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11月11日の Sint Maarten とオランダのハロウィン|ランタン・歌・地域差と秋冬の行事2026

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11月11日の Sint Maarten とオランダのハロウィン|ランタン・歌・地域差と秋冬の行事2026

10月に入ると、オランダのスーパーにはくり抜き用のカボチャが並び、街の雑貨店にはクモの巣の飾りが出ます。ところが、ハロウィン当日に子どもを連れて近所を回ってみると、どの家も静かで扉は閉まったまま、ということがよくあります。

その代わりに、11月11日の夕方、紙のランタンを手にした子どもたちが玄関のベルを鳴らし、歌を歌ってお菓子を受け取っていきます。これが Sint Maarten(シント・マールテン、聖マルティヌスの日) です。日本ではあまり知られていませんが、オランダで子どもを育てていると、学校から「ランタンを作ります」という連絡が来て初めて知る、という家庭も少なくありません。

デン・ハーグの在住者向け窓口 The Hague International Centre は、2026年9月に更新した記事で、この2つの行事をまとめて紹介しています。この記事では、それを起点に、在住者向け8媒体の記事と、ユトレヒト市、無形文化遺産の知識センター、消防、オランダ政府などの一次情報を重ねて、ハロウィンと Sint Maarten の違い、地域差、準備と作法、そして Sinterklaas までの秋冬の行事カレンダーを整理します。

この記事で分かること 答えの要点
ハロウィンはどう受け止められているか 若い世代と商業を中心に広がり中。家々回りは一部の通りだけ
Sint Maarten とは 11月11日、ランタンを持って歌い、お菓子をもらう子どもの行事
どこで盛んか 北ホラント・北部・ユトレヒト・リンブルフなど。媒体で説明が割れる
何を準備するか ランタン、歌、防寒と反射材。配る側は明かりとお菓子
そのあとの行事 11月14日に Sinterklaas 到着、12月5日に贈り物の夜

1. 2026年の秋冬、何がいつあるか

まず日付を押さえます。オランダの秋から冬にかけては、子ども向けの行事が2〜3週間おきに続きます。日本から来た家庭にとっては、どれも初めての行事なので、カレンダーに先に書き込んでおくと慌てずに済みます。

2026年は、ハロウィンの10月31日が土曜日、Sint Maarten の11月11日が水曜日にあたります。平日の夕方なので、学校から帰って夕食を済ませ、暗くなってから出かける流れになります。Sinterklaas の到着は11月14日(土)で、全国中継される到着行事は北ブラバント州の Grave(フラーフェ)で行われると Omroep Brabant が報じています。

10月17日から25日が中部と南部の秋休み、10月31日土曜がハロウィン、11月7日土曜がユトレヒトのパレード、11月9日月曜から Sinterklaasjournaal、11月11日水曜が Sint Maarten、11月14日土曜が Sinterklaas の到着、12月5日土曜が贈り物の夜、12月31日木曜の年越しは一般向け花火が禁止。 10.17 秋休み(中部・南部) 北部は10月10日から18日 10.31 ハロウィン(土) 商店街やイベント会場が中心 11.07 ユトレヒトのパレード(土) フローニンゲンも同じ日 11.09 Sinterklaasjournaal 開始 毎日18時、NPO 3 11.11 Sint Maarten(水) 夕方18時ごろから家々を回る 11.14 Sinterklaas 到着(土) 全国中継は Grave、ハーグは港で 12.05 Pakjesavond(土) 家族で贈り物を交換する夜 12.31 年越し(木) 一般向けの打ち上げ花火は禁止
図1:2026年の秋冬の行事(出典:Rijksoverheid、Sint Maarten Utrecht、Omroep Brabant、NL Times。2026年10月22日確認)

2. オランダでハロウィンはどう受け止められているか

日本の読者には意外かもしれませんが、オランダではハロウィンはもともとの行事ではありません。DutchReview のガイドは、ハロウィンは伝統的にオランダでは祝われておらず、最近になって人気が出てきたと書いています。広がった理由として、在住外国人の増加と、仮装好きなオランダ人の気質、そしてお菓子が挙げられています。

商業とイベントで広がった

DutchNews.nl は2022年の特集で、HEMA や Lush などのチェーンがハロウィン商品を売るようになり、Albert Heijn ではくり抜き用の線が入ったカボチャが売られていると紹介しました。2025年の同紙の記事は、くり抜き用のカボチャがここ数年でスーパーや市場、園芸店で当たり前に見られるようになったと書いています。

