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サイトの写真で著作権侵害の請求(fotoclaim)が届いたら|オランダの事業者の対応と予防(2026年)

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サイトの写真で著作権侵害の請求(fotoclaim)が届いたら|オランダの事業者の対応と予防(2026年)

サイトに載せた1枚の写真について、ある日、見知らぬ会社から「無断使用です。数百ユーロから数千ユーロを支払ってください」という書面やメールが届くことがあります。オランダでは、この種の通知を fotoclaim(フォトクレーム、写真の著作権侵害を理由とする請求)と呼ぶことがあります。

通知を受け取った事業者の多くは、驚いて払ってしまうか、無視して悪化させるかのどちらかに傾きます。どちらも避けられます。請求が正当かどうかは、順番に確かめれば判断できます。

この記事では、オランダの事業者を主な読み手として、請求の流れ、Auteurswet(著作権法)の基本、確かめる手順、払う前にやらないこと、交渉と相談先、そして次に起こさないための予防策を整理します。法律の助言ではありません。 金額が大きい、期日が迫っている、裁判所からの書面が届いたといった場合は、必ず専門家に相談してください。

この記事が主に根拠にした情報:Auteurswet の条文(wetten.overheid.nl)、Rechtbank Gelderland の2026年の2件の判決(ECLI:NL:RBGEL:2026:178・ECLI:NL:RBGEL:2026:1937)の報道、BNNVARA の番組 Kassa の2026年4月11日付の記事、法律事務所 Dirkzwager の解説、Juridisch Loket の公式案内、Rechtspraak の知的財産事件の費用の目安(2026年2月)。いずれも2026年11月1日に確認しました。

この記事で分かること 答えの要点
請求はどんな形で届くか 画像検索で見つけた無断使用を、代理業者が通知する(第1章)
法律上の基本は何か 写真は創作性があれば著作物。許諾は書面が基本(第2章)
まず何をするか 撤去、保存、証拠の請求、書面での返事(第3〜4章)
払ってよいのはいつか 使用の事実と権利と金額の根拠が確かめられたあと(第5〜6章)
どう予防するか ライセンス保存、AI画像の確認、棚卸し、契約(第8〜10章)

1. fotoclaim はどんな形で届くのか

fotoclaim は法律上の用語ではなく、通称です。多くは、撮影者本人ではなく、権利の管理や回収を引き受ける代理業者や、報道機関・写真エージェンシーの名前で届きます。

通知が届くまでの流れ

報道によると、画像の照合技術でインターネット上の写真を探し、掲載を見つけた相手に請求する、という流れが一般的です。見つかるのは、検索にかかる公開サイトの写真です。誰が見ても分かる大企業だけでなく、小さな団体や個人事業主のサイトも対象になります。

通知には、写真の掲載ページのURL、画面の写し、請求額、支払期限、口座の情報が書かれていることが多いです。ここで大事なのは、通知書の内容は請求側の主張であって、まだ裁判所が認めたものではないという点です。

通知が届いたら、撤去と保存、証拠の請求、書面での返事、交渉か専門家への相談の順に進める。 1. 撤去 写真を外す 画面を保存 2. 確認 権利と事実 を調べる 3. 返事 書面で短く 期限内に 4. 決着 交渉・相談 または不払い 支払いの判断は、確認と返事のあとに置く
図1:請求が届いてから決着までの基本の流れ(出典:下記の Kassa・Dirkzwager の解説をもとにDevNJが作図、2026年11月1日確認)

請求の相手と文面の段階

最初は丁寧なメールや書面で届き、支払いがなければ督促、さらに執行官(deurwaarder)や弁護士の名義の書面に進むことがあります。段階が進むと文面は強くなりますが、書面が強いことと、請求が正当であることは別の話です。

段階 典型的な形 受け取った側の動き
1. 最初の通知 メール・書面で金額と期限を示す 撤去・保存・証拠の請求
2. 督促 期限後の再通知、増額の予告 書面で回答済みなら、その旨を再送
3. 執行官・弁護士名義 法的手続きに進むという書面 専門家に相談。期限を確認
4. 裁判所の呼出し dagvaarding(出廷の呼出状) 必ず専門家に相談。無視しない

