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ホームページリニューアルの費用相場と見積もりの読み方|日本とオランダの調査データ、見積書11項目の内訳、追加費用が出やすいところ(2026年)

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ホームページリニューアルの費用相場と見積もりの読み方|日本とオランダの調査データ、見積書11項目の内訳、追加費用が出やすいところ(2026年)

たとえば、リニューアルの見積もりを3社から取ったら、80万円、240万円、450万円だったとします。このとき多くの場合、どれかが高すぎるのでも安すぎるのでもなく、3社が別々の仕事を見積もっているのです。

ホームページの費用は、ページ数よりも「何をどこまでやるか」で決まります。範囲が揃っていない見積もりを並べても、比べたことにはなりません。

この記事では、まず相場の数字がどの調査から来ているのかを確かめ、日本とオランダ(欧州)の数字を円とユーロで並べます。そのうえで、見積書に出てくる11の項目の読み方、比較の手順、追加費用が出やすいところをまとめます。リニューアルすべきかどうかの判断は「ホームページをリニューアルすべき10のサイン」で扱っています。

この記事が主に根拠にした情報

  • Web幹事(株式会社ユーティル)「ホームページ制作の平均費用相場」2024年5月30日公表(n=846)
  • JetB株式会社(優良WEB)の制作会社への聞き取り調査(2024年4月19日・8月6日公表)
  • オランダの Knab「Zzp Uurtarievenboekje 2026」、Freelance.nl「Freelance Markt Index」、Simplicate「Benchmark report Agencies Q4 2025」
  • Google Search Central のサイト移転の案内、W3C の WCAG 2.2、欧州委員会の欧州アクセシビリティ法、オランダ税務当局(Belastingdienst)の BTW の案内
この記事で分かること 答えの要点
日本の相場はいくらか 平均82.5万円・中央値43.4万円(発注データ)、平均約110万円(制作会社調査)(第1〜2章)
オランダの相場はいくらか 時間単価でフリーランス€73、制作会社€106が目安(第3章)
円とユーロはどう比べるか 同じ予算で何時間の作業が買えるかに置き換える(第4章)
見積書のどこを見るか 11項目それぞれの数量・単位と、含まれていないもの(第5〜10章)
追加費用はどこで出るか 移行・リダイレクト・多言語・アクセシビリティ・保守(第12章)

1. 相場の数字はどこから来ているか

「相場」は誰が何を数えたかで変わる

「ホームページ制作の相場」と書かれた記事の数字をたどると、多くは同じいくつかの調査に行き着きます。そして調査ごとに、数えている対象が違います。

仲介サービスを通じて発注された案件の金額を集計した調査は買い手が払った額を、制作会社に料金を聞いた調査は売り手が示す価格を表します。この記事で使う調査を、対象と方法で並べたのが次の表です。

調査 対象 方法 主な数字
Web幹事(日本) 仲介経由の新規制作846件 発注データの集計 平均82.5万円・中央値43.4万円
JetB・優良WEB(日本) 制作会社106社 電話・メールで聞き取り 平均約110万円
JetB・コーポレートサイト(日本) 制作会社116社 同上 平均約125.5万円
Knab(オランダ) 自営業者(zzp) 時間単価の調査 Web開発者€73(税抜)
Freelance.nl(オランダ) 4万件超の案件 提示単価の分析 22分野の平均€86.36
Simplicate(オランダ) 5〜110人規模の制作会社 利用企業のデータ 平均基本単価€106

日本の調査は案件の総額を、オランダの調査は時間単価を出しています。両国で見積もりの語られ方が違うことの表れで、第3章と第4章で詳しく扱います。

リニューアルに限った公的な統計はない

ホームページのリニューアル費用に限った公的な統計は、日本にもオランダにも見当たりません。Web幹事の数字は新規制作が対象で、JetB の数字もリニューアルかどうかを区別していません。

この記事では上の数字を「ホームページを1つ作るときの価格帯」の参考として使い、リニューアルで増える項目は第8章で別に扱います。

2. 日本の相場:平均と中央値が2倍違う理由

発注データでは、半分以上が50万円以下

Web幹事の調査は、2022年1月から2023年12月に同社経由で発注された新規サイトの制作案件846件を集計したものです。平均は82.5万円、中央値は43.4万円でした。平均が中央値の約1.9倍あるのは、少数の高額案件が平均を押し上げているためです。