一方で、同じ DutchNews の特集には、ハロウィンを「アメリカからの輸入品」「店が物を売るための口実」と見る読者の声も並んでいます。「Sint Maarten は賛成、ハロウィンは反対」とまとめた読者もいました。若い世代は楽しんでいるように見えるが、全体としては意見が割れている、というのが在住者向け媒体のおおむね共通した見立てです。

家々回りは「目印のある家だけ」

子どもを連れて家々を回る、いわゆるトリック・オア・トリートは、オランダでは一部の通りに限られます。DutchReview は、参加する家が飾り付けをして目印にする、地区全体よりも個別の通り単位で行われることが多い、と説明しています。オランダ語では「Je snoep of je leven(お菓子か命か)」という言い回しが使われます。

同じ記事は、10月31日以外の日に仮装して家々を回ることは勧められない、とも書いています。ハロウィンに慣れていない家にとっては、知らない子どもが急にベルを鳴らすこと自体が驚きだからです。

デン・ハーグの2026年の催し

The Hague International Centre の記事によると、2026年は大人向けに PIP Den Haag(10月30日・31日)と Grote Markt の Boterwaag(31日、仮装で入場無料)のパーティーがあり、子ども向けには Theresiastraat の宝探し、Belgisch Park、Duinoord 地区と Statenkwartier の Frederik Hendriklaan での催しが挙げられています。市の観光案内サイト denhaag.com によれば、Theresiastraat では参加店の扉や窓にハロウィンのステッカーが貼られます。

催し(2026年) 日時 対象
PIP Den Haag 10月30日・31日の夜 大人
Boterwaag(Grote Markt) 10月31日 大人。仮装で入場無料
Theresiastraat の宝探し 10月31日 11〜17時 子ども
Belgisch Park 10月31日 12時〜 子ども
Duinoord・Frederik Hendriklaan 10月31日(時間は各地区で確認) 子ども

子ども向けの催しは昼から夕方に集中しています。暗くなってから子どもだけで回る日本の郊外型のイメージとは違う、と考えておくとよいでしょう。

3. Sint Maarten とは何か

Sint Maarten は、4世紀のトゥールの司教 Martinus(マルティヌス) を記念する日です。ローマの兵士だったマルティヌスが、寒い夜に凍える物乞いに自分のマントを剣で半分に裂いて分け与えた、という話がよく知られています。11月11日は、彼が埋葬された日とされています。

子どもがすること

The Hague International Centre の説明では、11月11日の夕方、子どもたちは手作りのランタンを持って近所を歩き、家々の扉の前で昔からの歌を歌って、お菓子や小さなご褒美をもらいます。行列は lampionnenoptocht(ランピオネンオプトホト、ランタン行列) と呼ばれます。

もらうものは、お菓子のほかにみかんなどの果物が定番です。Xpat.nl は、子どもたちにお菓子とみかんを渡すのが習わしだと書いています。昔は小銭を渡すこともあり、ユトレヒトの無形文化遺産の記述にも「お菓子、果物、またはお金」とあります。

歌が主役の行事

ハロウィンとの大きな違いは、子どもが歌うことです。IamExpat は、代表的な歌として「11 november is de dag」「Ik loop hier met mijn lantaarn」「Sinte Sinte Maarten」を挙げ、オランダ語の練習にもなると勧めています。2つの行事の違いを表にまとめます。

項目 ハロウィン Sint Maarten
日付 10月31日 11月11日
子どもの持ち物 仮装、袋 ランタン、袋
玄関でのやりとり 決まり文句を言う 歌を歌う
もらうもの お菓子 お菓子、みかん
起源 死者と季節の境目 分け与えた聖人の記念日
オランダでの歴史 ここ十数年で広がる 100年以上続く子ども行事

DutchReview のハロウィンのガイドは「Sint Maarten では子どもは仮装ではなく仮面を着ける」と書いていますが、同じページの読者コメントは「仮面ではなくランタンだ」と反論しています。ほかの媒体や一次情報で仮面に触れたものは見当たらず、実際にはランタンが主役と考えてよさそうです。

4. 由来と歴史|物乞いの日から子どもの光の行事へ

Sint Maarten の起源については、媒体によって説明の細部が違います。The Hague International Centre は「貧しい農民が冬を越すための食べ物を求めて農家を回った」と書き、無形文化遺産の知識センターは「貧しい人々がたいまつを持って家々を回り、冬に備えて食べ物と燃料を集めた」と書いています。どちらも、冬を前に施しを求める日だった点では一致しています。

