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2027年のオランダの光熱費はどう変わる?系統料金141ユーロ増・ネットメータリング廃止・契約の選び方

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2027年のオランダの光熱費はどう変わる?系統料金141ユーロ増・ネットメータリング廃止・契約の選び方

オランダで暮らしはじめて最初の冬、毎月の光熱費の引き落としを見て「思ったより高い」と感じる人は少なくありません。そして年に1回届く精算書を見て、もう一度驚きます。数百ユーロが返ってくることもあれば、同じくらいの額を追加で求められることもあるからです。

2026年9月14日、オランダの消費者・市場庁 ACM(Autoriteit Consument & Markt、アーセーエム) は、2027年に家庭の系統使用料(netbeheerkosten、ネットベヘールコステン)が平均で年約141ユーロ上がるという予測を出しました。電気の分が約89ユーロ、ガスの分が約52ユーロです。同じ日に NL Times は「送電網の増強で、オランダの家庭の光熱費は来年140ユーロ上がる」と報じました。

ただ、光熱費を動かすのは系統使用料だけではありません。エネルギー税の改定、電気・ガスそのものの値動き、2027年1月1日に終わる太陽光パネルの相殺制度、そして契約の種類が重なります。この記事は NL Times の記事を起点に、在住者向けの英語媒体8つを横断して読み、ACM・政府(Rijksoverheid)・税務当局(Belastingdienst)・中央統計局(CBS)・Milieu Centraal(ミリュー・セントラール、環境情報の公的機関)の一次資料で数字を確かめて整理したものです。

この記事が主に根拠にした情報

  • ACM「Huishoudens betalen in 2027 gemiddeld per jaar €89 meer voor transport elektriciteit en €52 meer voor gastransport」(2026年9月14日)
  • ACM「ACM publiceert tariefvoorstellen netbeheerders 2027」(2026年10月7日)と、時間帯別系統料金の案(2026年10月8日)
  • Belastingdienst のエネルギー税率(2026年)と、Belastingplan 2027 の税率表(訂正版)
  • CBS「Energierekening gemiddeld iets lager」(2026年2月26日)と平均エネルギー料金の統計表
  • Rijksoverheid「Salderingsregeling stopt in 2027」と「Noodfonds Energie gaat open」(2026年9月29日)
この記事で分かること 答えの要点
2027年に何が上がるか 系統使用料が平均約141ユーロ。税は年10ユーロ前後の増加
なぜ上がるのか 送電網の増強投資と、ガス網の費用を払う人が減っていること
乗り換えで避けられるか 系統使用料は避けられない。供給単価と条件は選べる
太陽光パネルの家は 2027年から相殺がなくなり、自家消費を増やすほど得
賃貸で何を確かめるか 仮払いの額、年次精算の時期、家賃込みかどうか
困ったときは Noodfonds Energie に2027年1月4日〜5月7日に申請できる

1. いま何が起きているか:2027年の系統使用料は平均約141ユーロ増

最初に、起点になった報道と一次情報の数字を並べます。ACM は毎年、送配電会社(netbeheerder、ネットベヘールダー)が出す翌年の料金案を審査し、承認します。2026年9月14日に出たのは、その審査前の予測です。

ACM の発表によると、2027年に平均的な世帯が払う電気の輸送費は年約89ユーロ、ガスの輸送費は年約52ユーロ上がります。地域の電気・ガス網につながる家庭と事業者は、平均で約20%多く払うことになります。輸送料金は平均的な世帯の光熱費の約30%を占める、とACMは書いています。

値上げの理由は「送電網の増強」と「ガス利用者の減少」

ACM が挙げる理由は2つです。1つは電気の側で、洋上風力の拡大や接続待ちの解消のために、ケーブルや変電所への大きな投資が必要になっていることです。送配電会社は今後15年で約2,350億ユーロを電力網に投じる必要があるとされています。

もう1つはガスの側です。家庭も事業者もガスを使う量が減っているのに、ガス管の維持や安全のための更新は続きます。その費用を払う人の数が減っていくので、1世帯あたりの負担が上がります。

さらに、2027年は ACM が2026年初めに決めた新しい料金算定の方法で計算する最初の年です。送配電会社が投資費用をより早く回収できる仕組みになったため、ACM の Michiel Denkers 氏は「今年は跳ね上がって見える」と説明した、と NL Times は伝えています。

送配電会社ごとに上がり方が違う

系統使用料は送配電会社ごとに決まります。デン・ハーグ、ロッテルダム、ユトレヒトの多くは Stedin(ステディン)、アムステルダムと北ホラント州・ヘルダーラント州の多くは Liander(リアンダー)、南部と東部は Enexis(エネクシス)です。

比較サイト Keuze.nl は、ACM が公開した各社の料金案をもとに、電気とガスを合わせた年額(標準的な接続、計量料金と付加価値税21%込み)を計算しています。下の図は、その2026年(確定)から2027年(案)への増加額です。

電気とガスを合わせた年額の増加は、Stedin が163ユーロ、Liander が134ユーロ、Enexis が122ユーロ、Rendo が92ユーロ、Coteq が58ユーロ、Westland が11ユーロ。 Stedin +€163 Liander +€134 Enexis +€122 Rendo +€92 Coteq +€58 Westland +€11 電気+ガスの年額、付加価値税込み、2027年は料金案
図1:送配電会社ごとの系統使用料の増加額(2026年→2027年案)。出典:Keuze.nl(2026年10月7日、ACM公表の料金案をもとにした比較サイトの試算)。2026年10月22日確認

Keuze.nl の計算では、Stedin の地域は年751ユーロから914ユーロへ、約22%の増加です。デン・ハーグに住む人にとっては、全国平均の141ユーロより上振れする可能性がある、ということになります。ただしこれは比較サイトの試算で、ACM の最終決定で変わることがあります。

