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連絡するだけで月€30〜40|オランダの有料賃貸サイトと無料の Funda・Pararius の違い、二重手数料の禁止まで(2026年)

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連絡するだけで月€30〜40|オランダの有料賃貸サイトと無料の Funda・Pararius の違い、二重手数料の禁止まで(2026年)

オランダで部屋を探していると、気になる物件の「内見を申し込む」ボタンを押した瞬間に、月額プランの選択画面が出てくることがあります。登録は無料、物件も見られる。けれど大家や業者にメッセージを送るには、まずお金を払う必要がある、という仕組みです。

起点にしたのは、英語ニュースサイト NL Times の2026年10月21日の記事 です。オランダ紙 De Telegraaf の調査をもとに、連絡するだけで月€30〜40のサブスクを求める賃貸サイトがあり、同じ物件が Funda や Pararius では無料で問い合わせられたと伝えています。

この記事では、その報道を出発点に、Consumentenbond(消費者協会)と ACM(消費者・市場庁)の調査、政府の仲介手数料のルール、Pararius の最新の家賃統計、在住者向け8媒体の解説を突き合わせ、オランダで賃貸を探すときに、どこにお金を払い、どこに払わなくてよいのかを整理しました。大家の慣習や入居後の権利については、既存記事「床がない部屋を貸していい国|オランダの賃貸の慣習と借り手を守る制度」にまとめています。この記事は、その手前の「探し方とプラットフォーム・費用」に絞ります。

この記事が主に根拠にした情報

  • NL Times「Property sites charge home seekers to even make contact with realtor」(2026年10月21日、起点の記事)
  • Consumentenbond「Woningverhuursites, wees duidelijk over de kosten」(2025年5月2日、13サイトの調査)
  • ACM の賃貸サイト調査(2021年7月6日)と、消費者向け案内「Kosten bij het zoeken naar een huurwoning」
  • Rijksoverheid(政府)の仲介手数料の Q&A と、2026年の家賃区分の発表
  • Pararius Huurmonitor 2026年第3四半期(2026年10月7日、NL Times・IamExpat が報道)
この記事で分かること 答えの要点
何が報じられたのか 連絡に月€30〜40のサブスクが必要なサイトがある(第1章)
無料のサイトとの違いは Funda・Pararius は連絡に料金がかからない(第3章)
仲介手数料は払うべきか 大家側の業者には払わなくてよい。5年以内なら返還請求できる(第5章)
家賃と収入の目安は 平均€1,914。税込月収は家賃の3倍が目安(第6章)
詐欺をどう見分けるか 内見前の送金、相場より安い家賃、SNS への誘導に注意(第8章)
どこに相談するか 市の窓口、Juridisch Loket、Huurcommissie、ACM(第13章)

1. 何が報じられたのか

「連絡するだけ」で月額料金

NL Times が紹介した De Telegraaf の調査は、ティルブルフ(Tilburg)のワンルームを例にしています。基本家賃は月€656。この物件は Huurwoningen.nl と Rentumo の2つのサイトに掲載され、どちらも「簡単に返信して内見を申し込める」と案内していました。

ところが実際に問い合わせようとすると、アカウントを作ったうえで、サブスクを購入しないとメッセージが送れない仕組みでした。報道によると料金は Huurwoningen.nl が月約€30、Rentumo が月€40です。どちらのサイトも、その料金で何が得られるのかを説明していなかったとされています。

同じワンルームは Funda と Pararius にも掲載されており、こちらは事前の支払いなしで内見を申し込めました。つまり、同じ物件に対して、入口によって費用がかかったりかからなかったりしたわけです。

報道は違法性を指摘したものではなく、「同じ物件なのに、入口によって料金が違う」ことを知らずに払っている人がいるという問題提起です。この区別は、後の章で大事になります。

Funda と Pararius は問い合わせに料金がかからない。2025年の Consumentenbond 調査では有料サイトの月額の下限が19.95ユーロ。2026年10月の報道では Huurwoningen.nl が約30ユーロ、Rentumo が40ユーロ。 問い合わせにかかる月額(€) Funda €0(無料) Pararius €0(無料) 2025年調査下限 €19.95 Huurwoningen.nl 約€30 Rentumo €40 いずれも1か月あたり。3か月探せば€60〜120
図1:物件の問い合わせにかかる月額の比較(出典:NL Times 2026年10月21日、Consumentenbond 2025年5月2日。2026年10月23日確認)