1920年代の転換

NH Nieuws が2025年10月に伝えたところでは、1920年代より前の Sint Maarten は、貧しい人が裕福な地区でお金や果物を乞う bedeltocht(ベーデルトホト、物乞い回り) が中心でした。第一次世界大戦後、ランタンと歌の子どもの行列へと形を変え、もらうものもお金や果物からお菓子に移っていったといいます。

Kenniscentrum Immaterieel Erfgoed Nederland(オランダ無形文化遺産知識センター)によると、宗教改革(1580年ごろ)までは盛大に祝われ、その後は控えめになりました。1960年代以降はシュタイナー(人智学)系の学校が復活を後押しし、20世紀の終わりには新興住宅地にも歌う子どもが現れたとされています。

中世は貧しい人が食べ物を乞う日、1580年ごろの宗教改革で控えめになり、1920年代に子どものランタン行列になり、1960年代以降は学校を通じて再び広がった。2012年にユトレヒトの行事が無形文化遺産の目録に入った。 中世 施しを乞う日 1580年ごろ 宗教改革で縮小 1920年代 子どもの行列に 1960年代〜 学校から再興 2012年10月、ユトレヒトの行事が無形遺産の目録に
図2:Sint Maarten の移り変わり(出典:Kenniscentrum Immaterieel Erfgoed Nederland、NH Nieuws。2026年10月22日確認)

宗教から「分かち合い」へ

NL Times は2025年11月、RTL Nieuws の報道を引いて、Meertens Instituut(メールテンス研究所、オランダ王立芸術科学アカデミーの民俗・言語研究所)の民族学者 Irene Stengs の言葉を紹介しました。Sint Maarten はかつてヨーロッパで非常に人気のある聖人で、聖ニコラス(Sinterklaas のもと)よりも重要だった、という指摘です。Stengs は、いまの Sint Maarten は世俗化した行事で、カトリックとはもう関係がない、とも述べています。

それでも「分け与える」という核は残っています。ユトレヒトでは11月11日の前後に、ホームレスの人への無料の食事会や、連帯を表彰する「Sint Maarten のマント」賞の授与など、分かち合いをテーマにした行事が組まれています。

5. 地域差|どこで、いつ行われるのか

Sint Maarten は全国一律の行事ではありません。在住者向けの媒体を読み比べると、どこで盛んかについての説明が少しずつ食い違います。ここは食い違いをそのまま並べておきます。

媒体ごとに挙がる地域

NL Times は2021年に「主に北ホラント、リンブルフ、フローニンゲンで人気」と書きました。2025年の記事では、RTL Nieuws が自治体に行った調査をもとに、フェンロー(リンブルフ)からアルメーレ、フローニンゲンからハールレムまで広く祝われる一方で、カトリックが多い地域では意外にもあまり行われず、北ブラバントでは主に宗教行事のままだと伝えています。ただし調査の数値は記事に載っていません。

IamExpat は、リンブルフと北ホラントで今も重要な行事だとしています。NH Nieuws(北ホラントの地方局)は、北ホラント、リンブルフ、北ブラバント、フローニンゲン・フリースラント・ゼーラントの一部を挙げています。一方で、在住者向けのイベント情報には「南部のカトリックの州で主に祝われる」と書くものもあり、NL Times 2025 の報道とは逆の説明になっています。

北ホラントは5つの記事すべてで名前が挙がる。フローニンゲンは4つ、リンブルフは4つ、ユトレヒトは2つ、フリースラントは2つ。北ブラバントはNH Nieuwsでは盛んな地域、NL Times 2025では主に宗教行事とされる。 NLT21 NLT25 IamEx NOS18 NH24 北ホラント ユトレヒト フローニンゲン フリースラント 北ブラバント リンブルフ 名前が挙がる 主に宗教行事
図3:記事ごとに「Sint Maarten が行われる地域」として名前が挙がる州(NLT21・NLT25=NL Times 2021・2025、IamEx=IamExpat、NOS18=NOS 2018、NH24=NH Nieuws 2024。2026年10月22日確認。挙がらないことは「行われない」を意味しない)

図のとおり、北ホラントはどの記事でも名前が挙がり、フローニンゲンとリンブルフも多くの記事に出てきます。北ブラバントの扱いは記事によって分かれます。南ホラント州のデン・ハーグはどの全国記事にも名前が出てきませんが、The Hague International Centre は地区ごとの行列を案内しており、「行われていない」わけではありません。

日付がずれる地域もある

11月11日が週末にあたる年は、日付が動くことがあります。公共放送 NOS は2018年(11日が日曜日)に、北部の地方メディアの集計として、ドレンテとオーファーアイセルでは日曜日、フローニンゲンとフリースラントでは土曜日に行うところが多かったと伝えました。フローニンゲン市内でも地区によって土曜・日曜・月曜とばらばらだったそうです。