媒体によって数字が少しずつ違う

同じ ACM の予測を元にしていても、媒体ごとに書き方が違います。読み比べて気づいた食い違いを表にまとめます。

項目 媒体の記述 一次情報(ACM など)
平均の増加額 NL Times は約140ユーロ、DutchNews と DutchReview は141ユーロ 89+52=141ユーロ
上昇率 NL Times・DutchNews は19%、DutchReview は「20%近く」 ACM は「平均で約20%」
投資額 NL Times は「15年で約2億3,500万ユーロ」 ACM は約2,350億ユーロ
最終決定の時期 各媒体は「12月」 ACM は「2026年11月」、Keuze.nl は11月27日
2028年以降 NL Times は年5〜6%、DutchReview は年5〜7% ACM は具体的な率を示していない
光熱費に占める割合 DutchNews は約28% ACM は約30%

投資額は NL Times が「million(百万)」と書いており、ACM や DutchNews の「billion(十億)」と桁が違います。ほかの差は丸め方や前提の違いによるものですが、最終額が出るまでは「約140ユーロ前後」と幅を持って理解しておくのが安全です。

2. オランダの光熱費の請求書は4つの層でできている

オランダの電気・ガス代が分かりにくいのは、1枚の請求書に性格の違う料金がまとめて載っているからです。まず全体の地図を描いておきます。

CBS は毎年、平均的な世帯の光熱費を項目ごとに試算しています。2026年1月の価格で、ガス928m³・電気1,747kWh を使う世帯の年額は1,993ユーロでした(CBS、2026年2月26日)。内訳は次のとおりです。

項目 年額(€) 払う先 選べるか
ガスのエネルギー税 674 国(電力会社が徴収) 選べない
ガスの供給(変動+固定) 637 電力・ガス会社 選べる
電気の輸送(系統使用料) 477 送配電会社 選べない
電気の供給(変動+固定) 373 電力・ガス会社 選べる
ガスの輸送(系統使用料) 268 送配電会社 選べない
電気のエネルギー税 194 国(電力会社が徴収) 選べない
エネルギー税の控除 −629 国(電力会社経由で差し引き) 選べない

この表から分かるのは、電力会社を選んで変えられるのは全体の半分弱にすぎないということです。残りは税と系統使用料で、どこと契約しても同じです。

年額でガス税674ユーロ、ガス代637ユーロ、電気網477ユーロ、電気代373ユーロ、ガス網268ユーロ、電気税194ユーロ。ここから税の控除629ユーロを引いて合計1,993ユーロ。 ガス税 €674 ガス代 €637 電気網 €477 電気代 €373 ガス網 €268 電気税 €194 税の控除 −€629 → 合計 €1,993/年 オレンジ=系統使用料、濃い灰=税、枠線=供給
図2:平均的な世帯の光熱費の内訳(2026年1月の価格、ガス928m³・電気1,747kWh)。出典:CBS(2026年2月26日)。2026年10月22日確認

第1層:電気・ガスそのものの料金(leveringskosten)

電力・ガス会社(energieleverancier、エネルヒーレフェランシール)に払う部分です。使った量に単価をかけた変動部分と、使用量に関係なく毎月かかる固定の供給料金(vaste leveringskosten)に分かれます。会社と契約の種類で大きく変わるのはここです。

CBS の統計表によると、2026年の変動契約の電気の単価は1kWhあたり0.15ユーロ前後、ガスは1月の0.59ユーロから8月には0.65ユーロに上がっています(CBS 平均エネルギー料金、付加価値税込み)。中東情勢でガスの卸価格が上がったためです。

第2層:系統使用料(netbeheerkosten)

電線やガス管を持つ送配電会社に払う部分です。電気は使用量ではなく接続の大きさ(容量)で決まる定額で、一般的な住宅の「3×25A」の接続なら同じ地域では同じ額です。ガスも年間の使用量の帯で決まる定額です。2027年に大きく上がるのはこの層です。

第3層:エネルギー税(energiebelasting)

使った電気1kWh、ガス1m³ごとにかかる国の税です。電力・ガス会社が請求書に載せて集め、国に納めます。税そのものに付加価値税21%がかかるので、請求書の税額は税務当局の公表値の1.21倍になります。

第4層:エネルギー税の控除(vermindering energiebelasting)

電気の接続1つにつき、年に決まった額が税から差し引かれます。英語媒体では「energy tax credit」、オランダでは「heffingskorting(ヘフィングスコルティング、課税の割引)」と呼ばれることもありますが、正式名は vermindering energiebelasting(フェルミンデリング・エネルヒーベラスティング、エネルギー税の減額) です。2026年は税抜き519.80ユーロ、付加価値税込みで約629ユーロです。

この控除は毎月の請求に12分の1ずつ反映されるか、年次精算でまとめて反映されます。会社によって扱いが違うため、最初の精算書が予想より安くなる理由になりやすい、と NL Times の解説記事は書いています。

3. 系統使用料(netbeheerkosten)の仕組みと、これからの変化

系統使用料は、日本でいう「託送料金」に近いものです。ただし請求書の上での見え方がかなり違います。ここで仕組みを詳しく見ておきます。

送配電会社は住所で決まり、選べない

オランダの地域の送配電会社は6社です。電力・ガス会社は自由に選べますが、送配電会社は住所で決まり、変えられません。電気とガスで会社が違う住所もあります。自宅の送配電会社は mijnaansluiting.nl で郵便番号から調べられます。

送配電会社 主な地域 2027年の電気料金案の上昇率
Stedin デン・ハーグ、ロッテルダム、ユトレヒト 約17%
Liander アムステルダム、北ホラント、ヘルダーラント 約23%
Enexis 南部・東部(北ブラバント、リンブルフなど) 約17%
Rendo ドレンテ・オーファーアイセルの一部 約11%
Coteq オーファーアイセルの一部 約0%
Westland Infra 南ホラントのウェストラント 約−1%