2. 前からあった問題:Consumentenbond と ACM の調査

2025年:13サイトのうち多くが料金をはっきり示さなかった

この問題は今回が初めてではありません。オランダの消費者団体 Consumentenbond(コンシューメンテンボント、消費者協会)は2025年5月2日、13の賃貸サイトを調べた結果を公表しています。

それによると、広告に返信するにはたいていサブスクが必要で、月額は €19.95〜€39 でした。料金は申し込みの終盤になって初めて表示されるか、まったく示されないことが多かったといいます。Consumentenbond の指摘を受けて、13サイトのうち8サイトが表示を改めた、または改めると回答しました。

英語媒体 DutchReview はこの調査を紹介し、パネル参加者の4割以上が何に払っているのか分かっていなかったこと、87%がこれらのサイトで住まいを見つけられなかったことを伝えています。この2つの数字は DutchReview の報道によるもので、Consumentenbond の公表文では確認できなかったため、報道ベースの数字として扱ってください。

2021年:ACM が「誤解させるサイト」の調査に乗り出した

さらにさかのぼると、ACM(アー・セー・エム、Autoriteit Consument & Markt=消費者・市場庁)は2021年7月6日、消費者を誤解させている疑いのある賃貸サイトの調査を始めたと発表しています。ACM の相談窓口に、「掲載された物件がもう空いていない、そもそも存在しない」「業者と連絡がつかない」という苦情が多く寄せられたためです。

ACM はこうしたサイトを、第三者の物件情報を集めて検索できるようにする「オンラインの検索サービス」と位置づけました。サイトは大家と借り手の間を仲介しているわけではない、という整理です。そのうえで、有料プランを申し込む前に、物件情報をどう集めているか、業者と直接連絡が取れるかを明確に伝えるべきだとしています。

時期 出来事 主体
2021年7月 誤解を招く賃貸サイトの調査を開始 ACM
2022年8月 検索サービスだけのサイトはその旨を明示すべきと発表 ACM
2025年5月 13サイトを調査、月額€19.95〜€39 Consumentenbond
2026年10月 連絡に月€30〜40のサイトを報道 De Telegraaf / NL Times

5年にわたって同じ指摘が続いていることから、この仕組みは規制で消えるものではなく、利用者側が見分ける必要があるものだと考えたほうが現実的です。

3. 無料のサイトと有料のサイトは何が違うのか

収益の取り方が違う

Funda(フンダ)と Pararius(パラリウス)は、オランダで最も大きい物件ポータルです。The Hague International Centre も、この2つを賃貸・購入の主要な検索エンジンとして紹介しています。両者の収益は主に物件を掲載する不動産業者(makelaar、マケラール)からの掲載料で、借り手が問い合わせるのに料金はかかりません。

一方、有料サイトの多くは、他のサイトや業者の物件情報を集めて見せるアグリゲーター(集約サイト)です。借り手からのサブスク料金で収益を上げます。ACM の整理どおり、こうしたサイトは「仲介」ではなく「検索サービス」なので、仲介手数料の禁止(第5章)は直接はかかりません。

種類 代表例 借り手の費用 物件の出どころ
大手ポータル Funda、Pararius 問い合わせは無料 業者が直接掲載
集約型の有料サイト Huurwoningen.nl、Rentumo など 連絡に月額制 他サイト・業者の情報を集約
部屋・学生向け Kamernet など 返信に有料会員が必要 個人の大家・同居人が掲載
国際向け仲介 HousingAnywhere など 予約時に手数料がかかる場合あり 大家・業者が掲載
業者自身のサイト 各 makelaar のサイト 無料 自社の扱い物件

この表で言いたいのは、有料サイトが悪いのではなく、同じ物件にたどり着くもっと安い道がたいていあるということです。部屋(kamer、カーメル)探しの Kamernet のように、個人の大家が直接掲載する物件が多く、有料でも使う価値があるサイトもあります。

問題になるのはどんな場合か

新着通知の速さなどに価値を感じて払うのは利用者の判断です。問題になるのは、次のような場合です。

  • 料金や更新条件が、申し込みの終盤まで見えない
  • 「簡単に連絡できる」と書きながら、実際には業者と連絡がつかない
  • 掲載物件がすでに埋まっている、または存在しない
  • 料金を払ったあと、さらに別の有料サイトに誘導される

最後の点は、Consumentenbond の2025年の調査でも、サブスク料金を取ったうえで別のサイトに送り、そこでも返信に料金がかかる例として指摘されています。