2026年は11日が水曜日なので、多くの地域では当日に行われると考えられます。ただし、ユトレヒトのパレードは7日(土)、フローニンゲンの Sunnemeerten(スンネメールテン、フローニンゲン方言での呼び名)のパレードも7日に予定されています。家々を回るのは11日、街の大きな行列は直前の土曜日、という組み合わせになる地域があるということです。

ユトレヒトが「Sint Maarten の街」である理由

ユトレヒトは、この行事にいちばん力を入れている都市です。無形文化遺産知識センターによると、7世紀にいまの Domplein に建てられた最初の教会がマルティヌスに捧げられ、その聖遺物が納められていました。2001年4月には、ドム教会の教区、カタレイネコンフェント美術館(Museum Catharijneconvent)、観光案内所などが Sint Maartensberaad(聖マルティヌス協議会) を立ち上げ、ユトレヒトを「オランダの Sint Maarten の街」として打ち出しています。

「Sint Maarten 行事 in ユトレヒト」は2012年10月にオランダの無形文化遺産の目録に登録され、パレードには参加者と見物客を合わせて約7,000人が集まるとされています。ユトレヒト市は、11月11日に市庁舎前の広場で Sint Maarten の旗を掲げることを旗の掲揚日として定めています。

6. ユトレヒトとデン・ハーグの2026年の予定

在住地域で何があるかを具体的に見ていきます。ユトレヒトは市全体のプログラムが公開されており、デン・ハーグは地区単位で動く、という違いがあります。

ユトレヒト

Sint Maarten Utrecht の2026年プログラムによると、パレードは11月7日(土)です。ユトレヒト市の公報に載ったイベント許可の告示(gmb-2026-388385)では、パレードは18時から21時の間で、Griftpark、Domplein、Ledig Erf とその間のルートが対象になっています。市のイベント案内は、ランタンでもクリスマス用の電飾でも、光るものなら何を持って参加してもよいと案内しています。

日時(2026年) 内容 場所
10月10日〜11月11日 展示「Verhalen van licht」(無料) Domkerk
11月5日(木)18:30 「Sint Maarten のマント」賞の授与 Domkerk
11月7日(土)18〜21時 Sint Maarten パレード 市中心部
11月8日(日)15:00〜 子ども向けの集い(4〜12歳) Domkerk
11月11日(水)9:15 市旗の前で歌う 市庁舎前
11月11日(水)21:30 ドム塔のすべての鐘を鳴らす Domtoren

7日のパレードを見て、11日は自分の地区で家々を回る、という過ごし方ができます。

デン・ハーグ

デン・ハーグには、ユトレヒトのような市全体のパレードはありません。The Hague International Centre は、Koningsplein、Huygenspark、Statenkwartier を行列が行われる場所として挙げたうえで、多くの地区が独自のルートを組むと説明しています。

同じ記事のアドバイスは具体的です。必要なものはランタンだけ。ルートの情報はたいてい1週間ほど前に、近所の人や地区のニュースレターを通じて届く。行列はふつう18時ごろに始まる。子どもに立ち寄って歌ってほしければ、ろうそくを灯してお菓子を用意しておく。そして、学齢期の子どもが近所の子と知り合い、家族が隣人と顔見知りになるよい機会だ、と結んでいます。

デン・ハーグで確かめること どこで分かるか いつまでに
自分の地区で行列があるか 隣人、地区のニュースレター 11月4日ごろ
集合場所と時間 同上、学校の連絡 11月4日ごろ
学校での行事の有無 担任、保護者アプリ 10月末
近所で配る家が多いか 前年の様子、隣人 当日まで

デン・ハーグでは「市の公式サイトを見れば全部分かる」という形になっていないため、隣人や学校の保護者とのつながりがそのまま情報源になります。

7. 子どもと参加するときの準備

Sint Maarten の準備は、ランタン、歌、服装の3つに分けると整理しやすくなります。どれも前日に慌てるとつらいので、1週間前から少しずつ進めるのがおすすめです。

ランタンを作る

ランタンはオランダ語で lampion(ランピオン) です。学校や保育施設で作って持ち帰ることが多く、その場合は家で作る必要はありません。家で作るなら、IamExpat は「買うより作るほうが楽しい」と勧め、作り方の動画を紹介しています。牛乳パックに形をくり抜いて内側に色紙を貼る、ガラス瓶に色紙を貼って取っ手を付ける、といった作り方が地方紙でも紹介されています。