上昇率は NOS(オランダ公共放送)の数字を DutchNews・DutchReview・Keuze.nl が引用したもので、電気だけの率です。図1の Keuze.nl の計算は電気とガスの合計なので、Stedin が17%と22%の2つの数字で出てくるのはそのためです。どの数字を見ているのか(電気だけか、合計か)を確かめる必要があります。

「使わなくても上がる」理由

DutchReview は、今回の値上げは「実際にどれだけエネルギーを使うかとは関係がない」と書いています。電気の系統使用料は接続容量に応じた定額なので、節電しても下がりません。電気をほとんど使わない単身世帯にも、同じ額がかかります。

2029年からは「時間帯で変わる系統料金」の案

ACM は2026年10月8日、家庭の電気の系統使用料を使用量と時間帯で変える案を公表しました(ACM)。開始は家庭などの小さな接続で2029年1月1日、大口は2028年1月1日が目標です。

案では、系統使用料の約3分の1が定額のまま残り、残りは使った量と時間帯で決まります。ACM は約60%の世帯が得をすると見込み、小さなアパートでは年100〜200ユーロ安くなる一方、ヒートポンプと電気自動車のある一戸建てで使い方を工夫しても年300〜450ユーロ高くなる例を示しています。

ただし、送配電会社側はシステムの準備が間に合わないとして、開始を遅らせるよう ACM に求めています。IamExpat も「意見募集と最終決定を経る案」と書いています。2029年開始はまだ確定ではありません。

4. エネルギー税と控除:2027年はガスが上がり、電気が下がる

次に税の層です。2026年9月15日の予算案(Prinsjesdag、プリンセスダッハ)と同時に出た税制案 Belastingplan 2027 に、2027年のエネルギー税率が載っています。

この税率表には後から訂正が入りました。最初に公表された数字が誤っており、財務省が訂正版の税率表を出し直しています。比較サイトの記事には訂正前の数字を載せたものもあるため、注意が必要です。

項目 2026年(確定) 2027年(案) 変化
電気・最初の段階(2,900kWhまで) €0.09161/kWh €0.0880/kWh 下がる
ガス・最初の段階(1,000m³まで) €0.60066/m³ €0.6163/m³ 上がる
控除(電気の接続1つあたり・年) €519.80 €519.58 ほぼ同じ
付加価値税込みの電気税 約€0.1108/kWh 約€0.1065/kWh −4%前後
付加価値税込みのガス税 約€0.7268/m³ 約€0.7457/m³ +2.6%前後

2026年の値は Belastingdienst の公表値、2027年の値は財務省の訂正版税率表(Fiscale sleuteltabel 2027)で確かめました(いずれも税抜き)。付加価値税込みの値は21%をかけて計算したものです。2027年の値は議会で可決されて初めて確定します。

この表から言えるのは、電気からガスへ税の重心を移す流れが続いているということです。政府は暖房の電化を後押しするため、ここ数年、ガスの税を上げて電気の税を下げてきました。

平均的な世帯では税の影響は小さい

税の変化を平均的な世帯に当てはめてみます。CBS の想定(電気1,747kWh・ガス928m³)では、電気の税が年約8ユーロ下がり、ガスの税が年約18ユーロ上がり、控除が0.27ユーロ減ります。差し引きで年約10ユーロの増加です。

Overstappen.nl は、電気2,500kWh・ガス1,000m³ の世帯で年約8ユーロの増加と計算しています。どちらで計算しても、2027年の税の変化は系統使用料の値上げに比べてずっと小さいことが分かります。ガスを使わない全電化の家では、税の部分はむしろ下がります。

控除は「接続」単位で、人数は関係ない

控除は電気の接続1つに対して年1回分です。単身でも5人家族でも同じ額なので、使用量の少ない世帯ほど、控除の効き目が大きくなります。電気をあまり使わない単身者の場合、税の合計より控除の方が大きくなり、税の部分がマイナスになることもあります。

5. 2027年の請求はいくら変わるか:平均的な世帯で試算する

ここまでの数字を合わせて、平均的な世帯の2027年の光熱費がどう動くかを試算します。供給単価は契約によって違うので、2つの前提を置いた目安です。

項目 2027年の変化(年額) 前提・出典
系統使用料(電気) +€89 ACM の平均値
系統使用料(ガス) +€52 ACM の平均値
エネルギー税(電気) 約 −€8 1,747kWh、税率案
エネルギー税(ガス)と控除 約 +€18 928m³、税率案
小計(制度で決まる部分) 約 +€151 月約12.6ユーロ
ガス単価が2026年9月の水準のまま 約 +€70 CBS の変動単価、1月比

制度で決まる部分だけで年約150ユーロ、月に直すと約12〜13ユーロの増加です。これに、電気・ガスそのものの単価の動きが加わります。CBS の統計でガスの変動単価は2026年1月から9月(速報値)にかけて1m³あたり約0.075ユーロ上がっており、この水準が続けば平均的な世帯で年70ユーロ前後の上乗せになります。

ただし、固定契約を結んでいる人は契約期間中の供給単価は変わりません。系統使用料と税は固定契約でも変わる点が、日本の感覚との違いです。「固定契約だから来年も同じ」とは限りません。

地域熱供給(stadsverwarming)の家は別に考える

マンションによっては、ガスではなく地域熱供給(stadsverwarming、スタッツフェルヴァルミング)で暖房とお湯をまかなっています。地域熱の料金は熱供給法にもとづき ACM が毎年上限を決め、その上限はガス価格に連動します。

