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コラム

ETIAS の偽サイトが150件以上|まだ始まっていない渡航認証と、すでに始まった EES を日本から来る家族向けに整理(2026年10月)

EU が導入を進めている渡航許可 ETIAS(European Travel Information and Authorisation System) について、英語の在住者向けメディア DutchReview が注意喚起の記事を出していました。まだ誰も申請できないにもかかわらず、「ETIAS を申請できます」と称するサイトが150件以上確認されているという内容です。

ETIAS はオランダの居住者には関係のない制度ですが、日本から遊びに来る家族や友人には関係します。そして、「何か申請がいるの?」と聞かれるのは在住者のほうです。さらにややこしいことに、ETIAS とは別の EES(出入国システム) がすでに始まっていて、スキポール空港では入国審査の待ちが長くなっています。

この記事では、起点の DutchReview の記事に加えて、欧州委員会・EU の在外公館・Frontex(欧州国境沿岸警備機関)の公式情報、NL Times・IamExpat の空港の報道、The Local や Connexion の開始時期の報道を突き合わせて、2026年10月時点で何が起きていて、誰が何をすればよいかをまとめました。

この記事が主に根拠にした情報

  • DutchReview「Watch out: Fake ETIAS websites are targeting travellers to the Netherlands」(2026年10月16日)
  • 欧州委員会 移民・内務総局「The Entry Exit System is fully operational since 10 April 2026. Who is exempt?」(2026年7月27日)
  • NL Times・IamExpat のスキポール空港の入国審査に関する報道(2026年8〜9月)
  • EU の在外公館(EEAS)と Frontex の ETIAS の案内
この記事で分かること 答えの要点
ETIAS はいつ始まるのか 2026年10月時点で未定。2027年との見方が強い(第1章)
すでに始まっている制度は何か EES。2026年4月10日に全面運用。空港で顔写真と指紋を登録(第2章)
在住者に関係あるか 滞在許可があれば ETIAS も EES の登録も不要(第3章)
日本から来る家族は何をするか いまは空港での EES 登録だけ。12歳未満は指紋免除(第4章)
偽サイトはどう見分けるか ドメイン、受付状況、金額の3点でほぼ判別できる(第7章)
在住者が一時帰国するとき何に注意するか 旅行中に滞在許可が切れるなら再入国ビザが必要(第9章)

1. ETIAS はまだ始まっていない

いちばん大事な事実

2026年10月時点で、ETIAS の申請受付は始まっていません。

EU は以前「2026年の最終四半期に開始」という見通しを示していましたが、The Local などの報道によると、2026年7月にその記載を公式サイトから取り下げ、新しい開始日を示していません。フランスの在住者向けメディア Connexion も、2026年中の開始は「もはやありそうにない」と伝えています。公式には、開始の数か月前に告知するとされています。

なぜ遅れているのか

アイルランドの旅行業界紙 Travel Extra によると、EU は**「EES が完全に安定してから ETIAS を導入する」**と決めています。ETIAS は EES の上に乗る仕組みなので、先に動き出した EES が安定しないと始められません。その EES は、2026年4月の全面運用のあと、ソフトウェアの不具合と主要な国境での長い行列を引き起こしました(第5章)。

同紙は ETIAS を**「無期限の保留」**と表現し、開始は「早くても2027年」と伝えています。ETIAS はこれまでも何度も開始時期が延期されてきた制度で、今回の延期もその延長線上にあります。

情報が食い違っている

ややこしいのは、EU 自身のページのなかにも古い情報が残っていることです。

情報源 開始時期 手数料 時点
EU の在外公館(EEAS)の案内ページ 2026年第4四半期 7ユーロ 更新前の記載が残っている
欧州委員会(DutchReview の引用) 未定 20ユーロ(18歳未満・70歳以上は無料) 2026年10月
The Local の報道 第4四半期の記載は7月に削除 ― 2026年10月
Connexion の報道 2026年中の開始は見込み薄 ― 2026年10月
Travel Extra の報道 無期限の保留。早くても2027年 7ユーロと記載 2026年10月