ランタンの種類 手間 向いている年齢
学校・保育施設で作ったもの なし 全年齢
市販の紙ランタン+LED棒 小 2〜5歳
牛乳パックで手作り 中 4〜8歳
ガラス瓶で手作り 中 6歳〜(割れに注意)
カブ・ビーツをくり抜く 大 10歳〜(刃物を使う)

小さな子どもには、市販の紙ランタンと電池式のLEDライトが付いた棒の組み合わせがいちばん扱いやすく、スーパーや雑貨店で10月末から並びます。

灯りはLEDにする

紙のランタンにろうそくを入れると、子どもが振り回したり転んだりしたときに燃えやすくなります。消防の公式サイト Brandweer は、火のついたろうそくから目を離さないこと、子どもとろうそくだけにしないこと、飾りには電池式のLEDキャンドルを使うことを勧めています。ランタンについての個別の指針は見当たりませんでしたが、この考え方をそのまま当てはめれば、子どもが持つランタンはLEDが安全です。

なお、熱気で空に飛ばす紙の wensballon(ヴェンスバロン、願い事ランタン) は、オランダ政府の案内で消防が勧めないものとされ、自治体によっては禁止されています。Sint Maarten のランタンとは別物なので混同しないようにしてください。

服装と持ち物

11月のオランダの夕方は暗く、風が冷たく、雨も降ります。IamExpat も暖かい服装を勧めています。

持ち物 理由
ランタン(LED) 主役。予備の電池も
お菓子を入れる袋 布袋か小さなバケツ
防水の上着、手袋、帽子 雨と冷え込み
反射材(ベスト、たすき) 暗い道で車や自転車から見えるように
大人用の懐中電灯 足元の確認

表の反射材は、日本の子どもの登下校用のものがそのまま使えます。オランダの夕方は自転車の往来が多いので、車だけでなく自転車からも見えることを意識します。

8. 当日の流れと、お菓子を配る側の作法

当日は、子どもと一緒に回る側と、玄関で迎える側の2つの役割があります。オランダに住んでいると、数年のうちに両方を経験することになります。

前の週にランタンと歌を準備し、当日18時ごろに集合し、明かりのある家の玄関で歌ってお菓子を受け取り、帰宅後にお菓子の中身を確認する。 1. 準備 ランタンと歌 2. 集合 18時ごろ 3. 玄関で歌う 明かりのある家 4. 帰宅 中身を確認 回るのは1〜2時間。小さな子は数軒で十分
図4:Sint Maarten 当日の流れ(出典:The Hague International Centre、IamExpat。2026年10月22日確認)

回る側の作法

明かりのついていない家、飾りのない家は、訪問を受けない意思表示と受け取るのが一般的です。ベルを鳴らしても出てこなければ、そのまま次へ進みます。1軒で何度もベルを鳴らしたり、長く居座ったりしないのが礼儀です。

子どもの人数が多いグループでは、1人ずつお菓子をもらうと時間がかかります。家の人がまとめて差し出すかごから1つずつ取る、という形も多く見られます。

迎える側の作法

配る側は、Xpat.nl が書くように、窓辺にろうそくを置くか、「ベルを鳴らしてどうぞ」という貼り紙をするのが合図です。The Hague International Centre も、ろうそくを灯してお菓子を用意するよう勧めています。ろうそくを玄関の外に置く場合は、風で倒れないガラスのホルダーに入れるか、LEDキャンドルにします。

お菓子は個包装のものが基本です。IamExpat は、お菓子、スナック、チョコレート、みかんを挙げています。手作りのお菓子は、アレルギーや衛生面を気にする家庭もあるので避けたほうが無難です。

迎える側の準備 目安
個包装のお菓子・みかん 子ども1人1個。20〜50個
玄関の明かり LEDキャンドルかポーチライト
かご 子どもが自分で1つ取れる大きさ
終わりの合図 明かりを消す

用意する数は、住んでいる通りの子どもの数で大きく変わります。初めての年は隣人に「去年はどれくらい来た?」と聞いておくと、配りきれなかった・足りなかった、という失敗を減らせます。用意した分がなくなったら、明かりを消せば終わりの合図になります。

9. 学校・BSO(学童保育)での扱い

オランダの小学校(basisschool、バシススホール)では、多くの学校が Sint Maarten を季節の行事として取り上げます。ランタン作りや歌の練習を授業に組み込む学校が多く、NH Nieuws は、ベーフェルウェイクのモンテッソーリ校で上級生が自分でデザインし、下級生は型紙を使ってランタンを作る様子を伝えています。上級生が下級生を連れて校内を回り、教室ごとに歌うという行事も紹介されていました。