IamExpat は、70万世帯以上が地域熱を使っており、ガス価格が高止まりすれば2027年の熱料金は約20%上がる可能性がある、という専門家の見方を伝えています(2026年9月21日)。ACM は9月23日・10月23日・11月23日の3回、ガス価格を測って上限を決めます。地域熱の家は供給会社を選べないため、上限の発表を待って仮払い額を見直すことになります。

試算はあくまで平均

送配電会社、住宅の断熱、在宅勤務の有無、暖房の方式で、実際の増加額は大きく変わります。CBS によると、古くて大きい一戸建てでガス暖房の多人数世帯は年3,370ユーロ、主に電気で暖房する家は年1,020ユーロでした。同じ「平均141ユーロ増」でも、家によって受け止め方が違います。

6. ネット混雑(netcongestie)と暮らしの関係

系統使用料が上がる背景には、送電網の混雑、netcongestie(ネットコンヘスティー) があります。電気自動車、ヒートポンプ、太陽光パネル、新しい住宅地が一度に増え、送電網の容量が追いつかなくなっている状態です。

接続を待つ人が増えている

DutchNews によると、事業者・住宅・学校など約1万5,000件が送電網への接続を待っています。送配電会社は混雑が社会にもたらす損失を年100億〜400億ユーロと見積もっています。家庭でも、接続の容量を大きくする申請(3×25Aから3×35Aへなど)が地域によっては数年待ちになっています。

家庭でできることと、できないこと

普通の賃貸住宅に住んでいる限り、ネット混雑が日々の暮らしに直接影響することはほとんどありません。影響が出るのは、ヒートポンプや電気自動車の充電設備を入れるために接続容量を上げたいときです。購入を考えている物件では、容量の引き上げにどれくらい時間がかかるかを送配電会社のサイトで確かめておくと安心です。

7. 太陽光パネルの相殺制度(salderingsregeling)が2027年1月1日に終わる

2027年のもう1つの大きな変化が、太陽光パネルの相殺制度、salderingsregeling(サルデリングスレヘリング) の終了です。屋根にパネルがある家に住む人は、賃貸でも影響を受けます。

Rijksoverheid によると、相殺制度は2027年1月1日で終わります。これまでは、昼間に送電網へ送り返した電気の量を、夜に使った電気の量からそのまま差し引けました。送り返した電気が、税込みの電気代と同じ価値を持っていたわけです。

項目 2026年まで 2027年から
送り返した電気の扱い 使った量から差し引く 電力会社が買い取る
送り返した電気の価値 税込みの電気代と同じ 供給単価(税抜き)の50%以上
最低保証の期限 — 2030年まで
電力会社の手数料 一部の会社が請求 処理にかかる実費のみ
監督 ACM ACM

この表から分かるのは、2027年以降は自分で使う電気の価値が、送り返す電気の価値よりずっと高くなるということです。税と系統料金を含めた買う電気と、税抜き単価の半分程度で売る電気の差が広がります。

2026年11月にACMが2027年の系統料金を決定、2026年12月31日に相殺制度の最終日、2027年1月1日に新料金と新税率、2027年1月4日から5月7日にNoodfonds Energieの申請、2029年に時間帯別の系統料金(案)、2030年まで売電の最低50%保証。 2026.11 ACM が2027年の系統料金を決定 媒体は12月と報道 12.31 相殺制度の最終日 メーター値を記録しておく 2027.1.1 新しい系統料金と税率 売電は買取方式へ 1.4 緊急基金の申請開始 5月7日まで 2029 時間帯別の系統料金(案) 開始時期は未確定 〜2030 売電の最低50%保証 税抜きの供給単価が基準
図3:2026年11月〜2030年の主な日付。点線の丸は未確定の案。出典:ACM、Rijksoverheid、Rijksoverheid(Noodfonds)。2026年10月22日確認

パネルのある家は「昼に使う」が基本になる

Milieu Centraal によると、何も工夫しない家庭ではパネルで作った電気の約30%を自分で使っています(冷蔵庫、ルーター、照明など)。洗濯機・食洗機・乾燥機を晴れた時間に1台ずつ回せば、自家消費は35%前後に上がります。

Milieu Centraal は、自分で作った電気は送電網から買う電気の約4分の1のコストだと説明しています。年3,200kWh を使う家庭の例では、パネルなしで年650ユーロ、パネルありで工夫なしなら600ユーロ、晴れた時間に家電を回せば575ユーロという試算です。相殺がなくなってもパネルは損にならない、というのが同機関の見方です。

賃貸でパネルが付いている場合

賃貸住宅では、屋根のパネルを大家が持っていても、送り返した電気は入居者の接続と入居者の契約を通ります。NL Times の解説記事が指摘するとおり、相殺の終了による影響は入居者の請求書に出ます。

社会住宅については、政府と住宅協会の団体 Aedes、借家人団体 Woonbond の調査で、パネル付き住宅の入居者の多くが相殺終了後に損をする可能性があると NL Times が2025年に報じています。パネルの使用料を家賃とは別に払っている場合は、2027年以降の条件を大家に確認する価値があります。

送り返すと費用がかかる契約もある

一部の電力会社は、送り返した電気にterugleverkosten(テルフレーフェルコステン、送電の手数料)をかけています。Milieu Centraal によると、多くの会社の買取額は税抜きで1kWhあたり約1.25セントで、小さな会社には買取額がマイナス、つまり送り返すと払う形のところもあります。2027年からは、電力会社が差し引けるのは処理の実費だけになり、ACM が監督します。

