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コンテンツ棚卸しの進め方:リニューアル前に「残す・直す・統合・削除」を決める6つの軸と判定表

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コンテンツ棚卸しの進め方:リニューアル前に「残す・直す・統合・削除」を決める6つの軸と判定表

ホームページのリニューアルでは、デザインや CMS の話が先に進みがちです。ところが打ち合わせが進むほど、「今のページをどこまで新しいサイトに持っていくのか」が決まっていないことに気づきます。10年分のお知らせ、更新が止まったブログ、担当者が辞めて誰も中身を知らないページ。これらを全部移すか、全部捨てるかの二択で考えると、どちらを選んでも損が出ます。

その判断を1ページずつ、根拠をつけて行う作業がコンテンツの棚卸しです。英語では content inventory(一覧づくり)と content audit(評価)と呼ばれ、欧米の制作現場ではリニューアルの最初の工程として扱われています。

この記事では、全URLの集め方、判定の6つの軸、残す・直す・統合する・消すの決め方、消すときの410・301・noindex の使い分け、多言語サイトでの扱い、ページ数別の工数を、Google Search Central の公式説明に沿って整理します。URL を変えるときの転送の設定は「検索順位を落とさないリニューアル」、全体の段取りは「リニューアルの進め方とスケジュール」で扱っています。

この記事で分かること 答えの要点
棚卸しとは何か、いつやるか 一覧づくりと評価の2段。リニューアルの要件定義より前(第1章)
古い記事を消すと順位は上がるか 古さだけでは上がらない。役に立たないものを整理する(第2章)
全URLをどう集めるか サイトマップ・クローラー・Search Console・GA4 を突き合わせる(第3章)
何で判定するか 流入・被リンク・問い合わせ・正確さ・鮮度・重複の6軸(第4・5章)
消すときに何を返すか 統合は301、削除は410か404、残して隠すなら noindex(第6章)
費用はどのくらいか 50ページ以下で8〜15時間、書き直しは別(第10章)

1. コンテンツ棚卸しとは何か、なぜリニューアル前にやるのか

一覧(インベントリ)と評価(オーディット)は別の作業

Nielsen Norman Group は、コンテンツのインベントリを「いま持っているデジタルコンテンツすべての一覧」、オーディットを「その一覧に載ったコンテンツの質を評価する作業」と分けて説明しています。前者は機械である程度作れますが、後者は人が読まないと進みません。

同じ記事は一覧の項目として、タイトル、URL、担当者、主題、形式、更新日などを挙げています。第9章の判定表は、これに数字と判定の列を足したものです。

リニューアルで棚卸しを飛ばすと起きること

棚卸しをせずにリニューアルを進めると、よく起きるのは次の3つです。1つ目は、全部を移して新しいサイトが最初から散らかること。2つ目は、全部を捨てて、検索や外部リンクから来ていた人の入り口が消えること。3つ目は、移すページが決まらないまま原稿の締め切りが来ることです。

棚卸しは SEO の作業である前に、原稿の量と担当を決める作業だと考えると、優先順位がつけやすくなります。

いつやるか:タイミングの目安

棚卸しはリニューアルのときだけの作業ではありません。ただ、リニューアルの前は、URL 設計と移行の範囲を決める材料になるため、最も効果が大きい時期です。きっかけごとの範囲を表にまとめます。

タイミング きっかけ 範囲の目安
リニューアルの要件定義の前 新サイトの構成と移行範囲を決める 全URL
CMS の乗り換えの前 移す記事の件数で移行費が変わる 全URL(特にブログ・お知らせ)
事業内容の変更のあと 終了したサービスのページが残る 該当する分野のみ
多言語版の追加の前 翻訳するページの数を決める 翻訳候補のページ

表のとおり、リニューアルと CMS の乗り換えでは全URLが対象になります。日常の点検では、流入の多いページと問い合わせにつながるページに絞れば十分です。

1. 集める(全URLの一覧を作る)、2. 測る(6つの軸の数字を入れる)、3. 判定(残す・直す・統合・削除の4区分に分ける)、4. 実行(301や410を設定し、書き直す)の順に進む。 1. 集める 全URL一覧 2. 測る 6つの軸 3. 判定 4つの区分 4. 実行 301・410 人が読む時間は3に集中する
図1:コンテンツ棚卸しの4つの段階(Nielsen Norman Group のインベントリとオーディットの区別をもとに作成。2026年10月28日確認)