古いページを根拠に「もうすぐ始まる」「7ユーロ」と書いたブログや代行サイトがあり、それが混乱を広げています。最新の状況は、EU の公式ポータル travel-europe.europa.eu で確認するのが確実です。

日本語の情報は特に古いものが多い

日本語で ETIAS を検索すると、旅行会社や旅行アプリ、旅行情報サイトの解説が多く出てきます。ただ、確認した範囲では次のような古い記述が混ざっていました。

日本語の解説に見られる記述 2026年10月時点の状況
「2026年第4四半期以降に義務化」 EU は7月にこの記載を取り下げ。開始日は未定
「申請料は5ユーロ(または7ユーロ)」 欧州委員会の案内では20ユーロ
「対象は26か国」 現在の案内では30か国

家族が日本語の記事を見て心配している場合は、記事の日付と、EU 公式サイトの記載が一致しているかを一緒に確認してあげてください。日本の旅行会社の案内も、EU の発表を受けて更新されるまでに時間差があります。

2. すでに始まっている EES(出入国システム)

EES は2026年4月から全面運用

混乱のもとになっているのが、EES(Entry/Exit System) との混同です。こちらはすでに動いています。

EESは2025年10月に段階導入が始まり、オランダの空港でも10月20日から開始、2026年4月10日に全面運用。7月にEUはETIASの第4四半期開始の記載を削除。8月にスキポールで1から2時間の待ち。ETIASの開始日は未定。 2025.10 EES の段階的な導入が始まる オランダの空港でも10月20日から 2026.04 EES が全面運用(4月10日) シェンゲン域の全国境で登録が始まる 2026.07 ETIAS の開始時期の記載を削除 EES の登録件数は1億4,500万件超に 2026.08 スキポールで1〜2時間の待ち 空港が「受け入れられない」と発表 2026.10 偽の ETIAS サイトが150件超 50〜178ユーロの請求例 未定 ETIAS の開始(2027年との見方) 開始の数か月前に告知される予定
図1:EU の国境制度の動き。点線は未確定の予定です(出典:欧州委員会 移民・内務総局、IamExpat、NL Times、DutchReview、2026年10月18日確認)

EES は、パスポートへのスタンプを電子記録に置き換える仕組みです。2025年10月から段階的に導入され、オランダの空港でも10月20日に始まりました。2026年4月10日に全面運用となり、欧州委員会によると、運用開始以来1億4,500万件を超える出入国が登録されています。

EES と ETIAS の違い

EES ETIAS
状態 運用中(2026年4月10日に全面運用) 未運用(開始日未定)
何をするもの 国境での出入国記録の電子化 渡航前のオンライン事前認証
手続きの場所 空港・国境の入国審査 自宅などからオンライン
登録されるもの 旅券情報・顔画像・指紋・出入国日 申請情報と審査結果
対象 短期滞在の非 EU 国籍者(滞在許可保有者などは除く) ビザ免除の非 EU 国籍者
費用 無料 20ユーロ(予定)
旅行者がすること 入国審査で登録に応じる 事前にオンラインで申請

日本の家族が「EU で新しい手続きが始まったらしい」と聞いたとき、多くの場合それはすでに始まった EES のほうです。EES は入国審査で係官の案内に従えばよく、事前の申請も支払いも不要です。

3. オランダ在住の方自身には、基本的に関係ありません

欧州委員会の案内では、EES を運用する国が発行した長期ビザまたは滞在許可を持つ非 EU 国籍者は、EES に登録されません。ETIAS も、ビザなしで短期訪問する人のための制度なので、居住者は対象外です。

立場 EES の登録 ETIAS 国境ですること
オランダの滞在許可を持つ日本人 対象外 不要 旅券と滞在許可カードを提示
EU 市民の家族で滞在カードを持つ人 対象外 不要 旅券と滞在カードを提示
日本から短期で来る家族・友人 対象(初回に顔写真と指紋) 開始後は必要 入国審査で登録
日本から来る12歳未満の子ども 対象(指紋は免除、顔写真のみ) 開始後は必要(18歳未満は無料) 入国審査で登録