表のとおり、段階が上がるほど「自分で判断する」範囲は狭まります。第3段階以降は、費用がかかっても一度は専門家に見てもらう価値があります。

古い記事や小さなサイトも対象になる

Kassa が紹介した例には、約14年前に載せた写真や、2021年の記事に添えた小さな画像が含まれています。公開から時間が経っていることや、サイトが小さいことは、請求を受けない理由になりません。 見つけるのは機械的な照合であり、サイトの規模は選別の条件になっていないと考えておくのが安全です。

請求が生まれやすい場面

DevNJ が相談を受ける場面から整理すると、原因は次の4つに分かれます。これは出典のある統計ではなく、運用上の整理です。

場面 起きていること 先に効く対策
制作時の素材 制作会社が持ち込んだ写真の出所が記録されていない 契約で出所の提示を求める
担当者の追加 検索で見つけた画像を保存して記事に載せた 素材の入手元を決める
古い記事 前任者が載せた画像の記録がない メディアの棚卸し
寄稿や引用 他者が用意した写真を確認せず掲載した 受け入れ時に権利を確認

表のとおり、原因の多くは「誰が入れたか分からない」ことに行き着きます。

2. 法律の基本:Auteurswet は写真をどう扱うか

Auteurswet(オランダ著作権法)の第1条は、著作権を、著作者または承継人が作品を公開し、複製する排他的な権利と定めています。第12条は、インターネットで公衆が見られる状態に置くことも「公開」に含めています(出典:wetten.overheid.nl の Auteurswet、2026年11月1日確認)。

つまりサイトに写真を載せる行為は、権利者の許諾が必要な行為に当たりえます。

写真が保護される条件

法律事務所 Dirkzwager の解説によれば、写真は、撮影者の個人的な刻印、つまり創作的な選択が表れていれば著作物として保護されます。構図、角度、光の当て方、切り取りなどが材料になります。どんな写真でも自動的に保護されるとは限らず、保護されるかどうかは請求側が示す必要があります。

2026年3月4日の Rechtbank Gelderland の判決では、裁判所は問題の写真を、構図・フレーミング・角度・光の選択を理由に保護される写真と認めました。一方、同年1月14日の判決では、請求側が撮影者の創作的な選択や撮り方を説明しなかったことが、請求を退けた理由の一つでした(いずれも Dutch IT Channel の報道・別の報道による)。

許諾と権利の移転は書面が基本

Auteurswet 第2条は、著作権は全部または一部を移転でき、著作者はライセンス(許諾)も与えられると定めています。移転と独占的なライセンスには書面が必要です。さらに、移転されるのは明示された権利と、契約の性質と目的から当然に含まれる権利に限られます。

この規定が、請求の正当性を確かめる場面で効いてきます。請求元が撮影者から権利を書面で受けているかを示せなければ、請求元は自分の名前で権利を行使しにくくなるからです。

雇用された撮影者と外注の撮影者

第7条は、他人の下で働いて作られた作品では、別の合意がない限り雇用主が著作者とみなされると定めています。

裏返すと、雇用関係にない外注のカメラマンや制作会社が撮った写真は、別の合意がなければ撮影者側に権利が残ることになります。サイトの制作を外注した事業者が、納品物の写真の権利を自社のものと思い込んでいる場合は注意が必要です。

撮影者名の表示と保護期間

第25条は、著作者が権利を移転したあとも残る人格的な権利を定めています。その一つは、著作者として名前を表示せずに公開することへの異議です。撮影者名の表示は、放棄の合意がなければ争点になります。

保護期間は、第37条により、原則として著作者の死後70年です(死亡した年の翌年の1月1日から数えます)。古い写真でも、撮影者が亡くなって70年が過ぎていなければ保護が続きます。

論点 条文の要点 サイト運用での意味
公開(第12条) ネットで見られる状態も公開 載せた時点で許諾が必要になりうる
移転・許諾(第2条) 移転と独占許諾は書面 請求元の権利を確かめる根拠
雇用(第7条) 雇用主が著作者とみなされる 外注の写真は別の合意が必要
人格権(第25条) 氏名表示などの権利が残る 撮影者名の表示条件を守る
期間(第37条) 死後70年 古い写真でも安心とは限らない