価格帯 割合
50万円以下 57%
51万〜100万円 23%
101万〜200万円 13%
201万〜300万円 3%
301万円以上 4%

8割が100万円(約€5,680)以下に収まる一方で、200万円を超える案件も7%あります。「平均82.5万円」だけで予算を組むと、小さなサイトには多すぎ、多言語や機能を伴うサイトには少なすぎることになります。案件の46.6%はコーポレートサイトで、中小規模の事業者の案件が中心と読めます。

制作会社への聞き取りでは、平均は約110万円

JetB株式会社は、自社の媒体「優良WEB」に掲載されている全国の制作会社に、2023年10月から2024年4月にかけて料金を聞き取りました。有効回答106社の全体平均は約110万円で、最低は3万円台、最高は650万円でした。

116社から回答を得たコーポレートサイトの調査では、平均1,255,345円(約125.5万円)、最も多い価格帯は50万〜150万円でした。ランディングページ(46社)は平均46万円、採用サイト(32社)は平均約109万円です。本文の下に、日本の調査の数字を横棒で並べます。

Web幹事の発注データで中央値43.4万円、平均82.5万円。JetB の制作会社調査で、ランディングページの平均46万円、採用サイトの平均約109万円、全体平均約110万円、コーポレートサイトの平均約125.5万円。 Web幹事 中央値(発注データ) 43.4万円 LP 平均(JetB) 46万円 Web幹事 平均(発注データ) 82.5万円 採用サイト 平均(JetB) 約109万円 全体平均(JetB) 約110万円 コーポレート 平均(JetB) 約125.5万円 発注データは買い手の支払額、JetB は制作会社の提示額
図1:日本のホームページ制作費の調査結果(出典:Web幹事、2024年5月30日公表、JetB、2024年4月19日公表、JetB、2024年8月6日公表。2026年10月22日確認)

2つの調査の数字が食い違う理由

Web幹事の平均82.5万円と、JetB の平均約110万円には、約27.5万円の差があります。どちらかが間違っているのではなく、数えているものが違うと考えるのが自然です。

違い Web幹事 JetB
誰の数字か 発注した側が払った額 制作会社が示す料金
対象 新規制作の案件846件 掲載中の制作会社106社
期間 2022年1月〜2023年12月 2023年10月〜2024年4月
偏りの可能性 仲介サービスを使う発注者 同社の媒体に掲載された会社
税込・税抜 公表資料に明記なし 公表資料に明記なし

どちらも日本全体を代表する統計ではなく、税込か税抜かの明記もありません。消費税10%の差は100万円の案件なら10万円になるため、見積もりと比べるときは税の扱いを揃えてください。

読み方としては、中小企業の企業サイトなら50万〜150万円(約€2,840〜8,520)の範囲に多くの案件が入る、と押さえておけば十分です。大きく外れる見積もりは、範囲の違いを確かめる手がかりになります。

3. オランダ・欧州の相場:総額ではなく時間単価で語られる

オランダでは「1時間いくら」が先に来る

オランダの制作会社やフリーランスの見積もりでは、最初に時間単価(uurtarief、ユールタリーフ)が示されることが多くあります。総額は工数の積み上げで出てくる、という考え方です。業界の調査も単価を集計しています。いずれもBTW(付加価値税)抜きの額です。

調査 対象 1時間あたり(€) 円換算の目安
Knab 2026 フリーランスのWeb開発者 73 約12,850円
Knab 2026 自営業者全体の平均 83 約14,610円
Freelance.nl 2025年第2四半期 提示単価(22分野の平均) 86.36 約15,200円
Simplicate 2025年第4四半期 制作会社の平均基本単価 106 約18,650円
Simplicate 2025年第4四半期 上位20%の制作会社 120 約21,120円

円換算は、欧州中央銀行の2026年10月22日の参照レート(1ユーロ=175.97円)で計算しています。

BTW抜きの1時間あたりの単価。フリーランスのWeb開発者が73ユーロ、自営業者全体の平均が83ユーロ、Freelance.nl の提示単価の平均が86.36ユーロ、制作会社の平均基本単価が106ユーロ、上位20パーセントの制作会社が120ユーロ。 フリーランスWeb開発者(Knab) €73 自営業者全体(Knab) €83 提示単価の平均(Freelance.nl) €86.36 制作会社の平均(Simplicate) €106 上位20%の制作会社 €120 いずれも BTW(付加価値税)抜き、1時間あたり
図2:オランダのWeb制作に関わる時間単価(出典:Knab、Freelance.nl、Simplicate Q4 2025。2026年10月22日確認)

3つの調査の数字も食い違っている

フリーランスのWeb開発者の€73と制作会社の€106では、約1.45倍の開きがあります。これも対象の違いで説明できます。

違い Knab Freelance.nl Simplicate
誰の数字か 自営業者の申告 発注側が提示した単価 制作会社の基本単価
職種 Web開発者の値あり 22分野の平均 制作会社全体
対象の範囲 調査の回答者 過去4年の4万件超 5〜110人規模の利用企業