注意点がひとつあります。登録の対象外になるのは滞在許可を提示した場合です。欧州委員会は、対象外の人も国境で旅券と滞在許可を示す必要があると説明しています。滞在許可カードを家に置いたまま旅行に出ると、短期の旅行者として扱われかねません。旅行のときは、旅券と一緒に必ず持ち歩いてください。

なお、キプロスとアイルランドが発行した滞在許可は、この対象外の扱いになりません。

4. 日本から来る家族がすること

いま必要なのは EES の登録だけ

日本国籍はシェンゲン圏に180日間のうち90日までビザなしで入れます。いま日本から来る家族に必要なのは、空港の入国審査での EES 登録だけです。

滞在許可を持つ在住者はEES登録もETIASも不要。日本から来る大人はEESで顔写真と指紋を登録し、ETIASは開始後に必要。12歳未満の子どもは指紋が免除される。 EES 顔写真 EES 指紋 ETIAS 在住者 滞在許可あり 不要 不要 不要 日本から来る 12歳以上 登録 登録 開始後に必要 日本から来る 12歳未満 登録 免除 開始後・無料
図2:立場ごとに必要なこと。在住者は滞在許可を提示すれば登録の対象外です(出典:欧州委員会 移民・内務総局、EES 規則(EU)2017/2226、2026年10月18日確認)

入国審査で何が起きるか

段階 内容 補足
初めての入国 旅券の読み取り、顔写真の撮影、指紋の採取 12歳未満は指紋が免除
2回目以降 顔写真か指紋で本人確認 登録情報と照合
出国時 出国の記録 滞在日数が自動で計算される
記録の保存 出国の記録から3年間 EES 規則による

EES の大きな変化は、滞在日数が自動で数えられることです。これまではスタンプを見て数えていた「180日間のうち90日」のルールが、機械的に管理されます。長めに滞在する家族は、オランダ以外のシェンゲン国での滞在日数も合算されることを伝えておいてください。

EU の機関 eu-LISA の2026年第1四半期の報告では、入国拒否が1万9,985件あり、理由で多かったのは「滞在の目的や条件が十分に説明できない」(7,202件)と「最長滞在日数に達している」(4,353件)でした。同じ期間に指紋の免除は97万8,940件あり、その多くは12歳未満の子どもです。

入国審査で困らないための準備

先ほどの eu-LISA の数字では、入国拒否の理由で最も多かったのは**「滞在の目的や条件が十分に説明できない」**でした。日本からの短期の家族訪問で拒否されることは考えにくいものの、入国審査で答えに詰まると時間がかかります。混雑している今は、なおさらです。

用意しておくもの 理由
有効期限に余裕のある旅券 シェンゲン域では、出国予定日から少なくとも3か月以上の有効期間が求められる
滞在先の住所(在住者の家の住所) 「どこに泊まるのか」と聞かれたときにすぐ答えられるように
帰りの航空券の控え 90日以内に出国する予定であることを示せる
滞在の目的を一言で 「家族に会いに来た」で十分。英語のメモを渡しておくと安心
在住者の連絡先 審査で確認が必要になったときのために

高齢の両親だけで来る場合は、英語で滞在先と目的を書いたメモを持たせておくと、入国審査で慌てずに済みます。

5. スキポール空港の入国審査は混んでいる

待ち時間は1〜2時間

EES の導入で、空港の入国審査には時間がかかるようになりました。NL Times によると、スキポール空港は2026年8月、EU 外の旅券を持つ到着客の待ち時間が平均1〜2時間になっていると発表し、「受け入れられない」とコメントしました。

スキポールは以前の最大80分から120分へ、ミュンヘンはピーク時31分から60分へ、フランクフルトはピーク時60分から120分へ。 EES 導入前 2026年夏 スキポール 80分 120分 ミュンヘン(ピーク時) 31分 60分 フランクフルト(ピーク時) 60分 120分
図3:主要空港の入国審査の最大待ち時間。フランクフルトは「2倍の2時間」と報じられたため、導入前を60分としています(出典:IamExpat(Financial Times の報道を引用)、2026年8月14日)