3. 通知が届いた日にやること

最初の日にやることは多くありません。落ち着いて、順番に行います。

写真の撤去と、記録の保存

通知が示す写真を、サイトから外します。その前に、掲載されていたページの画面を日付が分かる形で保存し、写真のファイル名、アップロード日、掲載ページのURLを控えます。外すのは非を認めるためではなく、使用の継続による請求の拡大を防ぐためです。

Kassa の記事は、使用が意図しないものだったと伝えて写真を直ちに外し、画面を証拠として残すよう勧めています。

注意:サイトから外しても、すでに発生した使用への請求が自動的に消えるわけではありません。外すのは「拡大を止める」ための第一歩です。

期限と宛先の確認

書面の支払期限と回答期限を、カレンダーに入れます。差出人が誰か(権利者本人か、代理業者か、弁護士か執行官か)、連絡先、口座の名義も控えます。口座の名義が差出人と違う場合は、そのことも記録しておきます。

社内で共有する範囲

通知を受け取った人が一人で抱えないようにします。サイトを管理している人、写真を載せた人、制作会社の担当者に、事実だけを共有します。この段階で「自社のミスでした」と書面やチャットに書くのは避けて、事実の確認が済むまで、判断の言葉は控えます。

なお、複数の写真が一度に指摘されたときは、写真ごとに使用の経緯とライセンスの有無が違うことがあります。一括で受け入れず、写真ごとに表を作って確かめてください。

添付ファイルやリンクの扱い

メールの添付ファイルやリンクは、差出人が本物か確認できるまで開かないでください。請求の内容は、本文に書かれた情報と、自分のサイトの履歴で確かめられます。支払いページへのリンクを押す必要はありません。確認が済むまでは、返事も、問い合わせ窓口として自分で調べた連絡先に出すのが安全です。

4. 請求が正当かを確かめる4つの視点

確かめることは、4つの視点にまとめられます。1つずつ、手元の資料と請求元からの回答で埋めていきます。

視点1:その写真は著作物として保護されるか

先に見たとおり、保護は撮影者の創作的な選択に支えられます。請求側が説明していない場合は、何が創作的なのかを尋ねる余地があります。一方で、多くの写真は「保護される」と判断されやすいことも知っておいてください。争えるのは、ありふれた記録写真、ほぼ同じ写真が広く出回っている、といった限られた場面です。

視点2:請求元は権利を持つ人から権限を得ているか

ここが最も強い確認点になります。2026年3月4日の判決(ECLI:NL:RBGEL:2026:1937)では、写真の撮影者は請求元のデータベースに記載された人でしたが、その人が請求元の従業員だと示すものはなく、著作権は撮影者に残ると判断されました。第2条の書面(移転か独占許諾)を請求元が示せなかったため、権利を行使できないとして、請求額450ユーロの請求は退けられました(Dutch IT Channel の報道、判決は Rechtspraak)。

一方、同年1月14日の判決(ECLI:NL:RBGEL:2026:178)では、裁判所は請求元がライセンス契約に基づいて自ら権利を行使できる立場にあると認めています。それでも、保護される作品であることの説明や損害の裏づけが足りず、500ユーロの請求は退けられ、請求側が費用を負担するよう命じられました。あわせて、反訴では、被告が ANP の著作権を侵害していないことが確認され、ANP は訴訟費用(本訴201ユーロ・反訴2,296.25ユーロ。民事訴訟法第1019h条)の支払いを命じられました。この事件で請求を代行したのは Visual Rights Group です(3月の事件は Permission Machine)(Dutch IT Channel の報道、判決は Rechtspraak)。

判決本文(Rechtspraak)で確認、2026年11月1日。地方裁判所の第一審の判断であり、他の事件を拘束するものではありません。

視点3:実際の使用の事実と期間

あなたのサイトに、いつからいつまで、どこに、どの大きさで載っていたのかを確かめます。サイトのCMSの更新履歴、制作会社の納品記録、Wayback Machine のようなアーカイブが材料になります。請求側が主張する期間と、手元の記録が合うかどうかを見てください。