4. 申し込む前に確かめる5つのこと

同じ物件を無料で探す

有料サイトで気になる物件を見つけたら、まず住所や間取り、写真を手がかりに Funda、Pararius、業者自身のサイトで同じ物件を探します。報道のティルブルフの例のように、同じ物件が無料で問い合わせられることは多いはずです。

業者名が分かれば、その業者のサイトや電話から直接問い合わせられます。ACM も、借り手は賃貸業者(verhuurmakelaar、フェルフールマケラール)に直接連絡できると案内しています。業者は多くの場合、物件を無料で掲載し、内見を手配し、大家との間を取り持ちます。

料金・期間・自動更新・撤回を確認する

それでも有料サイトを使うなら、申し込む前に次の点を確かめます。ACM の消費者向け案内が挙げている項目を、確認しやすい形に並べ直しました。

確認すること 見る場所 なぜ大事か
月額と最低期間 料金ページ、利用規約 1か月のつもりが3か月契約のことがある
自動更新の有無 利用規約 解約を忘れると課金が続く
業者と直接連絡できるか サービス説明 連絡がつかないなら払う意味がない
物件の出どころ サービス説明、FAQ 他サイトの転載なら無料で探せる
撤回の方法 利用規約、連絡先 14日以内なら理由なく撤回できる

ACM の案内では、オンラインで申し込んだサブスクは14日以内なら理由を言わずに撤回でき、支払いも返金されるとされています。さらに、物件数を実際より多く見せる、古い物件を最新のように見せる、連絡が簡単だと偽る、料金や期間をはっきりさせない、といった誤解を招く表示があった場合は、契約の取り消しを求めて料金を取り戻せる可能性があるとも書かれています。ACM は取り消しを求めるための例文も公開しています。

5. 仲介手数料(bemiddelingskosten)の二重請求は禁止

大家側の業者は、借り手に手数料を請求できない

有料サイトの料金と混同しやすいのが、bemiddelingskosten(ベミッデリングスコステン、仲介手数料)です。こちらははっきりしたルールがあります。

政府(Rijksoverheid)の Q&A によると、不動産業者がすでに大家のために働き、大家に代わって物件を出している場合、借り手に仲介手数料を請求してはいけません。大家が業者に何も払っていない場合でも同じです。このルールは社会住宅、自由セクターの住宅、部屋のいずれにも適用されます。

ポイントは、名目を変えても同じ扱いだということです。政府の Q&A は、administratiekosten(事務手数料)、inschrijfkosten(登録料)、contractkosten(契約手数料)、verhuurkosten(賃貸手数料)といった名前の費用も含まれると明記しています。ACM の案内も、契約の署名までにかかる費用は名目にかかわらず払わなくてよいとしています。

「業者が自社サイトに載せている」なら大家側

では、どうすれば業者が大家側だと分かるのでしょうか。政府系の住宅政策サイト Volkshuisvesting Nederland によると、オランダの最高裁にあたる Hoge Raad(ホーヘ・ラート)は2015年10月16日、大家の依頼で物件を自社サイトに載せている業者は、原則として大家のために仲介していると判断しました。

ACM の案内は、業者が大家側でもあると分かるサインとして、次の4つを挙げています。

サイン 具体例
大家から依頼を受けている 「オーナーの依頼で募集しています」
自社サイトに物件を載せている 業者のサイトに物件ページがある
大家と連絡を取り合っている 内見の日程を大家と調整している
大家の代理だと名乗っている 契約書に業者が大家側として記載

迷ったら業者に直接聞いてかまいません。ACM によると、業者は大家からの依頼があるかどうかを借り手に伝えなければなりません。

例外:自分で業者に探してもらう場合

借り手が払う必要があるのは、自分で業者に物件探しを依頼し、その業者の扱い物件ではない物件を見つけてもらった場合です。在住者向けの法律・税務サイト Xpat.nl は、この場合の手数料は家賃1か月分に21%の付加価値税(BTW)を足した額が多いと説明しています。企業の転勤で使う relocation agent(リロケーション業者)がこれにあたることが多く、会社が負担するケースもあります。

また ACM は、駐車許可の手配や修繕の手伝いなど、任意の追加サービスに料金を取ることは認めています。ただし、価格を事前に示すこと、そしてそのサービスを選ぶかどうかが入居の可否に影響しないことが条件です。