ユトレヒトの無形文化遺産の記述にも、市内の学校がこの行事にかなり力を入れていると書かれています。一方で、宗派や教育方針、地域によっては扱いが小さい学校もあります。

場所 よくある扱い 保護者が確かめること
小学校(低学年) ランタン作り、歌の練習 ランタンの持ち帰り日
小学校(高学年) 扱いが小さくなる 子どもが参加したいか
BSO(学童保育) 工作の時間にランタン作り 材料費、迎えの時間
保育施設 小さなランタン行列 当日の服装
インターナショナルスクール 学校による 行事予定

BSO(buitenschoolse opvang、ブイテンスホールセ・オプファング、学童保育)でも、工作の時間にランタンを作ることがよくあります。Xpat.nl は、誕生日のお菓子について学校や保育施設が甘いものを制限していることがあるので確認するよう書いており、学校で配るお菓子にも同じ注意が当てはまります。

ハロウィンについては、学校で仮装の日を設けるところもありますが、Sint Maarten ほど一般的ではありません。学校から特に連絡がなければ、仮装して登校させる必要はありません。

10. 安全のために気をつけること

Sint Maarten は、暗くなってから子どもが外を歩く数少ない行事です。楽しい行事ですが、日本の夏祭りの夜道とは条件が違います。気温が低く、雨が多く、自転車道を横切ることが多い点を前提に考えます。

気をつけること 具体的な対策
火 LEDライトにする。ろうそくなら大人が持つ
交通 反射材を着ける。自転車道の横断は大人と一緒に
迷子 グループの人数を数える。集合場所を決める
寒さと雨 防水の上着と手袋。早めに切り上げる
お菓子 帰宅後に中身と包装を確認する
犬 犬のいる家では玄関から少し離れて歌う

表の中でも特に注意したいのが交通です。オランダでは住宅街の中にも自転車道が通っており、ライトをつけた自転車が静かに速く近づいてきます。子どもだけのグループで回らせるのは、小学校高学年になってからでも遅くありません。

11. 日本と比べてどうか

ハロウィンの見え方は、日本とオランダでかなり違います。日本では、子どもの行事というより、若い大人が仮装して繁華街に集まるイベントとして広がった面があります。東京の渋谷区は、混雑と迷惑行為への対応として条例を改正し、2024年10月1日から渋谷駅周辺の路上や公園などでの18時から翌朝5時の飲酒を通年で禁止しました。

オランダのハロウィンも、大人のパーティーや商業イベントが中心という点では似ています。ただ、子どもが家々を回る「地域の行事」の役割は、すでに Sint Maarten が担っています。日本で子どもが地域を回る行事というと、地域によっては秋の亥の子(いのこ)や十日夜(とおかんや)のように子どもが家々を訪ねる行事、近畿地方の地蔵盆のように子どもがお菓子をもらう行事がありますが、全国どこでもあるものではありません。その意味で、Sint Maarten は「全国区のハロウィン」より、「地域で続いてきた子ども行事」に近い存在です。

比較の観点 日本のハロウィン オランダのハロウィン Sint Maarten
主な参加者 若い大人 大人と一部の子ども 子どもと近所
場所 繁華街、商業施設 イベント会場、商店街 自宅の周り
家々回り ほぼない 一部の通り 地域の慣習
自治体の関わり 混雑対策 イベント許可 行列の許可、旗
歴史 2000年代以降 ここ十数年 100年以上

日本の子ども行事との対応

日本の行事に置き換えると、Sint Maarten は1つの行事というより、いくつかの行事の要素を合わせ持っています。光を持って歩く点は提灯行列や灯籠流し、近所の家からお菓子をもらう点は地蔵盆、季節の節目に子どもの成長を地域で見守る点は七五三に通じます。

Sint Maarten の要素 近い日本の行事 違い
灯りを持って歩く 提灯行列、灯籠 子どもが自分で作る
近所でお菓子をもらう 地蔵盆、亥の子 歌が交換条件
季節の節目 十日夜、七五三 宗教色は薄い
分け与える教え 托鉢、施し 子どもが受け取る側

日本から来た家庭にとっては、「なじみのない外国の行事」としてより、「日本にも似た行事がある」と考えるほうが、子どもにも説明しやすくなります。

12. 日本から来る家族・祖父母への伝え方

10月末から11月にかけて、日本から祖父母が訪ねてくる家庭もあるでしょう。日本のニュースで渋谷のハロウィンの映像を見ている祖父母は、「オランダでも仮装してお菓子をもらうのでは」と想像しているかもしれません。事前に一言伝えておくと、当日の戸惑いが減ります。