IamExpat が引用した Financial Times の報道では、スキポールの最大待ち時間は以前の80分から2時間へ、約5割増えています。ミュンヘンはピーク時31分から60分、フランクフルトはピーク時の待ちが2倍の2時間になりました。

9月上旬はさらに悪化し、NL Times が伝えた地元紙 Het Parool の報道では、空港の内部資料が状況を「危機的」と表現し、待ち時間は110分に達しました。スキポールは、顔と指紋の読み取り機の拡大を一時的に見送ったと報じられています。

時期 スキポールの状況 出典
2026年5月18日 保安検査と入国審査の混雑で279便が遅延 NL Times
2026年8月 EU 外の旅券の到着客は平均1〜2時間待ち NL Times
2026年9月上旬 最大110分。読み取り機の拡大を一時見送り NL Times(Het Parool)

なぜ混むのか

報道で挙げられている理由は、国境警備の人員不足、自動化ゲートの不具合、そしてEU の事前登録アプリがほとんど使われていないことです。混雑時に生体情報の登録を一時停止できる柔軟な運用は9月までの措置とされ、延長されるかは不透明だと伝えられています。

空港の業界団体 ACI Europe は、夏の間 EES を停止するよう欧州委員長に求めましたが、EU は「必要ない」「できない」として退けました。

家族に伝えること

  • 到着後の予定に2時間程度の余裕を持たせる(乗り継ぎ、迎え、ホテルのチェックイン)
  • 子ども連れなら、入国審査で長く並ぶ前提で飲み物や軽食を用意する
  • 出国時は到着時より混雑が少ないと報じられているが、時間に余裕を持つ

6. ETIAS が始まったらどうなるか

開始後の手続きについて、EU の公式の案内から確定している内容を整理します。

項目 内容
対象国 オランダを含む30か国
用途 180日間のうち最長90日の短期滞在
有効期間 3年間、または申請に使った旅券の有効期限まで(短いほう)
審査 多くは数分で決定。それ以外は4日以内。追加情報の要求で最大14日、面談で最大30日延びることがある
手数料 20ユーロ(18歳未満と70歳以上は無料)
申請先 europa.eu ドメインの公式サイトのみ
位置づけ ビザではない。入国を保証するものでもない

報道によると、開始後には、ETIAS がないことを理由に入国を拒否しない移行期間と、初めての入国者への猶予期間が設けられる見込みです。開始されても、すぐに入国できなくなるわけではありません。

仕組みとしては、米国の ESTA に近いものと考えるとわかりやすいと思います。

ESTA(米国) ETIAS(EU)
運用 2009年から義務化 未運用
申請 オンライン オンライン
有効期間 原則2年 3年(予定)
国境での生体登録 米国の入国審査で指紋・顔写真 別の制度(EES)で実施

違いは、ESTA がすでに長く運用されているのに対し、ETIAS は開始前である点です。「ESTA と同じようなもの」という説明は正しいのですが、「だからもう申請できる」ではないところが、今回の混乱の中心にあります。

7. 偽サイトの見分け方

どんなサイトがあるのか

DutchReview によると、ETIAS を扱うと称するサイトは150件を超えています。なかには、ETIAS が始まったあとに旅行者の代わりに申請する予定の正規の旅行会社もありますが、公式サイトになりすまして高い手数料を取ったり、個人情報を集めたりするものもあります。報道では、50〜178ユーロを請求する例が挙げられています。