制作会社の単価が高いのは、ディレクター、デザイナー、開発者がチームで動く費用と、営業や管理の費用を含むためです。Simplicate の集計では、小・中・大規模の会社の平均がそれぞれ€103、€106、€108と近く、会社の規模による差は小さい結果でした。Freelance.nl は、偽装自営を取り締まる Wet DBA(労働関係の判定に関する法律)の運用強化のあと、単価の伸びが年5%から2%に鈍ったと分析しています。

欧州の制作会社の見積もり総額について、方法と標本数を明らかにした調査は見つかりませんでした。英語圏の記事に出てくる総額の幅の多くは、米国の市場か、出典の分からない数字です。そのため、この記事では欧州の総額を示しません。時間単価と工数の両方を確かめ、掛け算で総額を検算するのが基本です。

BTW は21%、ただし相手によって変わる

オランダの付加価値税(BTW、ベーテーヴェー)の標準税率は21%です。オランダの事業者どうしなら、単価€106の支払いは1時間€128.26になります。

ただし、オランダの税務当局(Belastingdienst)は、他の EU 加盟国の事業者へのサービスは原則として顧客の国で課税され、請求書に「btw verlegd(BTW の転嫁)」と書いて BTW を含めずに請求すると案内しています。EU 域外の事業者への多くのサービスも顧客の国で課税されます。日本の会社がオランダの制作会社に直接発注する場合、オランダの BTW が乗らない請求書になることが多いと考えられますが、例外があり、日本側の消費税の扱いも別に確認が必要です(第14章)。

4. 円とユーロで比べるときの注意

「その予算で何時間買えるか」に置き換える

日本の見積もりとオランダの見積もりを、総額を換算して並べてもあまり意味はありません。人件費の水準と範囲が違うためです。代わりに使えるのが、「その予算で何時間分の作業が買えるか」への置き換えです。

日本の数字 円 ユーロ換算 制作会社€106で フリーランス€73で
Web幹事 中央値 43.4万円 約€2,470 約23時間 約34時間
Web幹事 平均 82.5万円 約€4,690 約44時間 約64時間
JetB 全体平均 約110万円 約€6,250 約59時間 約86時間
JetB コーポレート平均 約125.5万円 約€7,130 約67時間 約98時間

換算は2026年10月22日の参照レート(1ユーロ=175.97円)、単価は税抜です。日本の調査は税の扱いが明記されていないため、時間はおおよその目安です。

日本で中央値の予算は、オランダの制作会社の作業時間にすると3日分ほどにしかなりません。日本向けの価格感のまま欧州の制作会社に相談すると、範囲が合わずに話が進まないことがあります。逆に、欧州の見積もりを日本の社内で説明するときは、時間単価と工数を分けて示すと納得を得やすくなります。

フリーランスは「週に何時間使えるか」も確かめる

Knab の調査では、フリーランスのWeb開発者が請求できる時間は週平均22時間で、自営業者全体の28時間より短い結果でした。100時間の案件を1人に頼むと、請求できる時間だけで4〜5週間分になります。単価が安くても、納期と、休暇や病気のときの代わりの人を確かめてください。

為替の動きを見込んでおく

欧州中央銀行の参照レートは、2026年7月1日から10月22日までの間に1ユーロ=175.97円から186.99円の間で動きました。幅は約6%で、82.5万円のユーロ換算は約€4,690から約€4,410まで変わります。ユーロ建ての見積もりを円の予算で承認する場合は、支払いまでに数%動くことを見込み、どちらの通貨で契約し、為替の差を誰が負うかを契約書に書いておきます。

5. 見積書の11項目:全体像

項目の名前より、作業・単位・金額を読む

見積書の項目名は会社によって違います。名前に引きずられず、何の作業に、どの単位で、いくら払うのかを読み取るのが基本です。この記事では、リニューアルの見積もりに出てくる項目を11に整理します。工程の中での位置を、本文の下に図で示します。

1の企画でディレクションと要件定義、2の設計で情報設計とデザイン、3の制作で実装・CMS・コンテンツ移行・多言語、4の公開でリダイレクトと保守・運用を見積もる。ライセンス、アクセシビリティ、SEOは全工程にまたがる。 1. 企画 ディレクション 要件定義 2. 設計 情報設計 デザイン 3. 制作 実装・CMS 移行・多言語 4. 公開 リダイレクト 保守・運用 ライセンス・アクセシビリティ・SEO は全工程
図3:リニューアルの工程と、見積書の11項目の対応。色の付いた「制作」は、追加費用が最も出やすい工程です(DevNJ 作成、2026年10月22日)