2. 「古い記事を消せば順位が上がる」は本当か

Google 検索担当者の発言

棚卸しの相談で最も多い質問が、「古い記事を消すと SEO に効くのか」です。この考えが広まったきっかけの1つに、2023年8月に報じられた米国のテック媒体 CNET の大量削除があります。Gizmodo の報道によれば、CNET は検索での成績を上げる目的で、数千本の古い記事を削除していました。

これに対し、Google の検索担当者(Search Liaison)である Danny Sullivan 氏は X で、Google が古いコンテンツを嫌うという考えを否定しました。Practical Ecommerce が引用した発言は "That's not a thing!"(そんな仕組みはない)で、続けて、Google のガイダンスはそうした削除を勧めておらず、古いコンテンツも役に立ちうると述べています。

公式ガイダンスに書かれていること

Google Search Central の「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」には、自己評価のための問いが並んでいます。そのなかに、棚卸しに直接関わる問いが2つあります。

1つは、内容が実質的に変わっていないのに、新しく見せるためにページの日付を変えていないか。もう1つは、主に検索順位のために、大量の新しいコンテンツを足したり、古いコンテンツを大量に消したりしていないかです。つまり、日付だけを書き換える「更新」も、古さを理由にした一括削除も、ガイダンスの側から疑問を投げかけられています。

また Google は2024年3月のコアアップデートについて、低品質で独自性のないコンテンツが検索結果から40%減る見込みだと発表し、4月19日の完了時点で45%の減少を達成したと追記しています。整理の目的は「古さ」ではなく、利用者の役に立たないページを減らし、役に立つページを強くすることにあると読むのが自然です。

自己評価の問いを、棚卸しの判定に使う

ガイダンスの問いは、そのまま判定表の「正確さ」「鮮度」の列の基準として使えます。代表的なものを、棚卸しでの使い方と並べます。

ガイダンスの問い(要旨) 棚卸しでの使い方
独自の情報・調査・分析があるか 他社の記事の言い換えだけなら統合か削除の候補
読んだ人が目的を果たせるか 問い合わせ導線と結論があるかを確認
事実の誤りがないか 料金・制度・連絡先を1件ずつ確認
日付だけを新しくしていないか 実質的に直したページだけ更新日を変える
順位のためだけに大量に足し引きしていないか 削除の理由を「利用者にとって」で書く

この表から言えるのは、判定の理由を利用者の側から1文で書けるかが、Google の考え方と合っているかの目安になるということです。判定表に「理由」の列を設ける意味はここにあります。

消して効果があるのは、どんな場合か

削除が意味を持つ場面もあります。Google の「大規模なサイトのクロールバジェットの管理」は、対象を100万ページ以上で週1回ほど内容が変わるサイト、または1万ページ以上で毎日内容が変わるサイトとしたうえで、恒久的に削除したページには404か410を返すこと、ソフト404をなくすこと、重複コンテンツを統合することを勧めています。

数百ページの企業サイトでは、クロールの効率はほぼ問題になりません。実際の効果は、利用者が古い情報にたどり着かなくなることと、更新・翻訳・保守の対象が減ることです。

3. 全URLを洗い出す:4つの入り口

XMLサイトマップ:「載せたつもりのページ」の一覧

最初に見るのは XML サイトマップです。多くの CMS は自動で出力しており、/sitemap.xml か robots.txt の Sitemap: 行で場所が分かります。Google の説明では、1つのサイトマップは5万URLまたは非圧縮で50MBまでで、それを超えるとサイトマップインデックスで束ねます。ただし、手で置いた HTML、古い PDF、キャンペーンページは漏れがちです。

クローラー:「リンクでたどれるページ」の一覧

次に、サイト内のリンクをたどって URL を集めるクローラーを使います。代表的な Screaming Frog SEO Spider は、無料版で500 URLまで、有料版は年£199です(2026年10月28日確認)。ステータスコード、タイトル、canonical、noindex をまとめて書き出せます。弱点は、どこからもリンクされていない孤立ページを見つけられないことです。