Frontex は2024年の時点で、非公式サイトが公式ページのデザインをまね、公式に見えるドメイン名を使い、EU の素材を無断で使う手口を警告していました。

判断の流れ

アドレスがeuropa.euで終わらなければ公式ではない。終わっていても今すぐ申請できると書いてあれば2026年10月時点ではあり得ない。開始後に20ユーロより高い金額を求めるなら代行業者。 アドレスが europa.eu で 終わっているか いいえ 公式ではない はい 「今すぐ申請できる」と 書いているか はい 2026年10月時点 ではあり得ない いいえ 開始後、20ユーロより 高い金額を求めるか はい 代行業者か なりすまし 3つとも問題なければ公式。それでも不安なら 検索結果ではなく travel-europe.europa.eu を直接入力する
図4:ETIAS のサイトが公式かを見分ける流れ(出典:EU 在外公館(EEAS)、Frontex、DutchReviewをもとに作成)

細かいチェックポイント

見るところ 公式 偽サイト・代行サイトに多い特徴
ドメイン europa.eu で終わる etias-○○.com のような独自ドメイン
受付状況 「現在は運用していない」と明示 「今すぐ申請できます」
金額 20ユーロ(開始後) 50〜178ユーロ、内訳の説明がない
表示言語 EU 公用語の正式な表記 不自然な翻訳、誤字
急かし方 期限を煽らない 「残りわずか」「今日中に」
連絡先 EU 機関の所在が明記 問い合わせ先が不明瞭

補足として、検索結果の上位=公式ではありません。広告枠は購入できるので、偽サイトのほうが上に出ることがあります。「検索して一番上に出たサイトで申請した」という経路で被害が起きています。英国の旅行業協会 ABTA も、正式に開始されるまで申請を待つよう呼びかけています。

8. 支払ってしまった場合にやること

もし家族が支払ってしまっていたら、次の順で手を打ってください。

順番 やること 目的
1 カード会社に連絡し、役務が提供されていない支払いとして取り消しや異議申し立てを相談する お金を取り戻す
2 入力した情報を洗い出す(旅券番号、生年月日、住所、メール、カード情報) 被害の範囲を把握する
3 同じパスワードを使い回していないか確認し、変更する 二次被害を防ぐ
4 その後のメールを疑う。「申請に不備があります」と追加の支払いを求めるフィッシングが続くことがある 二重の被害を防ぐ
5 旅券の情報を渡した場合は、旅券を発行した日本の窓口に相談する なりすましに備える

旅券番号と生年月日の組み合わせは、なりすましに使われ得る情報です。支払い金額よりも、渡した情報のほうが問題になると考えておいてください。

日本にいる家族なら、日本の窓口にも相談できる

支払ったのが日本にいる家族なら、日本の消費生活の窓口にも相談できます。海外の事業者との取引のトラブルは、国民生活センターの**越境消費者センター(CCJ)**が受け付けています。最寄りの消費生活センターには、消費者ホットライン「188」でつながります。カード会社への連絡と並行して、記録(支払いの明細、サイトのアドレス、やり取りのメール)を残しておくと、相談がスムーズです。

9. 在住者が一時帰国するときの注意

ETIAS と EES は在住者に関係しないと書きましたが、在住者が日本に一時帰国してオランダに戻るときには、別の注意点があります。EES の導入で国境の確認が機械的になった今、書類の不備は以前より目立ちやすくなっています。

滞在許可カードだけでは旅行できない

IND(オランダ移民帰化局)は、旅行には有効な旅券と有効な滞在許可の両方が必要で、滞在許可カードは旅行書類ではないと案内しています。有効なオランダの滞在許可と旅券があれば、シェンゲン域内の旅行にビザは要りません。

旅行中に滞在許可が切れるときは「再入国ビザ」

IND によると、滞在許可が一時的に無効になっている場合や、旅行中に有効期限が切れる場合は、オランダに戻るために**再入国ビザ(terugkeervisum、TKV)**が必要です。IND での予約が必要になるので、帰国の予定が決まったら滞在許可の期限を先に確認してください。

状況 必要なもの 補足
滞在許可が有効で、旅行中も切れない 旅券と滞在許可カード シェンゲン域内の旅行にビザは不要
旅行中に滞在許可の期限が切れる 再入国ビザ(TKV) 出発前に IND で予約して取得
更新を申請中で、法定の期間を過ぎても決定がない 再入国ビザ(TKV) この場合は無料になることがある
滞在許可がすでに切れて国外にいる 入国ビザが必要になる場合がある IND ではなく Netherlands Worldwide で確認