いつから、どこまでが法律で決まっているか

二重の仲介手数料の禁止は、自立した住宅(玄関・台所・浴室・トイレを専有する住宅)については1990年代初めからありました。2023年7月1日に施行された Wet goed verhuurderschap(ウェット・フット・フェルフールデルスハップ、良い賃貸に関する法律)で、自治体がこの違反を取り締まれるようになったのが大きな変化です。

時期 変化 意味
1990年代初め 自立住宅で二重手数料が禁止に 民法上のルール
2015年10月16日 Hoge Raad の判断 自社サイト掲載は大家側の仲介
2023年7月1日 Wet goed verhuurderschap 施行 自治体が取り締まり可能に
2024年1月1日 自治体の通報窓口の連絡先の告知が義務に 借り手が通報しやすくなった

手数料を払ってしまった場合、5年以内なら返還を求められます(政府 Q&A、ACM、ACCESS)。まず業者に書面で返還を求め、応じなければ Juridisch Loket(ユーリディス・ローケット、無料の法律相談窓口)に相談します。ACM も返還請求の例文を用意しています。

業者が大家の依頼で物件を扱っていれば借り手は手数料を払わなくてよい。借り手が自分で業者に探索を依頼し、業者の扱い物件以外を見つけてもらった場合だけ手数料がかかる。誤って払った場合は5年以内なら返還を求められる。 大家側の業者 借り手は払わない 事務手数料などの名目も同じ 借り手が依頼した業者 手数料がかかる 家賃1か月分+BTWが多い 誤って払ったら5年以内に返還請求
図2:仲介手数料を払うかどうかの分かれ目(出典:Rijksoverheid、ACM、Xpat.nl。2026年10月23日確認)

有料サイトの料金は「仲介手数料」にあたるのか

ここが一番気になるところだと思います。ACM の整理では、物件情報を集めて見せるだけの検索サイトは仲介をしていないため、その料金は仲介手数料ではなく、消費者向けサービスの料金として扱われます。だからこそ、問題は「表示が誤解を招いていないか」という消費者保護の枠組みで扱われてきました。

一方、業者自身が運営するサイトや、実際に大家の側に立って内見を手配するサービスが、借り手に「連絡料」「登録料」を取るなら話は別です。その場合は名目を変えた仲介手数料にあたる可能性があります。どちらにあたるか判断がつかないときは、Juridisch Loket に相談するのが確実です。

6. 家賃€1,914と「年収3倍」の壁

平均家賃は月€1,914

有料サイトに頼りたくなる背景には、民間賃貸の厳しさがあります。Pararius と Huurwoningen.nl が2026年10月7日に公表した2026年第3四半期の集計では、自由セクター(vrije sector、フライェ・セクトル)で新しく契約した人の平均家賃は月€1,914でした。1年前は€1,869です。

1平方メートルあたりでは平均€20.92で、1年前より4.4%上がりました。都市別では Amsterdam が1平方メートル€28.56で最も高く、大都市5つのなかでは Rotterdam(+5.0%)と Den Haag(+4.8%)の上昇が大きかったと報じられています。

数字の読み方には注意が要ります。NL Times は「前年比4.4%増」と書いていますが、Pararius の発表と IamExpat の報道では、平均家賃の前年比は2.4%、4.4%は1平方メートルあたりの上昇率です。€1,869から€1,914への上昇は約2.4%なので、この記事では Pararius の数字にそろえます。

指標(2026年第3四半期) 値 前年同期
平均家賃(自由セクター) 月€1,914 €1,869(+2.4%)
1㎡あたりの家賃 €20.92 +4.4%
Amsterdam の1㎡あたり €28.56 —
売却された賃貸のうち家賃€2,000超 32.7% 21.3%
安い価格帯の空き物件 23%減 —

表からは、家賃が上がっているだけでなく、安い物件ほど減っていることが読み取れます。

税込月収が家賃の3倍、という審査の目安

オランダの大家や業者は、税込月収(bruto、ブルート)が家賃の3倍以上あることを求めることが多いです。Pararius はこの目安で計算すると、平均的な自由セクター物件に必要な月収は €5,742 になるとしています。IamExpat の報道では、年収にして約€68,900です。

自由セクターの家賃の下限は、2026年に契約が始まる物件で月€1,228.07です。この家賃でも、3倍ルールでは月収約€3,684が必要になります。

税込月収を家賃の3倍とすると、家賃1,228ユーロなら月収3,684ユーロ、平均家賃1,914ユーロなら5,742ユーロ、家賃2,000ユーロなら6,000ユーロが必要。 必要な税込月収(€、家賃×3) 家賃€1,228 €3,684 平均€1,914 €5,742 家賃€2,000 €6,000 €1,228は2026年の自由セクターの家賃下限
図3:家賃の3倍ルールで必要になる税込月収(出典:Pararius Huurmonitor 2026年第3四半期、IamExpat 2026年10月8日。2026年10月23日確認)