Search Console:「Google が知っているページ」と被リンク

Search Console の検索パフォーマンスレポートからは、検索で表示・クリックされたページが取れます。ただし画面の表は最大1,000行です。それ以上は Search Analytics API を使い、Google の説明では1回のリクエストで最大2万5,000行、サイトと検索タイプごとに1日あたり最大5万行まで取得できます。

同じく Search Console のリンクレポートでは、外部サイトから最も多くリンクされているページが分かります。表は1,000行までですが、エクスポートボタンからは最大10万行を書き出せます。被リンクのあるページは削除の判断が変わるため、このデータは必ず取っておきます。

GA4:「人が実際に来たページ」と問い合わせ

GA4 のランディングページのレポートからは、検索以外(SNS、メール、広告、直接)も含めて人が入ってきたページと、そこからのキーイベント(問い合わせ送信など)が取れます。

注意点は保持期間です。GA4 のデータ保持の設定は2か月か14か月(GA4 360 では最長50か月)で、Google の説明では、この設定が影響するのは探索レポートとファネルレポートだけで、標準の集計レポートには影響しません。探索で1年分を見るなら、設定が2か月のままでないか先に確認します。

4つの入り口を比べる

4つの入り口は、それぞれ見えるものと見えないものが違います。役割と注意点を並べます。

入り口 取れるもの 上限・注意
XMLサイトマップ CMS が公開扱いにしているページ 1ファイル5万URL・50MB。手置きのページが漏れる
クローラー リンクでたどれるページと状態 孤立ページは見えない。無料版は500URL
Search Console 検索の表示・クリック、被リンク 画面1,000行。API は1日5万行まで
GA4 全経路の流入と問い合わせ 探索の保持は2か月か14か月

表から分かるとおり、どれか1つで一覧を作ると必ず漏れが出ます。特に、検索からは来ないが被リンクを持つ古いページは、サイトマップにもクローラーにも出ないことがあります。

突き合わせて「正」の一覧を作る

4つの書き出しをスプレッドシートで1枚にまとめ、URL を正規化(末尾のスラッシュ、http と https、www の有無、計測用のパラメータを揃える)してから重複を除きます。突き合わせると、どの入り口にしか出てこないかで、ページの性格が分かります。たとえば、Search Console にも GA4 にも出てこないページは誰も来ていないページです。GA4 にだけ出てくる URL は、広告やメールで使った特設ページかもしれないため、担当者に確認してから判定します。

4. 判定の6つの軸

軸1:流入(検索と参照)

1つ目の軸は、そのページに人が来ているかです。Search Console のクリック数と GA4 のランディングページのセッション数を、直近12か月で見ます。季節で動くページ(年末の営業案内、決算期のサービスなど)があるため、3か月だけで判断しないでください。

軸2:被リンク

2つ目は、外部サイトからリンクされているかです。被リンクのあるページを消すと、リンク元から来る人が行き止まりになり、検索でのそのページへの評価の手がかりも失われます。被リンクがあるなら、消す場合でも内容の近いページへ301で転送するのが基本です。リンク元が取引先や自治体、報道機関なら、件数が少なくても重く見ます。

軸3:問い合わせへの寄与

3つ目は、そのページが問い合わせや資料請求につながっているかです。GA4 のキーイベントを、ランディングページ別と、問い合わせの前に見られたページの両方で確認します。

流入は少なくても、問い合わせの直前に読まれているページ(料金、事例、よくある質問)は残します。検索の数字だけで判定すると、こうした「決め手のページ」を消してしまうことがあります。

軸4:正確さ

4つ目からは、人が読んで判断する軸です。料金、サービス内容、制度、法令、連絡先、所在地、担当者名が今も正しいかを1件ずつ確かめます。誤りのあるページは、流入が多いほど害が大きくなります。料金や制度など事実を含むページから先に読むと、短い時間で危険の大きいページを潰せます。

軸5:鮮度

5つ目は、内容が今の状況に合っているかです。正確さが「誤りがあるか」なのに対し、鮮度は「今の読者の問いに答えているか」を見ます。2019年の「テレワークの始め方」は、誤りがなくても今の読者の関心とずれています。

ここで注意したいのは、公開日の古さそのものは判定理由にしないことです。第2章で見たとおり、Google は古さを理由にした削除を勧めていません。10年前に書いた社名の由来や創業の経緯は、古くても役に立ちます。