視点4:請求額の根拠

通知書の金額には、使用料、罰金のような加算、調査費、弁護士費用などが重なっていることがあります。報道では、そうした項目が積み上がる例が指摘されています。

Dirkzwager の解説には、許諾なく使われたときの損害が、許諾を求められていたら合意されたはずの使用料を基準に算定されるという考え方が出てきます。そこでは、業界団体の推奨料金表を当然には適用せず、実際の事情に沿って判断した例も紹介されています。

確かめる点 手元の材料 請求元に求めるもの
保護の有無 写真そのもの、類似の写真 撮影者と創作性の説明
権利の承継 請求書、契約書 撮影者との契約(移転か許諾)の写し
使用の事実 CMS履歴、アーカイブ 掲載を確認した日付と画面
請求額 同種のライセンス料 内訳と算定の根拠

表のとおり、手元の材料と請求元の資料の両方が揃って初めて判断できます。片方だけで結論を出さないでください。

撮影者名の表示がなかった場合

請求の中に、撮影者名を表示しなかったことへの主張が含まれることがあります。第25条の氏名表示の権利は、放棄の合意がなければ残ります。ただし、2026年1月の判決の報道では、表示の欠落による損害を請求側が裏づけなかったことも、退けられた理由の一つに挙げられています。表示の有無は争点になりうるが、それだけで金額が決まるわけではありません。 手元のライセンスに、表示の条件があったかどうかを確かめてください。

5. 払う前にやってはいけないこと

慌てて動くと、後から取り返しがつかなくなる行動があります。

やってはいけないこと 理由
内容を確かめずに全額を払う 根拠を争う機会を失い、同じ業者から別の請求が来ることもある
期限を完全に無視する 督促や法的手続きに進み、費用が増える
通知書の電話番号や口座に急いで連絡・送金する 通知が本物かも確認できていない段階では危険
「自社のミスで払います」と書く 事実と責任の認定が済む前に、不利な文言を残す
写真を黙ってこっそり差し替えるだけで済ませる 履歴が消え、使用の期間を後から説明できなくなる
電話で長く話して条件を決める 口頭の合意は、あとで内容を証明できない

通知そのものが本物かを確かめる

通知を装った詐欺の可能性もゼロではありません。差出人の会社名を、KVK(商工会議所)の登記簿で調べ、通知書の口座名義と照らします(KVK)。書面の連絡先ではなく、自分で調べた公式の連絡先に問い合わせるのが安全です。

特定の業者を詐欺と断定するのは適切ではありません。正当な権利者に代わって通知を出す業者も実在します。確かめるのは、その通知が、その写真について、その人に代わって送られているかです。

払う場合の条件

確認の結果、請求が正当と分かり、金額も妥当と判断したときは、支払いに応じてかまいません。その際は、支払いで全ての請求が終わることを書面で確認します。引き続き使える範囲があるなら、それも書面で定めます。

6. 請求額はどう決まるのか:判例と報道に見る幅

請求額の相場を一般論として示せる出典は多くありません。ここでは、出典がある例だけを並べます。

報道された請求額の例

Kassa の記事(2026年4月11日付)は、フランスの写真エージェンシー Sucré Salé sas の Rights Control 部門の名義で届いた請求の例を紹介しています。栄養の専門家に約14年前の写真3枚で約4,000ユーロ、ヴェーヘルの高齢者団体に小さな画像1枚で1,500ユーロ、ホーフトドルプのボランティア団体に写真1枚で5,000ユーロ超の請求が届いたと報じられています。ホーフトドルプの団体は、のちに同じ写真のライセンスが約15ユーロで買えたと分かったとされています。同社は取材にコメントしていません。

請求額は約4000、1500、5000超、提案は750、支払いは85、ライセンス料は15ユーロ。請求額と実際の相場や提示額に大きな差がある。 栄養士 約4,000  提示額 750 高齢者会 1,500  支払額 85 地域団体 5,000超  ライセンス 約15 単位:ユーロ。報道された例で、一般的な相場ではありません
図2:報道された請求額(青)と、提案額・支払額・実際のライセンス料(灰)(出典:BNNVARA Kassa、2026年4月11日付、2026年11月1日確認)

図2は、請求額と提案額・支払額の間に大きな差が生じうることを示しています。ただし、これは報道された少数の例であり、相場ではありません。「だいたいこの額に落ち着く」とは言えません。