3倍ルールは法律ではない

注意したいのは、3倍ルールは法律ではなく、大家側の慣行だということです。Wet goed verhuurderschap は、大家に透明で差別のない選考手続きを定めて公開することを求めていますが、収入の倍率そのものは決めていません。政府の案内では、大家が聞いてよい項目に、純収入や収入の証明、現在の家賃が含まれています。

一方で、出身や宗教、健康状態などを聞くことは認められていません。外国人であることだけを理由に断る、「国際的な入居者お断り」と募集に書く、といった扱いは差別にあたる可能性があり、DutchNews は学生向け物件でのこうした表記を弁護士が問題視していると報じています。

7. なぜ物件が減っているのか:Wet betaalbare huur 以降

中間家賃の規制と、大家の売却

背景にあるのが、2024年7月1日に施行された Wet betaalbare huur(ウェット・ベターラーバレ・フール、手頃な家賃に関する法律)です。住宅の設備や広さを点数にし、点数に応じた上限家賃を中間価格帯(middenhuur、ミッデンフール)にも広げました。

2026年1月1日以降に始まる契約では、区分は次のとおりです。

143点までが社会住宅で上限家賃は932.93ユーロ。144から186点が中間家賃で上限は1,228.07ユーロ。187点以上かつ家賃が1,228.07ユーロを超えると自由セクター。 社会住宅 中間家賃 自由セクター 143点 / €932.93 186点 / €1,228.07 有料サイトの多くの物件は右端の自由セクター
図4:点数と家賃による3つの区分(2026年1月1日以降の契約。出典:Rijksoverheid、2026年10月23日確認)

規制の対象が広がった結果、採算が合わなくなった民間の大家が、入居者が退去したタイミングで物件を売りに出す動きが続いています。Pararius の代表 Jasper de Groot 氏は、法律の施行後に7万6,000戸を超える賃貸住宅が市場から消えたと述べ、「手頃な賃貸を増やすはずの法律が逆の結果になっている」と批判しています(IamExpat、2026年10月8日)。

数字で見る供給の減少

DutchNews は、Kadaster(カダスター、登記所)のデータをもとに、2026年第1四半期だけで投資家が1万7,300戸を売り、賃貸の供給が6,140戸減ったと報じています。2026年第3四半期には、市場に出た物件より約1,585戸多く契約され、2024年以来最大の差になりました。

時期 出来事 出典
2024年7月1日 Wet betaalbare huur 施行 Rijksoverheid
2026年第1四半期 投資家が1万7,300戸を売却、供給6,140戸減 DutchNews(Kadaster)
2026年4月 政府が規制緩和と移転税の引き下げ方針 DutchNews
2026年第3四半期 安い価格帯の空き物件23%減 Pararius
施行後の累計 7万6,000戸超が市場から退出 Pararius(IamExpat)

ここから言えるのは、物件が少なく競争が激しいほど、「お金を払えば早く連絡できる」という仕組みに頼りたくなるということです。NL Times の記事も、追い詰められた人ほどためらわずにサブスクを申し込んでしまうと指摘しています。焦りそのものが、有料サイトと詐欺の両方の入口になっています。

8. 詐欺の見分け方

有料サイトと詐欺は別物だが、入口は似ている

有料サイトは料金の示し方に問題があっても、詐欺とは別物です。ただ、どちらも「連絡するには先にお金を」という形をとるため、借り手からは見分けにくいことがあります。

IamExpat は2026年9月、本物の物件の写真や動画の内見ツアーをコピーして TikTok や Instagram に載せ、WhatsApp に誘導して保証金や予約金を取る手口が増えていると報じました。Pararius も、被害者の警察への届け出を TikTok に送っても対応が遅すぎると述べています。DutchNews は2026年6月、全国学生組合 LSVb の住宅ホットラインへの相談が今年263件に達し、多額の保証金を払ってだまされた例があると伝えています。

警告サイン

在住者向け媒体と公的機関が挙げる警告サインをまとめました。

警告サイン なぜ危ないか
内見の前に保証金・予約金を求める 物件が実在しない可能性が高い
相場より数百ユーロ安い 本物の広告をコピーして安く出す手口
大家が海外にいて会えないと言う 内見を避ける典型的な理由
SNS や WhatsApp に誘導される サイトの監視の外でやりとりさせる
住民登録ができないと書いてある 違法な又貸しの可能性
海外口座・送金サービス・暗号資産での支払い 取り戻すのがほぼ不可能