更新の申請は、滞在許可が有効なうちに出すのが原則です。IND は、期限が切れた直後なら4週間以内に申請するよう案内しています。年末年始やお盆に一時帰国を予定しているなら、その前に期限を確認しておくのが確実です。

10. 90日ルールの数え方

「180日間のうち90日」はどう数えるのか

日本から来る家族がビザなしで滞在できるのは、どの日から振り返っても、直前の180日間のうちシェンゲン域にいた日が90日以内という範囲です。暦の上の半年ごとにリセットされるわけではありません。EES の導入で、この日数は入国審査で自動的に計算されるようになりました。

具体例で数える

たとえば、次のような滞在を考えます。

滞在 期間 日数
1回目 3月1日〜4月29日 60日
2回目 6月1日〜6月30日 30日
6月30日から振り返った180日間(1月2日〜6月30日)の合計 ― 90日

この場合、6月30日の時点でちょうど90日です。2回目をもう1日延ばすと上限を超えます。入国日と出国日はどちらも1日として数えます。

注意したいのは、オランダ以外のシェンゲン国での日数も合算されることです。パリやベルリンへの寄り道も同じ90日に入ります。長めに滞在する家族には、欧州委員会が公開している滞在日数の計算ツールで事前に確かめるよう勧めてください。

11. 日本の家族に、いつ何を伝えるか

伝える内容は、ETIAS の状況によって変わります。

タイミング 伝えること
いま(ETIAS 開始前) 「何も申請しなくていい。申請サイトは europa.eu で終わるものだけ」
渡航が決まったら 「空港で顔写真と指紋の登録がある。入国審査に1〜2時間かかることがある」
ETIAS の開始日が発表されたら 「開始日以降の渡航なら公式サイトで申請。20ユーロ。18歳未満と70歳以上は無料」
長めに滞在するなら 「180日間のうち90日まで。ほかのシェンゲン国の滞在も合算される」

いちばん安全なのは、次のひと言です。

いまは何もしなくていい。公式に始まったら教えるね。申請サイトは europa.eu で終わるものだけ。空港では時間に余裕を持ってね。

入国審査で英語に自信がない家族には、次のようなメモを旅券に挟んで渡しておくと安心です。

I am visiting my family who lives in the Netherlands. I will stay at [住所] from [到着日] to [出発日]. My return flight is [便名]. Contact: [在住者の電話番号]

12. ケースで考える(架空の例)

以下は制度の動きを示すための架空の例です。

ケースA:年末に両親が遊びに来る

70代の両親が12月にスキポールに到着し、2週間滞在します。日本の旅行サイトで「ETIAS が必要」と見て心配しています。

必要なのは入国審査での EES 登録だけです。ETIAS はまだ始まっておらず、始まったとしても70歳以上は無料の予定です。到着日は、入国審査に2時間かかる前提で迎えの時間を組みます。

ケースB:小学生の子どもを連れた姉家族

姉夫婦と10歳の子どもが夏休みに3週間来る予定で、パリにも寄ります。

3人とも初回の入国で EES に登録します。10歳の子は指紋が免除され、顔写真だけです。パリでの滞在日数も90日の上限に合算されますが、3週間なら問題ありません。

ケースC:すでに代行サイトで支払ってしまった友人

日本の友人が、検索して上に出てきたサイトで「ETIAS 申請」として95ユーロ払ったと連絡してきました。

現時点の申請は正規のものではありません。カード会社への連絡と、入力した旅券情報の扱いへの注意を伝えます。渡航自体は、EES の登録だけで問題なくできます。

ケース いま必要なこと 注意点
A 70代の両親 EES 登録のみ 入国審査に時間がかかる
B 子ども連れの家族 EES 登録のみ(子は指紋免除) 他のシェンゲン国の日数も合算
C 支払ってしまった友人 カード会社への連絡 渡した旅券情報の悪用に注意