裁判所の判断の枠組み

Dirkzwager の解説では、許諾なき使用の損害は、許諾を求められていたら合意されたはずの使用料を基準にして考えられ、業界団体の推奨料金表をそのまま使うことには慎重でした。また、事件によっては、請求額が大きく減額されることがあると述べています。

訴訟になった場合の費用の扱いも、押さえておく必要があります。知的財産の事件では、Wetboek van Burgerlijke Rechtsvordering(民事訴訟法)第1019h条により、勝った側の合理的で釣り合いのとれた費用が認められうる、と整理されています。Rechtspraak は、その目安として indicatietarieven(費用の目安表)を公表しています(2026年2月版(地方裁判所))。

負けたときの費用が、請求額を上回ることもありえます。 だから、裁判で争うかどうかは、金額と勝算を専門家に見てもらって決めるのが安全です。

項目 考え方 出典
損害の基準 許諾を求められたら合意した使用料 Dirkzwager
推奨料金表 当然には適用されないことがある Dirkzwager
費用の負担 合理的で釣り合いのとれた費用 Rv 第1019h条、Rechtspraak
請求の減額 争って減った例が報告されている Dirkzwager、Kassa

7. 交渉と専門家・相談先

確認が済んだら、返事を書きます。返事は短く、事実と依頼だけを書きます。

返事に入れる内容

入れる内容 例の書き方(要点)
受領の事実 日付つきの通知を受け取ったこと
撤去の事実 該当の写真を外した日
使用の経緯 意図的ではなかった、出所を確認中など、事実だけ
証拠の請求 撮影者との契約の写し、権限の証明、金額の内訳
期限 回答までに必要な日数

返事の文面は、事実の確認が済んでから書きます。ここに挙げたのは要点であり、定型の文例ではありません。金額が大きい場合は、送る前に専門家に見てもらってください。

金額の交渉

請求が正当と分かったうえで、金額に納得できないときは、根拠を示して、妥当な額を書面で提案します。Kassa が報じた例では、請求4,000ユーロ弱に750ユーロを提案したものの受け入れられず、1,500ユーロの請求には85ユーロを支払ったものの、請求元は受け入れなかったとされています。交渉が必ず成功するとは限りません。

提案の根拠には、同種のライセンスの相場、掲載の期間と規模、撮影者名の表示の有無を使います。Pictoright(オランダの権利団体)のサイトには、写真の利用の一般的なルールや、支払いが不要となる例外の説明があります(Pictoright)。

無料の相談窓口と、費用がかかる相談先

Juridisch Loket は、収入と資産が一定以下の人に無料の個人相談を行っています。収入の判定は2年前の収入によるとされ、基準は年ごとに変わります。電話番号や最新の基準は公式サイトで確認してください(Juridisch Loket、2026年11月1日確認)。

基準を超える場合は、加入している法的費用保険、業界団体、知的財産に詳しい弁護士が選択肢になります。ACM(消費者・市場庁)は、この種の請求について報告を受け付けるものの、著作権や民事の問題を所管していないと Kassa に答えています(ACM)。

相談先 向く場面 費用
Juridisch Loket 最初の整理、無料の個人相談 基準内なら無料
法的費用保険 加入済みの場合の弁護士費用 保険の条件による
業界団体 同業者の事例の共有 団体による
知的財産の弁護士 金額が大きい、裁判所の書面 有料(見積りを取る)

8. 予防1:ストック写真のライセンスを保存する

請求の多くは、「許諾があったのに証拠がない」「許諾の範囲を超えた」ことから生まれます。予防の第一歩は、使った素材ごとにライセンスを保存することです。

保存しておく項目

素材をダウンロードした日に、ライセンスの文面、取得元のURL、撮影者名、購入や利用規約の画面、利用範囲(商用か、改変可か、表示は必要か)を一緒に保存します。無料の素材サイトにも、条件があります(例:Unsplash のライセンス)。Creative Commons のライセンスは種類によって、表示や商用利用の条件が違います(Creative Commons)。