パネルのある家で契約を比べるときは、買取額と手数料の条件を必ず並べて見ます。電気の購入単価が安くても、買取条件が悪ければ年間総額で損をすることがあります。

8. 固定・変動・動的契約の選び方

電力・ガス会社との契約には、大きく3つの種類があります。2026年は中東情勢でガス価格が乱高下し、契約の選び方で年間の支払いが大きく分かれました。

DutchNews(2026年3月4日)によると、オランダの世帯の約半分が固定契約で、残りは変動契約か動的契約です。同じ記事では、価格の急騰を受けて大手の一部が新規の固定契約を一時止めたことも報じられています。

種類 単価の決まり方 解約金 向いている人
固定(vast) 契約期間中は固定 期間内の解約であり得る 予算を読みたい家族
変動(variabel) 会社が事前通知で改定 なし 短期滞在、様子見の人
動的(dynamisch) 電気は1時間ごと、ガスは1日ごと なし 時間をずらせる家電がある人
モデル契約(modelcontract) 固定型と変動型がある 変動型はなし 条件を比べる手間を省きたい人

固定契約:予算は読めるが、出口に注意

固定契約は、1年・3年などの期間中、電気とガスの供給単価が変わりません。毎月の支出が読みやすいのが利点です。ただし、期間の途中で解約すると opzegvergoeding(オプゼッハフェルフューディング、解約補償金) がかかることがあります。

NL Times の解説によると、解約補償金は契約書に記載されている場合にだけかかり、「残りの使用量×契約単価と現在の同等契約の単価の差」で計算されます。市場価格が上がっているときに解約すると、ゼロになることもあります。国外への引っ越しでも免除されるとは限らないので、Xpat.nl は契約前に細かい条件を読むよう勧めています。

変動契約:いつでも出られるが、単価は動く

変動契約は期間の定めがなく、会社が事前に通知して単価を改定します。多くは年に数回、決まった時期に改定されます。解約補償金はなく、1か月前の通知で解約できます。滞在期間がはっきりしない人には現実的な選択肢です。

動的契約:安い時間に使えれば得、夕方は高い

動的契約の電気料金は、前日に決まる卸市場の価格に連動して1時間ごとに変わります。スマートメーターが必要です。昼間に太陽光発電が多い日は安く、日没前後の風のない日は高くなる傾向があります。

DutchNews(2026年6月24日)によると、暑さと無風が重なった日の夜9時には1kWhあたり1.20ユーロと、夏の夕方の通常の約4倍に達すると見込まれました。同じ日の午後2〜4時は約20セントでした。CBS の統計でも、動的契約の電気の変動単価は2026年1月の0.15ユーロから9月(速報値)には0.21ユーロ前後に上がっています。使う時間を選べない家庭には向きません。

モデル契約:条件がどこでも同じ

すべての電力会社は、ACM が条件を決めた「モデル契約(modelcontract)」を提供する義務があります。2026年からは期間の定めのない変動型と、期間を決めた固定型の2種類です。変動型は1か月前の通知で解約金なしに解約できます。単価は会社ごとに違いますが、条件の細かい比較をしなくてよいのが利点です。

比べるときは年間総額で

Expatica は「毎月の仮払い額だけで契約を判断しない」よう書いています。比較サイトの表示単価は、固定の供給料金や新規客向けの割引で見え方が変わります。同じ住所・同じ使用量を入れて、年間総額で比べるのが基本です。オンラインで結んだ契約には14日間のクーリングオフがあります。

9. 賃貸の前払い(voorschot)と年次精算(jaarafrekening)

日本から来た人が一番戸惑うのが、この「前払いと年次精算」の仕組みです。自分で電力会社と契約している場合と、家賃に光熱費が含まれている場合で、流れが違います。

入居日にメーターの値を撮影し、毎月は予想使用量にもとづく仮払いを払い、年1回の精算で実際の使用量と比べ、差額が返金か追加払いになる。 1. 入居日 メーター撮影 2. 毎月 仮払い 3. 年1回 年次精算 4. 差額 返金か追加 家賃込みの場合は、大家が7月1日までに精算書を出す
図4:入居から年次精算までの流れ。出典:NL Times(2026年9月10日)、Huurcommissie。2026年10月22日確認

自分で契約している場合:termijnbedrag と jaarafrekening

自分で電力・ガス会社と契約している場合、毎月口座から引き落とされるのは termijnbedrag(テルメインベドラッハ、月々の仮払い額) です。予想使用量をもとに会社が決めた額で、実際の使用量とは一致しません。

年に1回、契約の1年目の終わりなどに jaarafrekening(ヤールアフレーケニング、年次精算書) が届きます。実際の使用量で計算し直し、払いすぎていれば返金、足りなければ追加の請求が来ます。スマートメーターがあれば使用量は自動で送られますが、ない場合はメーターの値を自分で報告します。

2027年は系統使用料が上がるので、会社が仮払い額を自動で上げない場合、精算で追加払いになる可能性があります。多くの会社のアプリやマイページでは、仮払い額を自分で調整できます。年明けに、新しい料金で計算された予想年額と仮払いの合計を見比べておくと安心です。

家賃に含まれている場合:servicekosten の voorschot

家具付きや短期の賃貸では、光熱費が家賃に含まれていることがあります。この場合、毎月払っているのは光熱費の voorschot(フォールスホット、前払い金) で、大家が1年分をまとめて精算します。

Huurcommissie(家賃委員会)によると、大家は前年分の精算書を7月1日までに入居者に渡さなければなりません。精算書には払った前払い金と実際の費用が書かれ、差額を返金するか追加で請求します。7月1日までに届かなければ書面で求め、3週間たっても届かなければ家賃委員会に判断を求めることができます。

契約の形 毎月払うもの 精算する人 精算の時期
自分で電力会社と契約 termijnbedrag 電力・ガス会社 契約の1年ごと
家賃と別に前払い(個別メーター) 光熱費の voorschot 大家 翌年7月1日まで
共益費(servicekosten)に含む servicekosten の voorschot 大家 翌年7月1日まで
完全な込み家賃(all-in) 家賃の一部 大家 内訳の分離を求められる