検察(OM)は2021年に Fraudehelpdesk(詐欺相談窓口)と組んで賃貸詐欺の注意喚起を行い、物件を見ないまま、説明と写真だけでお金を払うことを典型的な被害の形として挙げています。The Hague International Centre も、海外から、または内見前に保証金を払わないよう明記しています。

確かめる方法

  • 写真を画像検索する:同じ写真が別の広告に出ていれば疑う
  • Kadaster で所有者を確認する:少額の手数料で登記上の所有者が分かる
  • KVK(商工会議所)で業者を確認する:業者名で登記を検索できる
  • ライブのビデオ通話で室内を見せてもらう:海外から探すときの最低限の確認
  • 振込先の名義を確かめる:銀行が名義の不一致を警告したら止める

もしお金を払ってしまったら、すぐに銀行に連絡し、警察に届け出て、Fraudehelpdesk にも報告します。プラットフォームにも該当のアカウントを通報してください。

9. 日本の賃貸探しと比べると

日本では「サイトは無料、仲介手数料は借り手」

日本の賃貸探しでは、SUUMO や LIFULL HOME'S などのポータルは利用者が無料で使え、収益は不動産会社からの掲載料です。この点は Funda や Pararius と同じです。

大きく違うのは仲介手数料です。日本では宅地建物取引業者の報酬が国土交通省の告示(昭和45年建設省告示第1552号)で決められ、貸借の媒介では貸主と借主から受け取る合計が家賃1か月分(+消費税)までとされています。居住用では依頼者の一方から受け取れるのは原則0.5か月分ですが、承諾があれば1か月分を借り手が払う形が広く見られます。

オランダでは逆に、大家側の業者は借り手から手数料を取れません。「物件を出している業者に、借り手が手数料を払う」という日本の常識をそのまま持ち込むと、払わなくてよいお金を払ってしまうことになります。

項目 日本 オランダ
ポータルサイト 利用者は無料 Funda・Pararius は無料、一部は月額制
仲介手数料 借り手が払うことが多い(上限は合計1か月分+税) 大家側の業者は請求禁止
礼金 地域や物件による 慣習なし。鍵代(sleutelgeld)は違法
敷金・保証金 0〜2か月程度が多い 上限は家賃(kale huur)2か月分
家賃保証 保証会社の利用が一般的 収入要件と雇用証明で判断
収入の目安 家賃は月収の3分の1程度とされる 税込月収が家賃の3倍以上

表を見ると、収入の目安は日本とよく似ている一方、お金の流れはかなり違います。日本の「家賃は月収の3分の1」はあくまで目安ですが、オランダでは書類で証明を求められ、足りなければ選考で落ちるという形で効いてきます。

日本から来る家族にどう伝えるか

日本にいる家族や、これから赴任してくる同僚に説明するときは、次の3点に絞ると伝わりやすいと思います。

  1. 「サイトで連絡するのにお金がかかったら、いったん止まる」:日本のポータルは無料なので、有料画面が出ると「オランダではそういうものか」と思いがちです
  2. 「業者に手数料を払うのは、自分で探索を頼んだときだけ」:日本の仲介手数料の感覚で払わない
  3. 「見ていない部屋にはお金を送らない」:日本から部屋を決めたい気持ちが一番強いときに、詐欺に遭いやすい

10. 賃貸探しの手順

来る前から入居までの流れ

賃貸探しの順番を、費用がかかる場面に印を付けながら並べます。

  1. 予算を決める:家賃×3の税込月収があるかを確かめ、雇用契約書と給与明細(または雇用証明 werkgeversverklaring)を用意する
  2. 最初の住まいを確保する:The Hague International Centre は、住民登録ができる短期滞在先をまず確保し、そこから長期の住まいを探す方法を勧めている
  3. 無料のサイトで探す:Funda、Pararius、業者自身のサイトで条件を保存し、新着通知をオンにする
  4. 気になる物件は業者に直接連絡する:有料サイトで見つけた物件も、まず無料の経路を探す
  5. 内見する:実際に見るか、少なくともライブのビデオ通話で確認する
  6. 契約前に確認する:業者が大家側か、手数料を請求されていないか、敷金が2か月分以内か
  7. 契約後6か月以内に家賃を確かめる:Huurcommissie の huurprijscheck(家賃チェック)で点数を数える