軸6:重複

6つ目は、同じテーマのページが複数ないかです。年ごとに書き直した「料金改定のお知らせ」、同じ質問に答えるブログ記事が3本、日本語と英語で別のURLに置いた同じPDF、といった状態です。重複は検索で互いに評価を分け合い、読者にもどれが最新か分かりません。

Google の「重複した URL の統合」は、正規の URL を決める理由として、検索結果に出したい URL の指定、似たページのシグナルの統合、計測の単純化、クロールの節約を挙げています。また、リダイレクトと rel="canonical" を強いシグナル、サイトマップへの記載を弱いシグナルとしています。棚卸しで重複を見つけたら、どれを残すかを決め、残りを301で寄せます。

5. 残す・直す・統合する・消す:判定のルール

判定の順番

6つの軸を同時に見ると、判断がぶれます。順番を決めておくと、担当者が変わっても同じ結論になりやすくなります。この記事では、重複 → 成果の証拠 → 正確さの順で見ることを勧めます。最初に重複を見るのは、統合先を決めてから他の判断をしたほうが、書き直しの手間が減るからです。

まず重複しているかを見て、はいなら統合して301で転送する。いいえなら、流入・被リンク・問い合わせのどれかがあるかを見て、どれもなければ削除して410を返す。あれば、内容が正確で新しいかを見て、いいえなら直す。はいなら残す。会社概要など事業に必要なページは2つ目の問いを飛ばす。 重複している? はい 統合(301) いいえ 成果の証拠がある? いいえ 削除(410) はい 正確で新しい? いいえ 直す はい 残す 必須ページは2問目を飛ばす
図2:ページごとの判定の順番(Google Search Central の重複の統合・HTTP ステータスコードの説明をもとに作成。2026年10月28日確認)

図の2問目で「どれもない」となっても、会社概要、プライバシーポリシー、特定商取引法にもとづく表記、アクセシビリティ声明のように、事業や法令の上で置く必要があるページは削除しません。これらは判定の前に「残す」に固定し、正確さだけを確認します。

4つの処理と、その中身

判定の結果は4つに分けます。それぞれの条件、作業、サーバーが返すステータスコードを並べます。

判定 条件 作業 返すコード
残す 成果があり、内容も正確 URL を保ち、そのまま移す 200
直す 成果はあるが、誤りか古さがある 書き直し、更新日を変える 200
統合する 同じテーマのページが複数 1本にまとめ、残りを転送 301(統合先へ)
消す 成果がなく、事業にも不要 公開をやめる 410か404

「直す」と「統合する」は同時に起きることがよくあります。3本の古い記事を1本の新しい記事にまとめる場合、統合先の記事は「直す」、他の2本は「統合する」として記録します。

迷いやすいページの扱い

実際の棚卸しで時間がかかるのは、表の4区分にすぐ収まらないページです。種類ごとの考え方を並べます。

ページの種類 迷う理由 扱いの例
古いお知らせ・プレスリリース 流入はないが、記録として価値がある 年ごとのアーカイブにまとめ、残す
終了したサービス・製品 被リンクや指名検索が残る 後継のページへ301。後継がなければ終了の案内を残す
過去のイベント・セミナー 日付が過ぎて役目を終えた 定期開催なら最新回へ301、単発なら410
事例・お客様の声 古いが、問い合わせの決め手になる 掲載許可を確かめ、直して残す
旧価格表の PDF 外部に転載されている 最新の料金ページへ301

迷ったときの基準は、そのURLに今日たどり着いた人に何を見せたいかです。答えが「この内容そのもの」なら残すか直す、「別のページ」なら301、「何も見せる必要がない」なら削除になります。

6. 410・404・301・noindex の使い分け

Google は404と410をどう扱うか

Google の「HTTP ステータスコード」の説明では、429を除く4xxのエラーは同じように扱われ、Google のクローラーは内容が存在しないことを後段の処理に伝えます。検索では、以前インデックスされていた URL はインデックスから削除されます。410(Gone)は、この4xxのなかで特別な扱いを受けていません。

一方、HTTP の仕様(RFC 9110)では、410は「その資源がもう存在せず、その状態がおそらく恒久的である」ことを示すコードとして定義されています。恒久的に消したと伝えたいときは410、CMS の仕組み上それが難しいときは404で構わない、という使い分けが現実的です。