Rijksoverheid によると、家賃と共益費が分かれていない「込み家賃」の場合、入居者は大家に内訳を分けるよう求めることができます。また2027年1月1日以降に結ぶ賃貸契約では、大家が請求できる共益費の種類が8つまでに絞られます。

前払い額が実態に合っていないとき

家賃委員会は、個別メーターのある光熱費の前払い額が妥当かどうかの判断もしています。大家が精算書を期限内に出さない場合、委員会が標準的な使用量にもとづいて前払い額を決めることもあります。なお、ここで紹介した家賃委員会の手続きは社会住宅と中間家賃の住宅の入居者向けの案内で、自由セクターの住宅では扱いが異なる部分があります。

The Hague International Centre は、家賃込みの場合は大家に年末の精算書を求めるよう勧めています。払いすぎか不足かは、精算書を見るまで分からないからです。

10. 節約の具体策:効果の大きい順に

系統使用料は節約しても下がりませんが、ガスの使用量と電気の変動部分は工夫で減らせます。Milieu Centraal の試算から、効果の目安を並べます。

Milieu Centraal の暖房の節約策は、1970年築の中程度の断熱の角地住宅に2人で住み、ガス単価を1m³あたり1.37ユーロとした試算です(2026〜2040年の長期の想定単価)。今の契約単価で計算すると金額は変わります。

対策 節約の目安(年) 出典・前提
在宅時の設定温度を19度以下に 約€170 Milieu Centraal、ガス€1.37/m³
誰もいない日中は15度に(週4日) 約€120 同上
2階など使わない部屋の暖房を止める 約€80 同上
夜は15度に下げる 約€60 同上
シャワーを7.4分から5分に 1人あたり約€36 Milieu Centraal
節水シャワーヘッドに替える 1人あたり約€25 Milieu Centraal

この表から分かるのは、暖房の設定温度と時間帯の管理が、節約の大半を占めるということです。オランダの住宅はガスの多くを暖房に使うため、日本のように「電気をこまめに消す」よりも、暖房の使い方を変える方が効きます。

暖房:ラジエーターと温度設定

オランダの多くの住宅は、ガスのボイラー(CV-ketel、セーフェーケテル)で温めたお湯をラジエーターに回して暖房します。部屋ごとのラジエーターのつまみ(radiatorkraan)を絞れば、使わない部屋の暖房を止められます。床暖房やヒートポンプの家では、夜や外出時に下げすぎると逆効果なので、Milieu Centraal は17〜18度を目安にするよう書いています。

電気:時間をずらす・待機電力を減らす

動的契約の人や、パネルのある家では、洗濯機・食洗機・乾燥機を日中の安い時間に回すのが効果的です。ACCESS の案内には、メーターによっては平日夜23時〜朝7時と週末の割安な夜間料金があるとも書かれていますが、スマートメーターと契約の種類によって扱いが違うので、自分の契約で確かめます。

11. 払えないときの支援:Noodfonds Energie

光熱費が収入に比べて重すぎる世帯向けに、2026〜2027年の冬も Noodfonds Energie(ノートフォンツ・エネルヒー、エネルギー緊急基金) が開きます。

Rijksoverheid の発表(2026年9月29日)によると、2026年12月1日から問い合わせと申請の準備ができ、2027年1月4日から5月7日まで申請を受け付けます。

項目 内容
対象1 所得が社会最低水準の130%以下で、光熱費が所得の8%以上
対象2 所得が社会最低水準の130〜200%で、光熱費が所得の10%以上
支給額 最低€120〜最高€1,800
支給の方法 原則として12か月に分けて電力会社の請求から差し引く
申請期間 2027年1月4日〜5月7日(オンライン、紙でも可)
締め切り方 予算が尽きても締め切らない

支給額は、光熱費のうち8%または10%の基準を超えた部分の半分です。地域熱の世帯、ブロック暖房の世帯、学生も申請できます。政府は、12月ではなく1月に申請すると新年の高い系統料金が計算に入り、支給額がやや多くなる可能性があると書いています。

12. 日本の電気・ガス料金と比べる

日本の電気・ガス料金を知っている人がオランダの請求書を読むと、似ている部分と全く違う部分があります。並べて整理します。

項目 日本 オランダ
送配電の費用 託送料金。電気の単価に含まれる 系統使用料。定額で別建て
再エネ・環境の負担 再エネ賦課金(2026年度4.18円/kWh) エネルギー税(使用量に比例)
税の控除 なし 接続1つに年約€629
検針と支払い 毎月の検針で、使った分を翌月払い 月々は仮払い、年1回精算
料金の改定 燃料費調整で毎月動く 固定契約なら期間中は供給単価が固定
太陽光の余剰電力 FIT で決まった価格で売る 2026年まで相殺、2027年から買取

託送料金と系統使用料:同じ役割、違う見え方

日本の託送料金も、送配電網を使う費用として電気代に含まれています。消費者委員会の2021年の意見書では、託送料金は家庭向け電気料金の約3〜4割を占めるとされています(消費者委員会)。役割はオランダの系統使用料と同じです。

違うのは見え方です。日本の託送料金は1kWhあたりの単価に溶け込んでいて、使う量が少なければ払う額も小さくなります。オランダの電気の系統使用料は接続容量で決まる定額なので、ほとんど使わなくても年数百ユーロかかります。日本の感覚で「使わなければ安い」と思っていると、ここで驚きます。

日本でも2023年度から送配電会社の収入に上限を設ける「レベニューキャップ制度」が始まり、投資計画を国が審査して託送料金を決める仕組みになりました(電力・ガス取引監視等委員会の資料)。送電網への投資を料金で回収し、規制当局が審査するという点では、オランダの ACM の新しい算定方式と考え方が近いと言えます。