伝えておきたい3点

  1. ハロウィンより Sint Maarten が本番:子どもがランタンを持って近所を歌って回るのは11月11日です。
  2. 夕方は暗くて寒い:11月のオランダは夕方には暗くなります。防寒着を持ってきてもらいます。
  3. お菓子を配る側も楽しい:祖父母に玄関で迎える役をお願いすると、言葉が分からなくても参加できます。

祖父母が迎え役になるとき

迎え役は、オランダ語が話せなくても困りません。子どもたちが歌い終わったらかごを差し出し、笑顔で「Dank je wel(ダンク・イェ・ヴェル)」と言えば十分です。日本のお菓子を配りたいと考える方もいますが、個包装で原材料が読めるものにとどめ、ナッツ入りのものは避けるのが無難です。

祖父母の疑問 答え方
ハロウィンで仮装させる? 催しに行くなら。家々回りは一部だけ
お年玉のようにお金を渡す? 今はお菓子かみかん。お金は不要
夜に子どもが出歩いて平気? 親が付き添う。1〜2時間で終わる
歌は日本語でもいい? オランダ語の歌が基本。一緒に聞けば十分
宗教行事に参加して大丈夫? 今は宗教色の薄い地域行事

最後の点は、気にする方が多いところです。Meertens Instituut の研究者が言うように、多くの地域で Sint Maarten は世俗化した行事になっており、信仰の有無にかかわらず参加できます。

13. やってはいけないこと

初めての年に起きやすい行き違いのうち、近所に迷惑をかけたり危険につながったりするものをまとめます。どれも、事前に知っていれば避けられるものです。

やってはいけないこと 理由
10月31日以外に仮装して家々を回る 驚かれ、迷惑と受け取られる
明かりのない家のベルを鳴らす 訪問を受けない合図
子どもだけで暗い道を長く回らせる 交通と寒さの危険
紙のランタンにろうそくを入れて幼児に持たせる 燃えやすい
願い事ランタン(wensballon)を飛ばす 消防が勧めず、禁止の自治体もある
年越しに一般向けの打ち上げ花火を使う 2026年8月から全国で禁止

最後の花火は Sint Maarten とは直接関係ありませんが、秋冬の行事として続けて押さえておきたい変更です。

14. Sinterklaas までの秋冬行事カレンダー

Sint Maarten が終わると、すぐに Sinterklaas(シンタクラース) の季節が始まります。ここでは行事の流れだけを押さえておきます。

到着から贈り物の夜まで

ACCESS によると、Sinterklaas は11月中旬に蒸気船でスペインから到着し、到着の様子はテレビ中継されます。2026年の全国中継の到着行事は、11月14日(土)に北ブラバント州の Grave で行われ、NPO 3 で12時から中継されると Omroep Brabant が伝えています。北ブラバント州で全国中継の到着行事が行われるのは2000年以来とのことです。子ども向けのニュース番組 Sinterklaasjournaal は11月9日(月)から毎日18時に放送されます。

デン・ハーグでは、例年スヘフェニンゲン港に Sinterklaas が到着します。子ども向けの情報サイト Kidsproof は、2026年も11月14日に港に到着し、79回目になると案内しています。時間などの詳細は直前に発表されることが多いので、近くなったら主催者の案内を確認してください。

到着後、子どもたちは夜に靴を出して、翌朝に小さなお菓子が入っているのを楽しみにします。本番は12月5日の Pakjesavond(パキェスアーフォント、贈り物の夜) で、Expatica によると2026年は土曜日にあたります。家族や友人と贈り物を交換し、贈り物には相手をからかったりほめたりする短い詩を添えるのが習わしです。

時期(2026年) 行事 家庭ですること
11月9日〜 Sinterklaasjournaal 子どもと毎日見る家庭が多い
11月14日 到着行事 見物に行く
11月中旬〜12月上旬 靴を出す夜 靴に小さなお菓子を入れる
12月5日 Pakjesavond 贈り物と詩を用意
12月19日〜1月3日 冬休み(全地域) 帰省や旅行の計画
12月31日 年越し 花火は自治体の催しで見る

Sinterklaas をめぐっては、従者 Zwarte Piet(ズワルテ・ピート)の描き方について長く議論がありましたが、この記事の主題ではないため立ち入りません。学校や地域で行事に参加するときは、それぞれの方針に従ってください。

年越しの花火が変わる

秋冬のカレンダーで、2026年に大きく変わるのが年越しの花火です。NL Times によると、一般消費者向けの花火の全国禁止は2026年8月1日に施行され、2026年から2027年への年越しが最初の対象になります。オランダ政府の案内では、線香花火やクラッカーのような F1 区分の小さな花火は引き続き一年中使えますが、ロケット花火などは一般の人が買うことも持つことも使うこともできません。