11項目の一覧

項目 主な中身 よくある単位 抜けると起きること
ディレクション 進行管理、打ち合わせ、品質確認 総額の割合/時間 発注側が調整役を担う
設計 要件定義、サイトマップ、ワイヤー 一式/時間 作りながら決めて手戻り
デザイン トップ・下層のデザイン、修正 型の数/修正回数 修正のたびに追加費用
実装 HTML・CSS・JavaScript、フォーム ページ数/型の数 動作確認の範囲が曖昧
CMS WordPress などの構築、編集画面 一式/機能数 社内で更新できない
コンテンツ移行 原稿・画像・PDF の移し替え ページ数/件数 社内で全ページを手作業
多言語 翻訳、言語切替、hreflang 語数/ページ数 片方の言語だけ古くなる
SEO移行 URL対応表、リダイレクト、計測 一式/URL数 検索の評価と被リンクを失う
アクセシビリティ 基準の決定、確認、修正 一式/ページ数 公開後に作り直し
保守・ホスティング サーバー、更新、バックアップ 月額/年額 公開後に止まる
ライセンス CMS、プラグイン、フォント、写真 年額/買い切り 期限切れで機能が止まる

この表の右端の列が、見積書を読むときに「抜けていないか」を確かめる視点になります。以下の章で、順に見ていきます。

6. ディレクション・設計・デザイン

ディレクション:割合で書かれていたら中身を聞く

ディレクション費は、進行管理、打ち合わせ、スケジュール調整、品質確認の費用です。日本の見積書では「制作費の◯%」と割合で書かれることがよくあります。確かめたいのは、何回の打ち合わせ、誰の確認、どこまでの調整を含むかです。オランダでは「projectmanagement」として時間で見積もることが多く、想定時間と、超えたときの扱いを確認します。

設計:ここを削ると後で高くつく

設計には、要件定義(何のためのサイトで、誰に何をしてもらうか)、サイトマップ、ワイヤーフレーム(各ページの骨組み)が含まれます。設計を省いた見積もりは安く見えますが、作りながら決めることになり、手戻りが増えます。リニューアルでは特に、旧サイトのページをどれだけ残し、統合し、削除するかを設計で決めないと、移行とリダイレクトの見積もりが立ちません。

デザイン:ページ数ではなく「型」の数で読む

デザイン費は、ページ数ではなくページの型(テンプレート)の数で見積もるのが一般的です。同じ型を使うページは、何十ページあってもデザインは1つです。見積書で確かめるのは、型がいくつか、修正が何回まで含まれるか、提案が1案か複数案かの3点です。「ページ数×単価」で書かれている場合は、同じ型のページにもデザイン費がかかっていないかを聞いてください。

7. 実装・CMS・ライセンス

実装:対応環境と速度の目標を書いてもらう

実装は、デザインを HTML・CSS・JavaScript で動くページにする作業です。見落としやすいのは、どのブラウザと端末で動作を確認するかです。書かれていないと、公開後の崩れの修正が保守なのか追加費用なのかで揉めます。表示速度の目標もここで決めます。Google が示す Core Web Vitals では、利用者の75パーセンタイルでLCP 2.5秒以下、INP 200ミリ秒以下、CLS 0.1以下が良好の基準です。

CMS:構築費より「誰が何を更新できるか」

WordPress のような既存の CMS(コンテンツ管理システム)を使う場合、構築費は導入作業と、自社用の編集画面の作り込みが中心です。WordPress 本体は GPL(GNU 一般公衆利用許諾書)のバージョン2以降で配布されており、ライセンス料はかかりません。見積書の「CMS構築一式」は、どの画面で、誰が、何を更新できるようになるかを項目として書いてもらってください。

あわせて、サーバーの PHP(プログラム言語)の版を確かめます。PHP の公式サイトによると、PHP 8.2 のセキュリティサポートは2026年12月31日で終わり、8.3 は2027年12月31日、8.4 は2028年12月31日までです。公開の直後に版を上げる作業が発生しない前提の見積もりかを確認します。

ライセンス:誰の名義で、いつまで使えるか

ライセンスは見落とされやすく、公開後に問題になりやすい項目です。

対象 よくある形態 確認すること
CMS 本体 WordPress は GPL で無償 有料 CMS なら年額と契約者
有料テーマ・プラグイン 年額の更新ライセンス 更新が切れたときの影響
Web フォント Google Fonts はオープンライセンス 有料フォントの名義と年額
写真・イラスト ストック写真の利用許諾 用途の範囲と名義
地図・予約などの外部サービス 月額・従量課金 料金の上限と契約者