Google の「URL の変更を伴うサイト移転」も、新サイトにすべての古いコンテンツを移さない場合は、その URL が404か410を正しく返すようにと書いています。

統合は301で、トップページにまとめて送らない

内容の近いページに寄せるときは、恒久的なリダイレクト(301か308)を使います。Google の「リダイレクトと Google 検索」は、恒久的なリダイレクトを「元に戻さないと確信できるとき」に使うものとし、サーバー側のリダイレクトが最も正しく解釈されやすいと説明しています。

避けたいのは、行き先の決まらないページをまとめてトップページへ送ることです。Google のサイト移転のガイドは、多くの古い URL を関係のない1つの URL(新しいサイトのトップページなど)に転送しないよう求め、そうした転送はソフト404として扱われることがあるとしています。転送は「できるだけ長く、一般に少なくとも1年」残すよう同じガイドは求めています。

noindex は「残すが検索に出さない」

noindex は、ページを公開したまま、検索結果にだけ出さない方法です。Google の説明では、<meta> タグか HTTP ヘッダーで指定すると、他のサイトからリンクされていても検索結果からページが除かれます。

robots.txt でブロックしたページの noindex は読まれず、Google は再クロールまで数か月かかることがあるとも説明しています。noindex が向くのは、利用者には必要だが検索から来る必要はないページです。

削除ツールは一時的な手段

Search Console の削除ツールを使うと、自分のサイトのページを1日ほどで検索結果から隠せます。ただし Google の説明では、この申請の効果は約6か月で、恒久的に消すには、ページの削除・更新、パスワードによる保護、noindex のいずれかが必要です。個人情報の載ったページを急いで隠すときなどに限って使います。

手段ごとの違いを比べる

4つの手段で、検索結果と利用者に起きることを並べます。

手段 検索結果 利用者が見るもの 向く場面
410 / 404 再クロール後に除かれる エラーページ 価値がなく後継もないページ
301 転送先に評価が移る 転送先のページ 統合、後継のあるページ
noindex 再クロール後に除かれる 元のページ 必要だが検索不要なページ
削除ツール 約6か月だけ隠れる 元のページ(変わらない) 急ぎの一時対応

表のとおり、利用者に何を見せるかで手段が決まります。エラーページには、サイト内検索と主要なページへのリンクを置き、行き止まりにしないようにします。

当日に410か404を返す設定をする。急ぐ場合は削除ツールで1日以内に隠せる。410・404・noindex が検索結果に反映されるのは再クロール次第で数週間から数か月。削除ツールの効果は約6か月で切れる。301の転送は少なくとも1年は残すのがGoogleの目安。 当日 410・404・301を設定 サーバー側で返す 1日以内 削除ツールで一時的に隠す 急ぐときだけ 数週〜数か月 検索結果に反映 再クロールの時期で変わる 約6か月 削除ツールの効果が切れる 恒久策が必要 1年以上 301の転送を残す Google の目安
図3:削除や転送の効果が出るまでの時間(出典:Google Search Central「Remove information from Google」「Block indexing with noindex」「Site moves with URL changes」。破線は時期が一定しないもの。2026年10月28日確認)

7. 多言語サイト:片側だけ古いページの扱い

よく起きる状態

多言語サイトでは、片方の言語だけが更新され、もう片方が古いままという状態がよく起きます。日本語のサービス紹介は2025年に書き直したのに、英語版は2021年の料金のまま、というものです。hreflang(言語ごとの対応ページを検索エンジンに伝える仕組み)で結ばれていると、内容の違う2ページを「同じページの別言語版」と宣言していることにもなります。

hreflang は両方向にしか効かない

Google の「ローカライズ版について Google に知らせる」は、各言語版が自分自身と他のすべての言語版を列挙することを求め、2つのページが互いを指していなければ、そのタグは無視されると書いています。片方を消したり転送したりしたら、もう片方の hreflang からも外す必要があります。

選択肢を比べる

片側だけ古いページの扱いを、状態ごとに並べます。

状態 選択肢 hreflang の扱い
片側が古いが、直せる 新しい側に合わせて更新する そのまま両方向で結ぶ
片側の内容が誤り、すぐ直せない 誤った側を消すか、近いページへ301 残った側から相手を外す
片側の市場ではサービスを提供しない その言語版を消す 残った側から相手を外す
内容が意図的に違う(市場別の料金) 別ページとして扱う 対応ページとして結ばない