15. 手順とチェックリスト

最後に、2026年の日付に合わせて、やることを時系列で並べます。

  1. 10月中:学校・BSO の行事予定を確認し、ランタン作りの日を把握する
  2. 10月31日(土):ハロウィンを楽しむなら、Belgisch Park や Theresiastraat などの催しに参加する
  3. 11月4日ごろ:近所や地区のニュースレターで Sint Maarten の行列の集合場所と時間を確かめる
  4. 11月7日(土):ユトレヒト在住なら、パレードに参加するか決める
  5. 11月10日まで:ランタンのLEDの電池、反射材、防寒具、配る側ならお菓子をそろえる
  6. 11月11日(水):18時ごろに出発し、1〜2時間で切り上げる
  7. 11月14日(土):Sinterklaas の到着行事を見に行くか決める
  8. 12月5日(土):贈り物の夜の準備をする

16. まとめ

  • オランダのハロウィンは、商業とイベントを中心に広がっているが、子どもが家々を回るのは一部の通りと催しに限られる
  • 子どもがランタンを持って歌い、お菓子をもらうのは11月11日の Sint Maarten。2026年は水曜日
  • Sint Maarten はもともと冬を前に施しを乞う日で、1920年代ごろに子どもの行事へ変わった。いまは宗教色の薄い地域行事
  • どこで盛んかは媒体によって説明が分かれる。ユトレヒトは市全体で行事を組み、デン・ハーグは地区単位で動く
  • 準備はランタン(LED)、歌1曲、反射材と防寒着。配る側は明かりと個包装のお菓子
  • Sint Maarten のあとは11月14日に Sinterklaas が到着し、12月5日の贈り物の夜へ続く。年越しの一般向け花火は2026年から禁止
  • 日本から来る家族には、ハロウィンより Sint Maarten が本番であること、玄関で迎える役なら言葉が分からなくても参加できることを伝えておく

参考にした情報源

一次情報(行政・公的機関・研究機関・主催者)

在住者向け媒体・報道

日付と催しの内容は主催者の都合で変わることがあります。いずれも2026年10月22日時点で確認したものです。参加前に主催者や地区の最新の案内を確認してください。


元記事はこちら

Spooky Season in The Hague: Halloween and Sint Maarten's traditions — The Hague International Centre

よくある質問

オランダの Sint Maarten(シント・マールテン)とは何ですか?
毎年11月11日の夕方に、子どもが手作りのランタンを持って近所の家を回り、玄関先で歌を歌ってお菓子や果物をもらう行事です。4世紀のトゥールの司教マルティヌスの記念日で、もとは冬を前に貧しい人が食べ物を乞う日でした。1920年代ごろから子どもの行事に変わったとされます。
2026年の Sint Maarten とハロウィンはいつですか?
ハロウィンは10月31日(土)、Sint Maarten は11月11日(水)です。ユトレヒトの大きなパレードは11月7日(土)に開かれます。Sint Maarten の家々回りは地域や通りによって前後の週末にずらすことがあるので、近所の案内で確かめてください。
オランダでは子どもがハロウィンにトリック・オア・トリートをしますか?
広く定着しているとはいえません。参加する家が飾りやチラシで目印を出す通りや、商店街が企画するイベントが中心です。目印のない家を回るのは避け、デン・ハーグなら Belgisch Park や Theresiastraat の催しのように場所と時間が決まった企画に参加するのが確実です。
Sint Maarten でお菓子を配る側は何を準備すればいいですか?
個包装のお菓子やみかんを用意し、玄関や窓辺に明かりを置くと「来てよい」という合図になります。The Hague International Centre は、ろうそくを灯してお菓子を用意しておくよう勧めています。訪問を受けたくない日は明かりを消しておけば、通常は素通りされます。
ランタンの中はろうそくとLEDのどちらがよいですか?
小さな子どもが持つならLEDライトが安全です。紙のランタンにろうそくを入れると、傾いたときに燃えやすくなります。消防(Brandweer)は、火のついたろうそくから目を離さないこと、飾りには電池式のLEDキャンドルを使うことを勧めています。
Sint Maarten はオランダ全土で行われていますか?
全国一律ではありません。北ホラント、フローニンゲン、フリースラント、リンブルフ、ユトレヒトなどで盛んと報じられる一方、カトリックの多い北ブラバントでは宗教行事の色が濃いとも伝えられています。デン・ハーグでも地区ごとに行われますが、通りによって差があります。

出典: The Hague International Centre

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