Google Fonts はほとんどが SIL Open Font License などのオープンライセンスで、商用サイトでも無料で使えると Google は案内しています。一方、有料フォントや年額のプラグインが制作会社の名義で契約されていると、契約を終えたときに使えなくなることがあります。発注側の名義で契約するか、名義を移す手順を契約書に書いてもらうのが安全です。

8. コンテンツ移行とSEO移行・リダイレクト

リニューアルで増えるのはこの2つ

新規制作と比べてリニューアルで増える費用の中心は、旧サイトの中身を移すことと、検索の評価を移すことです。どちらも旧サイトのページ数が多いほど作業が増えます。

コンテンツ移行:方法と件数で費用が決まる

コンテンツ移行は、旧サイトの原稿、画像、PDF、記事を新しいサイトに移す作業です。費用を大きく左右するのは移行の方法です。同じ CMS どうしならある程度まとめて移せますが、旧サイトが静的な HTML や独自の CMS だと、1ページずつ手で移すことになり、件数がそのまま工数になります。

「コンテンツ移行一式」としか書かれていない場合は、何ページ(何件)までかを必ず確かめてください。上限がないと、途中で「想定より多かった」として追加費用になることがあります。

SEO移行:URL対応表がすべての起点になる

URL を変えるリニューアルでは、旧URLから新URLへのリダイレクト(自動転送)を設定しないと、検索エンジンの評価と、他のサイトからのリンクの価値を失います。Google Search Central のサイト移転の案内を、見積もりの言葉に置き換えたのが次の表です。

Google の案内 見積もりでの意味
旧URLと新URLを対応づける URL対応表の作成が作業に入っているか
301や308などの恒久的なリダイレクトを使う サーバー側で設定するか
リダイレクトは少なくとも1年維持する 旧ドメインとサーバーの費用を誰が持つか
多くの旧URLを無関係な1つのURLに集めない 削除するページの転送先を決めているか
移転中は順位の一時的な変動を見込む 公開後の確認期間が入っているか

Google によると、小〜中規模のサイトでは、多くのページが新しいURLに移るまで数週間かかることがあります。公開後の数週間、Search Console で状況を確かめる作業が見積もりに入っているかも見てください。ドメインを変える場合は、リダイレクトを1年以上動かすための旧ドメインの更新費用も公開後の費用に数えます。Google アナリティクス(GA4)の計測とキーイベントを、新サイトでも同じ定義で入れ直す作業が入っているかも確認します。

9. 多言語とアクセシビリティ

多言語:翻訳費と「仕組み」の費用は別

多言語サイトの費用は、翻訳の費用と、言語を切り替える仕組みの費用に分かれます。「多言語対応一式」と書かれていたら、分けてもらってください。

費用の種類 中身 よくある単位
翻訳 原稿の翻訳・校正 語数/文字数/ページ数
ローカライズ 表記、通貨、日付、事例の差し替え 時間/ページ数
仕組み 言語切替、URL設計、CMS の設定 一式
検索向けの設定 hreflang、言語ごとのサイトマップ 一式
運用 更新時の翻訳の追従 月額/語数

Google は、言語ごとのページの関係を hreflang で伝えるよう案内しています。各言語のページが自分自身とすべての言語版を互いに指す必要があり、片方からしか指していない設定は無視されることがあります。ページが増減するたびに直す必要があるため、CMS で自動的に出力される作りかを確認してください。公開後の更新のたびに翻訳が要ることも見落とされがちで、誰がどの単価で翻訳するかまで決めておくと、言語ごとの内容がずれにくくなります。

アクセシビリティ:基準を決めないと見積もれない

アクセシビリティ(障害の有無や環境にかかわらず使えること)は、どの基準を目標にするかを決めないと見積もれません。国際的な基準は W3C の WCAG 2.2 で、多くの場合は適合レベル AA が目標になります。

EU では、欧州アクセシビリティ法が2025年6月28日から適用され、消費者向けの EC などのサービスが対象です。欧州委員会によると、従業員10人未満の零細事業者が提供するサービスは義務の対象外です。オランダの事業者向けポータル business.gov.nl は、対象となる事業者にアクセシビリティ声明の掲載を求めており、EC の監督は ACM(消費者・市場庁)が担います。