再エネ賦課金とエネルギー税

日本の再エネ賦課金は、2026年度(2026年5月検針分〜2027年4月検針分)は1kWhあたり4.18円です(経済産業省、2026年3月19日)。電気の使用量に比例して全員が払う点は、オランダのエネルギー税と似ています。

違いは2つあります。オランダのエネルギー税はガスにもかかり、しかもガスの方が重くなっています。そして、接続1つあたりの控除があるため、使用量の少ない世帯ほど実質の負担が軽くなります。日本の再エネ賦課金には、このような定額の控除はありません。

毎月の検針と年1回の精算

日本では毎月検針があり、前月に使った分が請求されます。冬に使えば冬の請求が上がり、夏は下がります。オランダの仮払いは1年分を12等分した額なので、冬も夏も同じ額が引き落とされ、最後に精算で調整されます。

この仕組みには利点もあります。冬の暖房費の山が平らにならされ、毎月の支出が読みやすくなります。ただし、仮払い額が実態より低いと、精算で数百ユーロの請求が一度に来ます。日本の「使った分をすぐ払う」感覚とは、お金の動くタイミングが違うことを覚えておきます。

太陽光:FIT と相殺制度

日本では、住宅の太陽光の余剰電力は FIT(固定価格買取制度)で決まった価格で売ります。2026年度に認定を受ける住宅用(10kW未満)は、最初の4年が1kWhあたり24円、5〜10年目が8.3円です(経済産業省、同上)。

オランダは2026年まで「相殺」という、事実上、税込みの電気代で売るのと同じ扱いでした。2027年からは日本の FIT 終了後(いわゆる卒FIT)に近い状況になり、売るより自分で使う方が得になります。日本で卒FIT後に蓄電池や昼間の家電運転を検討したのと、同じ発想が求められます。

13. 日本から来る家族への伝え方

日本から家族が引っ越してくるとき、または日本の親に暮らしの様子を説明するとき、オランダの光熱費は誤解されやすい話題です。伝え方のコツをまとめます。

「毎月の引き落としは仮の額」と最初に言う

家族の誰かが銀行の明細を見て、「冬なのに先月と同じ額だ」「夏なのに安くならない」と不思議に思うことがあります。最初に月々は1年分の見込みを12で割った仮払いで、年に1回まとめて精算すると説明しておくと、精算書が届いたときに慌てずにすみます。

「電気をこまめに消す」より「暖房の温度」

日本で節電の習慣がある人ほど、照明や待機電力を気にします。それも無駄ではありませんが、オランダの家庭ではガス暖房の設定温度と、使わない部屋のラジエーターの方がずっと効きます。家族には「暖房は19度、夜と外出時は15度」と具体的な数字で伝えるのが分かりやすい方法です。

「固定料金」が大きいことを伝える

系統使用料と固定の供給料金で、使っても使わなくても年に数百ユーロかかります。日本の基本料金よりかなり大きい感覚です。家族には「使わなくてもかかる部分が大きいので、節約で下げられるのは一部」と伝え、無理な我慢をしないようにします。

14. ケースで考える(架空の3世帯)

ここからは、立場の違う架空の3世帯で、2027年に何をすればいいかを考えます。人物はすべて架空です。

ケース1:デン・ハーグの賃貸に住む駐在員の家族(4人)

会社が用意した家具付きのアパートで、光熱費は家賃とは別に自分で電力会社と契約しています。送配電会社は Stedin です。1年の固定契約が2027年3月に満了します。

供給単価は3月まで変わりませんが、系統使用料と税は1月から変わります。Stedin の地域は平均より上がり幅が大きい見込みなので、1月に仮払い額を確認し、必要なら上げておきます。3月の満了前に、年間総額で他社と比べます。帰任の時期が近いなら、解約金のない変動契約かモデル契約にしておくと出口が楽です。

ケース2:ユトレヒトで家具付きの部屋を借りる留学生(単身)

光熱費は「servicekosten」として家賃と一緒に前払いしています。大家からの精算書は、これまで一度も受け取ったことがありません。

前年分の精算書は7月1日までに受け取る権利があります。まずは大家にメールで精算書を求め、届かなければ家賃委員会の手続きを確認します。所得が低く光熱費の負担が重い場合、学生でも Noodfonds Energie の対象になり得ます。

ケース3:アムステルダム近郊で太陽光パネル付きの家を買った夫婦(2人)

屋根に10枚のパネルがあり、2026年は相殺制度で電気代がほとんどかかっていませんでした。送配電会社は Liander、ガス暖房です。

2027年からは相殺がなくなるため、洗濯機・食洗機を晴れた日中に回す習慣をつけます。契約は送り返す電気の買取額と手数料で比べ直します。電気自動車の購入やヒートポンプへの切り替えを考えているなら、2029年の時間帯別系統料金の案と、接続容量の引き上げにかかる時間も確かめておきます。

ケース 2027年1月にすること 春までにすること
駐在員の家族(4人) 仮払い額の確認と調整 固定契約の満了前に年間総額で比較
留学生(単身) 大家に精算書と内訳を求める 必要なら Noodfonds に申請(5月7日まで)
パネル付きの家の夫婦 12月31日のメーター値を記録 買取条件で契約を比べ、昼の家電運転に切り替え