社会住宅や中間家賃の物件では、自治体の住宅許可(huisvestingsvergunning、ハウスフェスティングスフェルフニング)が必要なことがあり、許可の申請を証明するまで鍵を渡さない業者も多いとされています。

費用がかかる場面とかからない場面

場面 費用 注意点
Funda・Pararius での問い合わせ 無料 掲載が古いことがある
有料サイトでの問い合わせ 月€20〜40程度 14日以内なら撤回できる
大家側業者の仲介 無料 名目を変えた手数料も不可
自分で依頼した業者 家賃1か月分+BTWが多い 契約で金額を確認
敷金 家賃2か月分まで 2023年7月1日以降の契約
家賃の審査申立て 少額の手数料 契約開始から6か月以内

費用の大半は「払わなくてよい」か「上限が決まっている」ものです。上限のない出費は、有料サイトの月額と、自分で依頼した業者の手数料くらいだと覚えておくと判断しやすくなります。

11. ケースで考える(架空の例)

以下は、よくある状況をもとにした架空の例です。実在の人物ではありません。

ケースA:日本から赴任予定の会社員

東京からデン・ハーグへの赴任が決まった30代の会社員。日本から部屋を決めたくて検索していたところ、有料サイトで条件に合う物件を見つけ、月€40のプランに申し込みかけました。

この場合は、まず会社に relocation agent の手配があるかを確認します。なければ、同じ物件を Funda や Pararius で探し、業者に直接問い合わせます。短期滞在先を確保して現地に着いてから内見するほうが、詐欺も高い買い物も避けられます。

ケースB:家族4人で家を探す駐在員家族

子ども2人の4人家族で、家賃€2,400前後の一戸建てを探しています。3倍ルールでは税込月収€7,200が目安になります。手当込みで条件は満たしますが、物件の競争が激しく、複数の有料サイトに入るかどうか迷っています。

この家族に必要なのは、サイトを増やすことより、扱い物件の多い業者に直接つながることです。家族向けの大きな物件は、業者の自社サイトや Funda に先に出ることが多いためです。業者が大家側であれば、手数料はかかりません。

ケースC:部屋を探す留学生

大学院に進学する20代の留学生。予算は月€700前後で、部屋(kamer)を探しています。部屋の掲載は Kamernet のような有料サイトに多く、SNS の募集も目に入ります。

部屋探しでは有料サイトが役に立つ場面もあります。ただし、SNS で見つけた「安くて条件のよい部屋」に、内見前に保証金を送るのは避けます。大学の住宅窓口や学生住宅の公式経路を先に確認し、LSVb のホットラインで家賃が適正かを相談することもできます。

立場によって答えは変わりますが、「同じ物件に無料でたどり着く道を先に探す」「見ていない物件にお金を送らない」の2点はどのケースにも共通します。

12. やってはいけないこと

ここまでの内容を、避けたい行動として並べます。

やってはいけないこと 理由
有料画面が出たらすぐ申し込む 同じ物件が無料で問い合わせられることが多い
複数の有料サイトに同時に入る 物件が重複し、費用だけ重なる
自動更新を確かめずに申し込む 解約を忘れると課金が続く
大家側の業者に「事務手数料」を払う 名目を変えた仲介手数料で、請求自体が禁止
内見前に保証金や予約金を送る 詐欺の典型的な手口
SNS から WhatsApp に移って交渉する 監視の外で連絡が途絶えやすい
払った手数料をあきらめる 5年以内なら返還を求められる

13. 困ったときの相談先

全国の窓口

相談の内容によって窓口が分かれます。

相談内容 窓口 連絡方法
有料サイトの誤解を招く表示 ACM の消費者窓口 ウェブの通報フォーム
仲介手数料の返還、契約の相談 Juridisch Loket 0800 8020(無料)
家賃が高すぎないか Huurcommissie huurprijscheck、0800-4887243
詐欺の被害 警察・Fraudehelpdesk 届け出と報告
大家・業者の不正の通報 自治体の meldpunt goed verhuurderschap 各自治体のサイト

デン・ハーグの場合

デン・ハーグ市では、民間賃貸の借り手は市の huuradviseurs(フールアドフィーズールス、家賃アドバイザー)に、家賃、契約、修繕について相談できます。市の代表番号14070に電話して huuradviseurs を呼び出すか、市のサイトから予約します。家賃が高すぎないかの確認や、必要なら住宅の点検もしてくれます。