保存する項目 理由
ライセンス文面と取得日 規約が後で変わる場合に備える
取得元のURL・素材ID 出所の証明
撮影者名・表示条件 表示義務を守る
利用範囲・期間 範囲を超えた使用を避ける
使った場所(ページ) 棚卸しと撤去に使う

「ネットで見つけた画像」は使わない

検索で見つけた画像を保存して使うのは、出所とライセンスが分からない最も危険な形です。Kassa の記事でも、ネット上の画像を使うときは、料金・出典表示・連絡先を含む条件を確かめ、不明なら使わないよう勧めています。

9. 予防2:AI生成画像の扱いとCMSのメディア棚卸し

AI生成画像で気をつけること

AIで作った画像は、素材を買う手間を減らせます。ただし、既存の写真や作品に似た画像が出る可能性があります。似ていれば、その権利者から指摘を受けうるため、公開前に人が確かめます。

AI生成画像そのものの著作権の扱いは、国や事案で整理が分かれています。自社の画像として独占できないことがある前提で使い、使ったツール、生成日、指示文を記録しておきます。確認の項目は、既存記事の「画像・図解の制作を自動化するとき、人が見るべき8つのところ」にまとめてあります。この記事では繰り返しません。

CMSのメディアライブラリを棚卸しする

多くのCMSには、過去にアップロードされた画像が溜まっています。誰が・いつ・どこから入れたか分からない画像が、請求の原因になります。

棚卸しの手順 やること
1. 一覧を出す 全画像のファイル名、日付、使用ページを出す
2. 出所を埋める 自社撮影、購入、無料素材、不明に分ける
3. 不明を判断する 証拠がなければ、差し替えか削除を決める
4. 記録を残す 出所の列を台帳に加える
5. 定期的に見直す 年に1回、新規アップロードを確認
画像は、出所と証拠が揃っているもの、出所は分かるが証拠がないもの、出所が不明なものの3つに分けて対応する。 出所と証拠あり 証拠が不足 出所が不明 そのまま使う 証拠を集める 差し替え・削除
図3:メディア棚卸しの3区分(出典:DevNJ の整理、2026年11月1日)

10. 予防3:制作会社との契約で権利の所在を決める

サイトの制作や運用を外注すると、写真や画像の権利が、気づかないうちに曖昧になります。第2章で見たとおり、雇用関係にない外注先の作品は、別の合意がなければ撮影者・制作者側に権利が残りえます。

契約書で決めておく項目

項目 決めること
素材の出所 制作会社が持ち込む素材の出所とライセンスを書面で示す
権利の移転・許諾 納品物の権利を移転するか、利用を許諾するか、範囲と期間
保証 第三者の権利を侵害しない旨の保証と、その範囲
請求が来たとき 通知の連絡先、対応の分担、費用の負担
台帳の引き渡し 素材ごとのライセンスの記録を納品に含める

権利の移転や独占的な許諾は書面が必要というAuteurswet第2条の規定があるため、口頭の了解では足りません。

運用を任せる場合

画像の追加を運用担当に任せるなら、運用の手順に「出所とライセンスを記録する」を入れます。DevNJ では、こうした契約の項目と運用の手順の整理もご相談を受けています。サイト制作・運用の外注を考えているときは、サービスの案内をご覧ください。

11. 状況別の動き方

次の3つは、よくある状況ごとの、確かめることと次の動きの整理です。個別の事例ではなく、条件と手順の形でまとめました。

制作会社が過去に載せた写真で請求されたら

制作会社が載せた写真には、購入記録やライセンスが残っていることがあります。まず制作会社に出所を尋ね、購入記録とライセンスの範囲を確かめます。範囲内と分かれば、証拠を添えて回答します。

請求元が権利の根拠を示さないとき

写真を外したうえで、撮影者との契約の写し(権利の移転か許諾を示す書面)を求めます。示されないまま期限が過ぎるなら、次の対応は専門家に相談して決めます。

無許諾で、掲載期間も一致していたとき

出所の記録がなく、掲載期間も請求の主張と合うなら、請求は正当な可能性が高くなります。内訳を求め、根拠のある金額を書面で提案し、支払いで全ての請求が終わることを書面で確認します。