表の最後の行のように、市場ごとに料金や条件が違うのは珍しくありません。その場合は無理に hreflang で結ばず、それぞれを独立したページとして作るほうが、検索エンジンにも読者にも誤解を与えません。

機械翻訳で埋める前に

片側が足りないとき、機械翻訳でまとめて埋めたくなります。Google のスパムに関するポリシーは、他サイトのコンテンツを翻訳などの自動的な変換で載せることを、大量生成によるスパムの例として挙げています。自社ページの翻訳とは別の話ですが、確認なしの機械翻訳を大量に公開すれば、低品質なページを増やすことになります。

翻訳するページは判定表の「残す」「直す」から、流入と問い合わせの上位順に選び、人が確認してから公開します。

8. 個人情報と法令の観点で見直すページ

欧州の GDPR と「保存の制限」

欧州で事業をする会社のサイトでは、棚卸しが個人データの見直しにもなります。GDPR(EU 一般データ保護規則)の第5条は、個人データについて、目的に必要な範囲に限ること(データの最小化)、正確で必要なら最新に保つこと(正確性)、必要な期間を超えて本人を特定できる形で保存しないこと(保存の制限)を原則として定めています。

退職した社員の写真や、イベント参加者が写った写真、使っていない応募フォームは、流入とは関係なく掲載を続ける根拠があるかで判断します。

正確さが法令に関わるページ

料金、契約条件、返品の条件、資格や認証の表示は、誤っていると消費者との関係で問題になりえます。どの法令にもとづいて載せているページかを判定表に記録しておくと、確認の優先順位をつけやすくなります。 欧州アクセシビリティ法の対象なら、古い PDF も見直します(「欧州アクセシビリティ法とリニューアル」)。

9. 判定表のテンプレート

列の設計

判定表は、スプレッドシート1枚で作ります。列が多すぎると埋まらず、少なすぎると判断の理由が残りません。次の13列から始め、サイトに合わせて足し引きしてください。

列 入れるもの 取得元
URL 正規化した URL 4つの入り口を統合
タイトル・種類 ページ名、記事・サービス・PDF など クローラー
言語・対応ページ ja / en、相手言語の URL hreflang、CMS
担当者 内容を確認できる人 社内で割り当て
クリック(12か月) 検索からのクリック数 Search Console
セッション・キーイベント 全経路の流入と問い合わせ GA4
被リンク 外部サイトからのリンク数 Search Console
重複先 同じテーマのページの URL クローラー、人の確認
正確さ・鮮度 問題なし/要修正/誤り 人が読む
個人情報・法令 該当の有無 人が読む
判定 残す/直す/統合/消す 判定のルール
転送先・返すコード 301の行き先、410など 判定から決める
理由 利用者にとっての理由を1文で 判定者が書く

「理由」の列は、半年後に「なぜ消したのか」と聞かれたときに答えられる唯一の記録です。

記入例

架空のサイトでの記入例を示します。数字は説明のためのもので、実在のサイトのものではありません。

URL(例) クリック 被リンク 判定 転送先・コード
/news/2016-office-move 0 0 統合 /news/archive-2016 へ301
/service/old-plan 12 3 統合 /service/plan へ301
/blog/remote-work-2019 340 2 直す 200(書き直し)
/campaign/summer-2018 0 0 消す 410
/about/company 25 8 残す 200(必須ページ)

表の会社概要のように、クリックが少なくても必須ページは「残す」です。終了した料金プランは被リンクがあるため、消さずに後継のプランへ転送しています。

判定表を新しいサイトの設計につなげる

判定表ができたら、「残す」「直す」のページを新しいサイトの構成に割り当てます。これが新しいサイトのページ一覧と原稿の計画になり、「統合」と「消す」の行がそのまま転送の対応表になります。

10. 作業量と費用の目安(ページ数別)

前提

棚卸しの作業だけを切り出した公的な相場はありません。以下は制作の現場での整理にもとづく目安で、統計ではありません。1ページあたりの判定は、数字を見て短く判断できるもので3分前後、人が読んで確かめるもので10分前後としています。書き直しの時間は含みません。