見積書に書かれているか 意味
目標とする基準(例:WCAG 2.2 AA) 何を満たせば完了かが決まる
確認の方法(自動・手動・利用者テスト) W3C は自動ツールだけでは判定しきれないとしている
確認するページの範囲 全ページか、代表的なページか

10. 保守・ホスティング:公開後の費用

初期費用だけで比べない

見積もりの比較でよくある失敗は、初期費用だけを並べて、公開後の費用を見ないことです。保守の契約に何が含まれるかは会社によって大きく違います。次の項目が、含まれるか、別料金か、発注側の作業かを確かめてください。

保守の項目 中身 確認すること
サーバー・ドメイン 契約と更新 誰の名義か
CMS・プラグインの更新 本体と拡張機能の更新 頻度と、壊れたときの対応
PHP などの基盤の更新 サポート期限に合わせた更新 月額に含むか、別の見積もりか
バックアップ 定期的な保存と復元 復元を試しているか
監視・障害対応 停止の検知と復旧 対応時間(平日日中のみか)
軽微な更新作業 文言や画像の差し替え 月に何時間・何件までか

月額の保守費に小さな更新は含まれていても、PHP の版を上げるような大きな更新は別の見積もりになることがよくあります。初期費用と公開後の費用を合わせて比べるには、3年や5年の合計で並べ直すのが分かりやすい方法です。

11. 見積もりの形式:一式・積み上げ・固定・時間精算

4つの形式と向いている場面

見積もりの形式は、大きく4つに分けられます。日本では「一式」と「積み上げ」、オランダでは「固定価格(vaste prijs、ファステ・プライス)」と「時間精算(nacalculatie、ナーカルクラーティ)」という言葉がよく使われます。

形式 特徴 向いている場面 注意すること
一式 項目ごとに総額だけ 小規模で範囲が明確 中身が見えず比較しにくい
積み上げ 工数×単価を項目ごとに 中〜大規模 工数の根拠を聞く
固定価格 範囲を決めて総額を約束 範囲を事前に決められる 範囲外はすべて追加
時間精算 実際の時間×単価で請求 範囲が決めにくい・継続改善 上限と報告の頻度を決める

固定価格は予算が立てやすい反面、不確実さの分を高めに見込むか、範囲を狭く定義する傾向があります。時間精算は柔軟ですが、上限と、使った時間の報告の頻度を決めないと、終わってみて予算を超えていた、ということが起こります。

日本の契約:請負か準委任か

日本では、請負か準委任かで制作会社の責任が変わります。民法上、請負(632条)は「仕事の完成」を、準委任(656条)は「事務の処理」を約束する契約です。請負では、成果物が契約の内容に合わないとき、発注側は修正や代金の減額などを求められますが、民法637条により、不適合を知ったときから1年以内に通知しなければ請求できなくなります。公開後の不具合の修正が「保守」か「不適合の修正」かは、ここで切り分けられます。情報処理推進機構(IPA)の「情報システム・モデル取引・契約書」のように、設計までを準委任、制作を請負と工程で契約を分ける考え方も参考になります。

12. 追加費用が出やすいところ

追加費用は「範囲の外」で生まれる

追加費用の多くは、制作会社が後から値上げするのではなく、最初の見積もりの範囲の外にある作業が発生することで生まれます。工程に沿って並べたのが次の図です。

設計の確定後のページや機能の追加、デザインの修正回数の超過、移行での原稿や画像の手作業、公開前のリダイレクトや翻訳の追加、公開後の保守範囲外の改修、の5つ。 設計後 ページ・機能の追加 変更の単価と承認の手順を先に決める デザイン 修正回数の超過 社内の確認者を最初からそろえる 移行 原稿・画像の手作業 件数の上限と1件の単価を書く 公開前 リダイレクト・翻訳の追加 URL対応表と言語数を設計で決める 公開後 保守範囲外の改修 月額に含む作業の範囲を書く
図4:追加費用が出やすい5つの場面と、事前に決めておくこと(DevNJ 作成、2026年10月22日)

場面ごとの原因と防ぎ方

場面 よくある原因 防ぎ方
設計後の追加 別部署の要望が後から出る 設計の承認者に関係部署を入れる
デザインの修正超過 確認者が途中で増える 最終決定者を1人決める
移行の手作業 旧サイトのページ数を数えていない 移行の対象を一覧にして添付する
リダイレクト・翻訳の追加 公開直前に漏れに気づく URL対応表と言語の範囲を設計で確定
保守範囲外の改修 月額に何が含まれるか曖昧 月額の作業時間・件数を契約に書く