状況 確かめること 次の動き
制作会社が載せた写真 購入記録とライセンスの範囲 範囲内なら証拠を添えて回答
権利の根拠が示されない 撮影者との契約の写し 示されなければ専門家に相談
無許諾で期間も一致 内訳と算定の根拠 根拠のある額を書面で提案

12. チェックリスト

通知を受けた日から、予防までを一つにまとめました。

  • 写真をサイトから外した日を記録した
  • 掲載ページの画面と、ファイル名・アップロード日を保存した
  • 支払期限と回答期限をカレンダーに入れた
  • 差出人の会社を KVK などで調べた
  • 手元の記録(購入、納品、CMS履歴)を探した
  • 請求元に、権利の証拠と金額の内訳を書面で求めた
  • 「自社のミスで払います」と書いていない
  • 金額が大きいため、Juridisch Loket や弁護士に相談した
  • 素材のライセンスを台帳に保存する運用を決めた
  • CMSのメディアを棚卸しし、出所不明の画像を差し替えた
  • 制作会社との契約に、素材の出所と権利の所在を入れた

13. まとめ

  • fotoclaim は、写真の無断使用を理由に届く請求の通称で、通知は請求側の主張にとどまります。
  • まず写真を外し、画面を保存し、期限内に書面で返事をします。
  • 確かめる点は、写真の保護、請求元の権限、使用の事実と期間、請求額の根拠の4つです。
  • 2026年の Rechtbank Gelderland の2件では、請求は退けられました。ただし第一審の判断であり、他の事件を拘束しません。
  • 請求額は報道された例でも幅が大きく、相場として一般化できません。
  • 予防は、ライセンスの保存、AI画像の確認、メディアの棚卸し、制作契約の4点です。
  • 金額が大きい、または裁判所の書面が届いたら、専門家に相談してください。

写真の出所の整理や、制作・運用の契約の見直しで迷ったときは、お問い合わせからご相談ください。法的判断が必要な部分は、弁護士など専門家への相談をおすすめします。

参考にした情報源

いずれも2026年11月1日に確認したものです。法律・判決・基準は変わります。この記事は法律の助言ではなく、個別の事案は専門家にご相談ください。

よくある質問

fotoclaim とは何ですか。届いたらすぐ払うべきですか。
fotoclaim は、サイトに載せた写真が無断使用だとして、撮影者や代理人が金額を請求する通知の通称です。届いてもすぐに払う必要はありません。まず写真を外し、画面を保存し、請求元が権利者から正式に委任を受けているかの証拠を求めてください。払うと、後で請求額の根拠を争いにくくなります。
Permission Machine から請求が来ました。無視してよいですか。
無視はおすすめしません。期限を過ぎると、督促状や執行官(deurwaarder)名義の書面に進むことがあります。一方で、すぐに全額を払う必要もありません。写真の撤去、記録の保存、権利の証拠の請求、書面での回答という順で、期限内に返事をしてください。
請求額が妥当かどうかは、どう判断しますか。
裁判所は、権利者が許諾を求められていたら受け取れたはずの使用料を基準にすることがあります。通知書の金額は交渉の出発点にすぎません。写真の掲載期間、掲載場所、同種の写真のライセンス料の相場、撮影者名の表示の有無を材料に、根拠を請求元に説明してもらってください。
制作会社が選んだ写真で請求されたら、誰が責任を負いますか。
契約書に定めがなければ、争いになりやすい点です。公開している事業者が請求の相手になるのが通常ですが、制作会社が素材を持ち込んだ場合は、契約や素材の保証の条項から制作会社に求償できることがあります。だから制作の契約で、素材の出所と権利の所在を書面に残すことが大切です。
AIで作った画像でも著作権の請求が来ることはありますか。
あります。生成した画像が既存の写真や作品に似ている場合は、その権利者から指摘を受ける余地があります。AI生成画像そのものの権利の扱いは、国や事案で整理が分かれています。使う前に、似ていないかを人が確かめ、使ったツールと生成日を記録しておいてください。
相談先はどこですか。費用はかかりますか。
オランダでは Juridisch Loket(法律相談窓口)が、収入と資産が一定以下の人に無料の個人相談を行っています。基準は年ごとに変わるため、公式サイトで確認してください。基準を超える場合は、法的費用保険、業界団体、知的財産に詳しい弁護士への相談になります。

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