3世帯に共通するのは、1月に仮払い額を見ることと、契約は年間総額で比べることです。

15. やってはいけないこと

最後に、2027年の変化を前に、損をしやすい行動をまとめます。

やってはいけないこと 理由
系統料金の値上げを理由に慌てて乗り換える 系統使用料はどの会社でも同じ
仮払い額を最低に下げる 精算で数百ユーロの追加払いになり得る
表示単価だけで契約を選ぶ 固定料金や割引で年間総額が逆転する
夕方に動的契約で大きな電力を使う 1kWh 1ユーロを超える時間がある
晴れた日にパネルを止める 自家消費の機会を失い、損になる
大家の精算書がないまま放置する 返金や過大請求に気づけない
長期不在で暖房を完全に止める 凍結・結露・カビのおそれ
訂正前の税率で試算する 2027年の税率表は後から訂正された

16. 明日からの手順とチェックリスト

ここまでの内容を、時期ごとの手順にまとめます。

  1. 今すぐ:自分の送配電会社を mijnaansluiting.nl で調べる。請求書かマイページで契約の種類と満了日を確かめる
  2. 11〜12月:ACM の最終決定を確認する。地域熱の家は ACM の熱料金の上限発表を待つ
  3. 12月31日:太陽光パネルのある家は、相殺制度の最終日のメーター値を撮影して残す
  4. 1月:電力会社のマイページで、新料金での予想年額と仮払い額を見比べ、必要なら仮払いを上げる
  5. 1〜5月:負担が重い世帯は Noodfonds Energie に申請する(5月7日まで)
  6. 契約の満了前:比較サイトで、同じ使用量の年間総額を比べる。パネルのある家は買取条件も比べる
  7. 7月1日:家賃込みの人は、前年分の精算書が届いたか確認する
  • 送配電会社の名前を知っている
  • 契約の種類(固定・変動・動的・モデル)と満了日を知っている
  • 仮払い額と、前回の精算の結果を確認した
  • 2027年の新料金での予想年額を確認した
  • パネルのある家は、買取額と手数料の条件を確認した
  • 家賃込みの人は、精算書の時期と内訳を大家に確認した
  • 暖房の設定温度(在宅19度、不在・夜15度)を家族で共有した
  • Noodfonds Energie の申請期間(1月4日〜5月7日)を把握した

17. まとめ

  • 2027年の系統使用料は平均で年約141ユーロ(約20%)上がる見込みで、デン・ハーグなど Stedin の地域は上振れする可能性がある。最終額は ACM が2026年11〜12月に決める
  • 系統使用料は送配電会社の料金なので、電力会社を乗り換えても避けられない。乗り換えで変わるのは供給単価と条件
  • エネルギー税はガスが上がり電気が下がる案で、平均的な世帯への影響は年10ユーロ前後と小さい
  • 太陽光パネルの相殺制度は2027年1月1日に終わり、自家消費を増やすほど得になる
  • 契約は単価ではなく年間総額で比べ、滞在期間と使い方に合わせて固定・変動・動的・モデル契約から選ぶ
  • 毎月の引き落としは仮払いで、年1回の精算で調整される。1月に仮払い額を見直すと精算で慌てずにすむ
  • 負担が重い世帯は、2027年1月4日〜5月7日に Noodfonds Energie に申請できる

参考にした情報源

一次情報(当局・政府・統計)

在住者向けの媒体

比較サイト(数値は一次情報で確認できたものだけを使用)

いずれも2026年10月22日に確認したものです。2027年の系統料金と税率はまだ確定しておらず、制度と金額は変わるため、契約や申請の前に公式サイトで最新の数値を確認してください。


元記事はこちら

Power grid upgrades will increase Dutch households' energy bills by €140 next year — NL Times

よくある質問

2027年にオランダの光熱費はいくら上がりますか?
ACM(消費者・市場庁)の予測では、平均的な世帯の系統使用料が電気で年約89ユーロ、ガスで年約52ユーロ、合計約141ユーロ(約20%)上がります。エネルギー税の改定は平均的な世帯で年10ユーロ前後の増加です。電気・ガスそのものの単価の動きは別にかかります。最終的な系統料金はACMが2026年11〜12月に決めます。
電力会社を乗り換えれば系統使用料の値上げは避けられますか?
避けられません。系統使用料は住所で決まる送配電会社(netbeheerder)の料金で、どの電力会社と契約しても同じ額です。乗り換えで変わるのは電気・ガスの供給単価と固定の供給料金、キャンペーン条件です。送配電会社は mijnaansluiting.nl で住所から調べられます。
太陽光パネルのネットメータリング(salderingsregeling)はいつ終わりますか?
2027年1月1日に終わります。2026年12月31日までの分は従来どおり相殺され、2027年からは送り返した電気に対して電力会社が買取額を払う形になります。2030年までは買取額が電気の供給単価(税抜き)の50%以上と定められ、電力会社が差し引ける費用はACMが監督します。
毎月の光熱費の引き落としと、年1回の精算はどう違いますか?
毎月の引き落とし(termijnbedrag)は予想使用量にもとづく仮払いです。年1回の年次精算(jaarafrekening)で実際の使用量と比べ、払いすぎなら返金、足りなければ追加の請求が来ます。2027年は系統料金が上がるため、仮払い額を見直さないと精算で追加払いになる可能性があります。
固定・変動・動的契約のどれを選べばいいですか?
価格の見通しを優先するなら固定、短期間で解約する可能性があるなら解約金のない変動、使用時間をずらせる家電やEVがあり日々の価格を確認できるなら動的が候補です。比べるときは単価ではなく、同じ住所・同じ使用量での年間総額を見ます。オンライン契約には14日のクーリングオフがあります。
光熱費が払えないときの公的な支援はありますか?
2026〜2027年の冬は Noodfonds Energie(エネルギー緊急基金)が開きます。2026年12月1日から相談・準備、2027年1月4日から5月7日まで申請でき、所得が社会最低水準の200%以下で光熱費が所得の一定割合を超える世帯に、120〜1,800ユーロが支給されます。予算が尽きて締め切られる方式ではありません。

出典: NL Times

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