共通しているのは、決めるべきことを後回しにすると追加費用になるという点です。契約前に「範囲外の作業が出たら、どの単価で、誰の承認で進めるか」を決めておくと、上振れの多くは防げます。予備費の割合を示す公的な調査はないため、取っておく場合は自社の過去の実績から決めてください。

13. 見積もりを比較する手順

比べる前に、依頼の中身を揃える

複数の見積もりを比べるときに最も大事なのは、同じ依頼書を渡すことです。

  1. 旧サイトのページ一覧を作る:URL、ページの種類、残す・統合する・削除するの別を表にする
  2. 目的と優先順位を書く:問い合わせを増やす、採用につなげる、欧州の顧客に届ける、など
  3. 11項目のうち必要なものを決める:言語数、アクセシビリティの目標、移行の件数
  4. 社内で担う作業を書く:原稿、写真、翻訳の確認など
  5. 同じ依頼書を3社程度に渡す:質問への回答も全社に共有する
  6. 見積もりを11項目の表に並べ直す:空欄(含まれていないもの)を見える化する
  7. 3〜5年の合計で比べる:初期費用と保守費を合わせる

比較表のひな形

並べ直すときは、次のような表を作ると、抜けている項目がすぐに見えます(記入例)。

項目 A社 B社 C社
ディレクション 打ち合わせ6回 回数記載なし 時間精算
コンテンツ移行 50ページまで 記載なし 全ページ
リダイレクト 含む 含まない 含む
多言語 2言語・翻訳別 記載なし 2言語・翻訳込み
アクセシビリティ WCAG 2.2 AA 「配慮」 WCAG 2.2 AA
保守(月額の中身) 更新+2時間 更新のみ 更新+監視

「記載なし」や「含まない」が、そのまま追加費用の候補です。安く見える見積もりは、多くの場合この空欄が多い見積もりです。空欄を埋めた見積もりを取り直してから、金額を比べてください。

14. 日本とオランダで見積書の読み方が変わるところ

税・請求書・取引の違い

日本とオランダでは、見積書と請求書の書き方と、発注に関わる決まりが違います。

論点 日本 オランダ
税率 消費税10% BTW 21%(標準税率)
請求書の要件 適格請求書(インボイス)と登録番号 KvK(商工会議所)番号、BTW 番号など
国外の事業者への請求 取引の内容で扱いが変わる EU 域外の事業者向けの多くは顧客の国で課税
見積もりの単位 総額・一式が多い 時間単価×工数が多い
個人への発注 フリーランス法で条件の明示が必要 偽装自営の判定(Wet DBA)に注意

日本の発注者が気をつける法律

日本では2024年11月1日にフリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されました。従業員を使用しない個人に委託するときは、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面やメールで直ちに明示し、報酬は成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内に支払う必要があります。2026年1月1日からは下請法が中小受託取引適正化法(取適法)に改められ、従業員数の基準が加わって対象が広がりました。自社の発注が対象になるかは、公正取引委員会の資料で確認してください。

国をまたいで発注するとき

国をまたぐ発注では、見積書の金額が同じでも実際に払う額と税の手続きが変わることがあります。オランダの税務当局は EU 域外の事業者への多くのサービスは顧客の国で課税されると案内し、日本の国税庁は国境を越えた役務の提供に係る消費税の扱いを役務の種類ごとに整理しています。どちらも例外があるため、契約の前に両国の税の扱いを税理士に確認し、見積書にはどちらの国の税が税抜・税込のどちらで書かれているかを明記してもらってください。

15. ケースで考える(架空の例)

ここからは架空の事業者を例にします。実在の企業や案件ではありません。

ケースA:日本の士業事務所、20ページの企業サイト

3社の見積もりを11項目の表に並べ直すと、最も安い見積もりにはコンテンツ移行とリダイレクトが含まれていないことが分かりました。旧サイトには検索から読まれているコラムが30本あり、移さずに URL が変わると検索からの流入を失います。移行とリダイレクトを含めて取り直して比べるのが妥当です。

ケースB:オランダの日系商社、2言語サイト

オランダの制作会社の見積もりは時間単価€110と工数の積み上げで、日本の本社では「総額が高い」と受け止められました。€110で€10,000(約176万円)の予算は約91時間の作業に当たります。単価が Simplicate の平均(€106)に近いことを示したうえで、どの項目に何時間かかっているかを本社に説明するのが有効です。翻訳を社内で行うなら、その工数を外せるかも交渉できます。

ケースC:EU に通販をする日本の小売業

従業員は30人で、欧州アクセシビリティ法の零細事業者の除外には当たりません。見積もりの「アクセシビリティ対応」は自動チェックだけで、目標の基準も書かれていないものでした。WCAG 2.2 AA を目標とし、手動の確認とアクセシビリティ声明の作成を含めるよう依頼書を直し、全社に同じ条件で見積もり直してもらいます。