金額は、オランダの時間単価の調査(フリーランスのWeb開発者€73、制作会社の平均基本単価€106、いずれも BTW〈付加価値税〉抜き)を掛け、欧州中央銀行の2026年10月28日の参照レート(1ユーロ=175.86円)で円に換算しました。単価の出典は「リニューアルの費用相場と見積もりの読み方」にあります。

規模別の目安

ページ数ごとに、一覧づくりと計測、判定、転送などの設定を合わせた時間と金額を並べます。

ページ数 合計時間 金額(€、税抜) 円の目安
50以下 8〜15時間 €584〜€1,590 約10万〜28万円
51〜300 20〜45時間 €1,460〜€4,770 約26万〜84万円
301〜1,000 45〜100時間 €3,285〜€10,600 約58万〜186万円
1,001〜5,000 90〜200時間 €6,570〜€21,200 約116万〜373万円

1,000ページを超えると、全件を人が読むのは現実的ではありません。タグ一覧や自動生成のページはルールで一括判定し、人が読むのは流入と問い合わせの上位と、事実を含むページに絞るのが一般的です。

書き直しを除く作業時間の目安。50ページ以下で8から15時間、51から300ページで20から45時間、301から1,000ページで45から100時間、1,001から5,000ページで90から200時間。濃い部分が下限、薄い部分が上限までの幅。 50以下 8〜15時間 51〜300 20〜45時間 301〜1,000 45〜100時間 1,001〜5,000 90〜200時間 書き直しの時間は含まない
図4:ページ数別の棚卸しの作業時間(制作の現場での整理にもとづく目安で、統計ではない。2026年10月28日時点)

書き直しは別に見積もる

「直す」と判定したページの書き直しは、棚卸しとは別の費用です。目安は1ページ1〜4時間で、上の単価なら€73〜€424(約1.3万〜7.5万円)です。料金や制度を含むページは確認に時間がかかり、上限に近づきます。書き直しの量は判定が終わるまで分からないため、棚卸しを先に固定費で、書き直しは件数を見てから見積もる2段階にすると、上振れを抑えられます。

11. よくある失敗

失敗と防ぎ方をまとめる

棚卸しでよく起きる失敗を、起きることと防ぎ方で並べます。特に上の3つは、第6章の Google の説明を読み落としたときに起きます。

失敗 起きること 防ぎ方
クリック0のページを一括削除 問い合わせの決め手や被リンクを失う 6軸のうち3軸以上を見て判定
消すページをトップへ301 ソフト404扱い、利用者の混乱 行き先がなければ410か404
noindex と robots.txt の併用 noindex が読まれず検索に残る noindex のページはクロールさせる
日付だけ更新 読者の信頼を失う 本文を直したときだけ更新日を変える
片方の言語だけ消す hreflang が無視される 相手側の hreflang も外す
判定の理由を残さない 後で同じ議論を繰り返す 理由の列を1文で埋める
棚卸しを一度で終わりにする 数年で同じ状態に戻る 年1回、上位ページだけ点検する

12. ケースで考える(架空の例)

ここからは、棚卸しの進め方を3つの架空の例で考えます。実在の企業ではありません。

ケースA:日本の士業事務所、80ページの企業サイト

法改正前の制度を説明したコラムが10本ありました。今も流入のある4本を「直す」、残る6本を新しい解説記事に「統合」としました。お知らせ30件は年ごとのアーカイブ3ページにまとめ、旧URLは各年のアーカイブへ301で転送しました。判定と設定で約20時間、書き直しは別に約16時間です。

ケースB:オランダの日系サービス会社、日英400ページ

英語版の半分は3年前の料金のままでした。英語版の流入は日本語版の3分の1ですが、問い合わせの4割を占めます。問い合わせにつながる英語の上位30ページを「直す」とし、オランダで提供していないサービスの英語ページ15件は削除して、日本語版の hreflang からも外しました。判定と設定で約50時間、書き直しと翻訳の確認は別に約90時間です。

ケースC:EU 向けの通販、3,000 URL

商品1,200件のうち400件が販売終了で、そのうち約60件に被リンクがありました。ほかにタグ一覧が1,500件、ブログが300件あります。タグ一覧は「1ページあたりの商品が3件未満」などのルールで一括判定し、人が読んだのはブログと被リンクのある商品60件だけです。販売終了の約250件は後継商品へ301、後継も被リンクもない約150件は410としました。作業時間は約120時間です。