13. やってはいけないこと

やってはいけないこと 理由
検索結果の上位のサイトで「ETIAS 申請」をする 2026年10月時点の申請はすべて非公式
古いページの「7ユーロ」「第4四半期開始」を信じる EU 自身の古いページにも更新前の記載が残っている
在住者が滞在許可カードを持たずに旅行に出る EES の対象外であることを示せない
到着直後に予定を詰める スキポールの入国審査は1〜2時間かかることがある
代行サイトに旅券情報を渡す 支払い以上に、なりすましのリスクが大きい

14. チェックリスト

在住者自身

  • 旅行のときは旅券と滞在許可カードを一緒に持っている
  • 滞在許可の有効期限を確認した(旅行中に切れるなら再入国ビザが必要)

家族が来るとき

  • 「ETIAS はまだ申請不要」と伝えた
  • 公式サイトは europa.eu で終わるものだけと伝えた
  • 入国審査で顔写真と指紋を登録することを伝えた
  • 到着後の予定に2時間程度の余裕を持たせた
  • 長期滞在なら、90日の上限と他国の日数の合算を伝えた

15. まとめ

  • ETIAS は2026年10月時点で未運用。EU は7月に開始時期の記載を取り下げ、2027年との見方が強い
  • それでも「申請できます」と称するサイトが150件以上、50〜178ユーロの請求例がある
  • すでに動いているのは EES。2026年4月10日に全面運用、登録件数は1億4,500万件を超えた
  • 滞在許可を持つ在住者は ETIAS も EES の登録も不要。旅券と滞在許可カードを提示する
  • 日本から来る家族は空港で顔写真と指紋を登録する。12歳未満は指紋免除
  • スキポールの入国審査は1〜2時間待ち。到着後の予定に余裕を

参考にした情報源

公的機関

在住者向け媒体・報道

いずれも2026年10月18日に確認したものです。ETIAS の開始時期と EES の運用は変わる可能性があるため、渡航の前に必ず europa.eu の公式ページで最新の状況を確認してください。


元記事はこちら

Watch out: Fake ETIAS websites are targeting travellers to the Netherlands — DutchReview

よくある質問

ETIAS はもう申請できますか?
2026年10月時点では申請できません。EU は2026年7月に「2026年第4四半期に開始」という目標を公式サイトから取り下げ、新しい開始日を示していません。開始の数か月前に告知されるとしています。
オランダに住んでいる私も ETIAS や EES の登録が必要ですか?
有効な滞在許可を持ってオランダに住んでいる方は、ETIAS は不要で、EES の登録対象からも外れます。国境では旅券と滞在許可カードを提示します。顔写真や指紋は取られません。
日本の家族が遊びに来る場合は何が必要ですか?
いま必要なのは EES の登録だけで、これは空港の入国審査で行われます。事前の申請や支払いはありません。初めて入国するときに顔写真と指紋を登録し、12歳未満の子どもは指紋が免除されます。ETIAS は始まってから対応すれば十分です。
ETIAS の手数料はいくらですか?
欧州委員会によると20ユーロで、18歳未満と70歳以上は無料とされています。以前は7ユーロとされていたため、EU の古いページや古い記事には7ユーロのまま残っているものがあります。いずれにしても、これより高い金額を請求するサイトは公式ではないか、代行手数料を上乗せしています。
スキポール空港の入国審査はどれくらい混んでいますか?
2026年8月、スキポール空港は EU 外の旅券を持つ到着客の待ち時間が平均1〜2時間になっていると発表しました。9月上旬には110分に達した日もあったと報じられています。到着後の予定に余裕を持たせてください。
すでに申請サイトらしきものにお金を払ってしまいました
公式の受付が始まっていない以上、正規の申請ではありません。カード会社に連絡して支払いの取り消しを相談し、入力した個人情報(旅券番号・生年月日など)の悪用に備えて、パスワードの変更とフィッシングメールへの注意をおすすめします。

出典: DutchReview

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