16. チェックリスト

見積もりを受け取ったら、次の項目を確かめてください。

  • 税抜か税込か、どの国の税かが書かれている
  • ユーロ建てなら、時間単価と工数が分かれている
  • ディレクションの打ち合わせの回数や範囲が書かれている
  • 設計の成果物(サイトマップ、ワイヤーフレーム、URL対応表)がある
  • デザインの型の数と修正回数が書かれている
  • 動作を確認する環境と、CMS で誰が何を更新できるかが書かれている
  • コンテンツ移行の件数の上限か、全件かが書かれている
  • 多言語の言語数と、翻訳費が含まれるかが書かれている
  • リダイレクトと URL対応表が作業に入っている
  • アクセシビリティの目標の基準と確認方法が書かれている
  • 保守の月額に含まれる作業と、ライセンスの名義が書かれている
  • 範囲外の作業の単価と承認の手順が決まっている
  • 3〜5年の合計で比べ、国をまたぐなら税の扱いを確認した

まとめ

  • 日本のホームページ制作費は、発注データで平均82.5万円・中央値43.4万円、制作会社調査で平均約110万円。調査ごとに対象が違い、数字は一致しない
  • オランダでは時間単価で語られ、フリーランスのWeb開発者€73、制作会社の平均€106(BTW 抜き)が目安
  • 円とユーロは総額を換算せず、同じ予算で何時間の作業が買えるかに置き換えて比べる
  • 見積書は、11項目それぞれの数量と単位、含まれていないものの2点で読む
  • 追加費用が出やすいのは、移行、リダイレクト、多言語、アクセシビリティ、保守。範囲外の作業の単価と承認の手順を契約前に決める
  • 比較は、同じ依頼書を渡し、11項目の表に並べ直し、3〜5年の合計で行う

参考にした情報源

日本の費用調査

オランダの単価調査と為替

検索・速度・多言語・アクセシビリティ

CMS・ライセンス

税・請求書・契約

いずれも2026年10月22日に確認したものです。費用の調査は、それぞれの媒体を利用する発注者や制作会社を対象としたもので、市場全体を代表する統計ではありません。税と法律の扱いは取引の内容によって変わるため、契約の前に専門家に確認してください。図3と図4は上の情報源をもとに DevNJ が作成したもので、数値は含みません。

よくある質問

ホームページのリニューアル費用の相場はいくらですか?
日本では、Web幹事経由の新規制作846件で平均82.5万円・中央値43.4万円、制作会社106社への聞き取りで平均約110万円という調査があります。調査ごとに対象が違い、数字は一致しません。リニューアルに限った公的な統計はないため、範囲を揃えた複数の見積もりで比べるのが確実です。
平均と中央値のどちらを目安にすればよいですか?
自社の規模に近いほうです。Web幹事の調査では平均82.5万円に対して中央値は43.4万円で、一部の高額案件が平均を押し上げています。小規模な企業サイトなら中央値、多言語や機能を伴うサイトなら平均やそれ以上の価格帯が比べる相手になります。
オランダの制作会社に頼むと、費用はどのくらいですか?
オランダでは総額より時間単価で語られることが多く、Simplicate の集計では制作会社の平均基本単価が1時間€106(2025年第4四半期)、Knab の調査ではフリーランスのWeb開発者が€73(いずれも税抜)です。総額は、この単価に見積もりの工数を掛けて確かめます。
見積書で最初に確認すべき項目は何ですか?
含まれていない項目です。特にコンテンツ移行、旧URLからのリダイレクト、多言語、アクセシビリティ、公開後の保守は、抜けていても見積書の上では分かりにくく、後から追加費用になりやすいところです。各項目に数量と単位が書かれているかも確かめてください。
追加費用はどんなときに発生しますか?
多いのは、設計が決まった後のページや機能の追加、デザイン修正の回数超過、原稿や画像の手作業での移行、公開直前のリダイレクトや翻訳の追加、保守範囲外の改修です。契約前に、変更をどう見積もるか(単価と承認の手順)を決めておくと、上振れを抑えられます。
日本の会社がオランダの制作会社に発注すると、BTW(付加価値税)はかかりますか?
オランダの税務当局は、EU 域外の事業者に提供する多くのサービスは顧客の国で課税され、オランダの申告に含めなくてよいと案内しています。ただしサービスの種類で例外があり、日本側の消費税の扱いも別に確認が必要です。契約前に税理士に確認してください。

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