規模が大きくなるほど、人が読む範囲の絞り方が時間を左右します。

13. 棚卸しのチェックリスト

最後に、棚卸しの各段階で確かめることをまとめます。

集める

  • XML サイトマップ、クローラー、Search Console、GA4 の4つから URL を書き出した
  • URL を正規化し、重複を除いた
  • Search Console の被リンクのデータを書き出した

測る

  • 直近12か月のクリック、セッション、キーイベントを入れた
  • 必須ページ(会社概要、規約、法定の表記)に印をつけた

判定する

  • 重複 → 成果の証拠 → 正確さの順で判定した
  • すべての行に、利用者にとっての理由を1文で書いた
  • 終了したサービスや旧料金の扱いを、事業の責任者と決めた
  • 多言語の対応ページを、両方向でそろえて判定した

実行する

  • 統合するページは、内容の近いページへ301で転送した
  • 消すページは410か404を返し、トップへの一括転送をしていない
  • noindex のページを robots.txt でブロックしていない
  • 消した言語版を、相手側の hreflang から外した
  • 次回の点検の時期と担当者を決めた

まとめ

  • コンテンツの棚卸しは、全URLの一覧づくりと1ページずつの評価の2段で進める
  • 一覧はサイトマップ・クローラー・Search Console・GA4 の4つを突き合わせて作り、1つに頼らない
  • 判定は流入・被リンク・問い合わせ・正確さ・鮮度・重複の6軸で、重複 → 成果の証拠 → 正確さの順に見る
  • Google は古さを理由にした削除を勧めていない。消す理由は利用者の役に立たないこと
  • 統合は301、削除は410か404、残して検索から外すなら noindex。トップへの一括転送と、noindex と robots.txt の併用は避ける
  • 多言語サイトでは、片側を消したら相手側の hreflang からも外す
  • 作業は50ページ以下で8〜15時間が目安。書き直しは判定のあとに別に見積もる

参考にした情報源

Google の公式ガイダンス

データの取得

棚卸しの考え方と報道

法令・単価・為替

いずれも2026年10月28日に確認したものです。Google の説明やツールの上限・価格は変わることがあるため、作業の前に公式のページで最新の内容を確認してください。

よくある質問

古い記事を削除すると、SEO で有利になりますか?
古いという理由だけで消しても、サイト全体の評価が上がるわけではありません。Google の検索担当者は2023年に、古いコンテンツを嫌うという考えを否定しています。消してよいのは、流入も被リンクもなく、内容が誤っているか事業と関係がなくなったページです。役に立つ古い記事は、直して残すほうが得です。
コンテンツ棚卸しでは、何を見て判定すればよいですか?
流入、被リンク、問い合わせへの寄与、正確さ、鮮度、重複の6つの軸で見ます。前の3つは Search Console と GA4 の数字で、後の3つは人が読んで判断します。数字が少なくても、会社概要やプライバシーポリシーのように事業に必要なページは、判定の前に「残す」に固定します。
ページを消すときは、404と410のどちらを返せばよいですか?
Google は404と410を同じように扱い、どちらも内容が存在しないという合図として、インデックスから外します。恒久的に消したことをはっきり伝えたいときは410、仕組み上それが難しければ404で構いません。内容の近いページがあるなら、どちらでもなく301で転送します。
noindex と削除の違いは何ですか?
noindex はページを残したまま、検索結果にだけ出さない方法です。ログイン後の案内や、検索から来る必要のない一覧ページに向きます。robots.txt でブロックすると noindex が読まれないため、併用しないでください。利用者にも見せる必要がないなら、noindex ではなく削除か転送を選びます。
多言語サイトで、片方の言語だけ古いページはどうしますか?
原則は、古い側を新しい側に合わせて更新することです。すぐに直せず内容が誤っているなら、そのページを消すか転送し、相手の言語のページからも hreflang を外します。Google は、相互に指し合っていない hreflang を無視すると説明しています。機械翻訳だけで埋めるのは避けてください。
コンテンツ棚卸しの費用はどのくらいですか?
この記事の目安では、50ページ以下で8〜15時間、51〜300ページで20〜45時間です。オランダの時間単価(€73〜€106、税抜)で計算すると、それぞれ約10万〜28万円、約26万〜84万円です。書き直しは別に、1ページ1〜4時間を見込みます。統計ではなく制作の現場での整理です。

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