大家や業者の脅し、差別、不当な請求は、市の meldpunt goed verhuurderschap に匿名でも届け出られます。Wet goed verhuurderschap のもとで、自治体は違反した大家や業者に行政罰金を科すことができます。外国人住民の窓口である The Hague International Centre も、住まいの探し方や不動産業者の情報を案内しています。

14. チェックリスト

  • 税込月収が家賃の3倍あるか、足りない場合の交渉材料(雇用主の保証など)を用意した
  • Funda・Pararius で条件を保存し、新着通知をオンにした
  • 有料サイトの物件を、無料サイトや業者のサイトで探し直した
  • 有料サイトに申し込む前に、月額・最低期間・自動更新・撤回方法を確認した
  • 申し込んだ画面と規約、確認メールを保存した
  • 業者が大家側かどうかを確認し、手数料の請求がないことを確かめた
  • 内見(またはライブのビデオ通話)の前にお金を送っていない
  • 契約後6か月以内に huurprijscheck で家賃を確かめる予定を入れた

15. まとめ

  • 連絡に月€30〜40のサブスクを求める賃貸サイトがあり、同じ物件が Funda・Pararius では無料で問い合わせられた例が報じられた
  • 2025年の Consumentenbond の調査では13サイトの月額が €19.95〜€39で、料金の表示が不十分なサイトが多かった
  • 有料の検索サイトは違法ではないが、ACM は表示が誤解を招かないことを求めている。オンラインのサブスクは14日以内なら撤回できる
  • 大家側の業者は借り手に仲介手数料を請求できない。名目を変えても同じで、払ったら5年以内に返還請求できる
  • 自由セクターの平均家賃は月€1,914、3倍ルールでは税込月収€5,742が目安
  • Wet betaalbare huur 以降、7万6,000戸超の賃貸が市場から消えたと Pararius は指摘している
  • 焦りにつけ込む詐欺が増えている。見ていない物件にはお金を送らない

参考にした情報源

公的機関

調査・統計

在住者向け媒体

いずれも2026年10月23日に確認したものです。サイトの料金、家賃の区分、手数料のルールは変わることがあるため、申し込みや請求の前に各公式サイトで最新の内容を確認してください。


元記事はこちら

Property sites charge home seekers to even make contact with realtor — NL Times

よくある質問

オランダの賃貸サイトで、連絡するためにお金を払う必要はありますか?
必ずしもありません。Funda や Pararius は、内見の申し込みや業者への連絡に事前の支払いを求めていません。有料サイトに載っている物件が、無料サイトや業者自身のサイトにも出ていることは多いため、まず同じ物件を無料の経路で探してから判断してください。
有料サイトの月額料金はいくらくらいですか?
2026年10月の報道では Huurwoningen.nl が月約€30、Rentumo が月€40でした。2025年の Consumentenbond の調査では、13サイトの月額は€19.95〜€39でした。料金は変わるため、申し込み前に総額・期間・自動更新を確認してください。
仲介業者に手数料を払う必要はありますか?
大家側の依頼で物件を扱っている業者は、借り手に bemiddelingskosten(仲介手数料)を請求できません。事務手数料や契約手数料など名目を変えても同じです。誤って払った場合は5年以内なら返還を求められます。自分で業者に物件探しを依頼した場合だけは別です。
オランダの民間賃貸の家賃はいくらで、どれくらいの収入が必要ですか?
Pararius の2026年第3四半期の集計で、自由セクターの新規契約の平均家賃は月€1,914です。大家は税込月収が家賃の3倍以上を求めることが多く、平均的な物件で月€5,742、自由セクターの下限の家賃でも約€3,684の月収が目安になります。
有料サイトに申し込んでしまいました。解約や返金はできますか?
ACM(消費者・市場庁)の消費者向け案内では、オンラインで申し込んだサブスクは理由なく14日以内に撤回でき、支払いも返金されるとされています。物件数や連絡のしやすさについて誤解させる表示があった場合は、契約の取り消しを求められることもあります。
デン・ハーグで賃貸のトラブルを相談できる窓口はどこですか?
市の huuradviseurs(家賃アドバイザー)に市の代表番号14070から相談でき、大家や業者の不正は市の meldpunt goed verhuurderschap(良い賃貸の通報窓口)に匿名でも届け出られます。法律相談は Juridisch Loket(0800 8020、無料)、家賃の審査は Huurcommissie が担当します。

出典: NL Times

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