をまとめる義務ではありません。オランダでは必須費用を最初の価格に含めるのが原則で、通販にも14日の撤回期間があります。日本の通販にはクーリング・オフがないので、ここが一番の違いだと伝えると分かりやすくなります。

出典: IamExpat

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